「ばけばけ」タエが衝撃の姿に…「演じるなら徹底的に」制作統括が明かす北川景子の覚悟

高石あかり(高=はしごだか)が主演を務める連続テレビ小説「ばけばけ」(NHK総合・月~土、午前8時~ほか ※土曜は1週間の振り返り)の第6週・第28回が5日に放送され、北川景子演じる雨清水タエが衝撃的な再登場を果たした。制作統括の橋爪國臣が、並々ならぬ覚悟で挑んだ北川の姿や、撮影現場での印象的なエピソードを語った。(以下、第28回のネタバレを含みます)
【明日のばけばけ】タエの息子・三之丞(板垣李光人)は仕事を求めて…
連続テレビ小説の第113作「ばけばけ」は、松江の没落士族の娘・小泉セツとラフカディオ・ハーン(小泉八雲)をモデルに、西洋化で急速に時代が移り変わっていく明治日本の中で埋もれていった人々をフィクションとして描く。「怪談」を愛し、外国人の夫と共に、何気ない日常の日々を歩んでいく夫婦の物語。
トキの親戚である雨清水家は、かつては松江藩の元上級武士だったが、彼らが営む繊維工場は経営難に陥り、第3週では当主の傳(堤真一)が病に倒れ、帰らぬ人となってしまった。その後、雨清水家は没落の一途をたどり、第28回ではトキが路上で物乞いをするタエの姿を目撃してしまう。
タエが物乞いとなるのは、武家の育ちで、気位が高く、雇われて働くことのできない特殊な価値観を持っていることが影響している。橋爪は「フィクションを交えて描くので、タエのモデルが直接誰とは明言をしていません」と前置きをしつつ、タエを描く上で参考とした小泉チエさんについて「実際に小泉チエさんが物乞いをしていたという記録が残っているんです。それを参考にさせていただきました」とドラマに盛り込んだ意図を説明した。
北川は、変わり果てたタエを演じるにあたり、役づくりに強いこだわりを持っていた。「北川さんは役に入り込まれる方。タエが時代が変わると何もできなくなり、自分が働くくらいなら物乞いをしてでも働く選択はしないという心情を、『自然な流れだし、私も(タエの立場なら)そうしたと思います』とおっしゃって理解されていました。役である限り、(タエとして)ちゃんと生きたいとお話されていたのが印象的でした」と橋爪は振り返る。
橋爪によると、北川は物乞いとなったタエを「演じるなら徹底的に物乞いになりたい」と自ら見た目についてアイデアを出したという。「『美しい、女優のままの、綺麗な物乞いになりたくない』とこだわりを持ってあのシーンを演じられたんです。『お風呂に入ったことがないくらいの感じでやりたい』と、こちらがやりすぎじゃないですかと思うほど、(身なりを)汚してほしいとおっしゃっていました。その徹底ぶりを流石だなと思って、現場で見学していました」
さらに橋爪は、北川が衣装などにこだわりを持っていたことも紹介。「綺麗な着物でなく、一度水洗いしてヨレヨレになった着物を使ったり、いろいろな汚しの技法があるんです。それを駆使して、何度も着た古い着物に見えるようにしたり、見た目の工夫もしました」と話していた。(取材・文:名鹿祥史)


