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ジュリア・ロバーツ、年齢と人生経験から得た演技の深み 57歳での挑戦を語る

『アフター・ザ・ハント』のジュリア・ロバーツ
『アフター・ザ・ハント』のジュリア・ロバーツ - (C) Amazon MGM Studios

 ジュリア・ロバーツが大学教授を演じた、ルカ・グァダニーノ監督(『君の名前で僕を呼んで』『チャレンジャーズ』)の心理スリラー『アフター・ザ・ハント』の配信が Prime Video でスタート。配信開始前、アメリカ・ロサンゼルスで行われた合同インタビューで、ジュリアとグァダニーノ監督が本作の製作裏話を語った。

【画像】生きのむキュートさ!ジュリア・ロバーツの今昔

 イェール大学の哲学科教授アルマ(ジュリア)は、教え子マギー(アイオウ・エディバリー)から、同僚の教授ハンク(アンドリュー・ガーフィールド)に性的暴力を受けたと打ち明けられる。マギーは真実を話しているのか、それともハンクの証言を信じるべきなのか、2人の間で葛藤するアルマは、自分の過去の秘密とも向き合わざるをえなくなる。

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 アカデミー賞に4度ノミネートされ、『エリン・ブロコビッチ』(2001)で主演女優賞を獲得したジュリア。3人の子育てを最優先して映画出演を最小限にしてきたが、本作における迫真の演技は、長いキャリアの中でも特に高く評価されている。

(C) Amazon MGM Studios

 「学校という火薬庫のような環境、そして小さな町の設定が気に入ったんです。とても興味深く、深く考えさせられる作品だと感じました。夢のようなキャストがそろいましたしね。この錬金術師(グァダニーノ監督)が私たちを導いて、今作を作り上げたのは、ある意味運命だったと思います。この作品に関われたことは、本当に私の誇りです」と、ジュリアは出演を決めた理由を語る。

 アルマというキャラクターについては、「彼女は多くの心の傷を抱え、常にそれを背負いながら、自分をそこから守ってきたのだと思います。彼女をどのように解きほぐし、いつ、ひび割れから光を差し込ませるかというのは、深く探求すべきテーマでした。なぜなら、彼女は世界に対して、私とは全く異なる自然な本能を持っているからです。それが逆に演じる楽しさでもありました」と説明する。

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(C) Amazon MGM Studios

 親密だったアルマ、マギー、ハンクの関係が、事件を境に大きく変化し、徐々にそれぞれの考えが明らかになっていく本作。しかし、最終的に謎の解明は観客自身に任されている。

 ジュリアは「映画を愛する者として、私は観客の知性に大きな信頼を置いています。アンドリューがもしここにいたら、セラピストのように、『登場人物たちにどう反応するかは、あなた自身の人生経験の反映であり、あなたを動揺させるものは、彼らを動揺させるものとは違うかもしれないんです』と話したでしょうね。誰が何をしたのかを明確にしすぎないことで、観客がそれぞれの人生を持ち込む余地を残せるんです」と語る。

 そして、グァダニーノ監督は「私が非常に驚いたのは、偉大な俳優は、人間の行動や本質について、まるで精神分析医のような知識を持っているということです。それを直感、観察力と呼ぶか、人生経験と呼ぶかはあなた次第です。彼らが、人間の行動に潜む多層的で深い側面を演じる姿を見るのは、本当に素晴らしかったです」とキャストを称えた。
 
 また、本作と「#MeToo」(ミートゥー)の関係について尋ねられたグァダニーノ監督は「ノラ・ギャレットの脚本からして、学問の世界における#MeTooの概念を理解したり、否定しようとしたわけではありません。私たちにとって学問の世界とは、普遍的な権力の探求の舞台を設定するための特殊な劇場であり、アルマら登場人物は皆、パフォーマーなんです。彼らは驚くべき知識、現実と真実を解釈する能力を披露する哲学者ですが、完全な欠陥を抱えています。そこが最も興味を持った点でした」と答えた。

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グァダニーノ監督の話を聞くジュリア・ロバーツ(C) Amazon MGM Studios

 ところで、マギー役のアイオウは、ドラマ「一流シェフのファミリーレストラン」でゴールデングローブ賞やエミー賞を受賞して一躍有名になった若手女優で、アルマとマギーの緊張感みなぎるやりとりは、大きな見どころになっている。「彼女は並外れた人です。とても思慮深く、革新的で、まさに同世代を代表する存在です。本当に賢くて、私たちは素敵な時間を過ごしました。彼女は仕事に真剣に取り組む一方、ただその空間と仲間たちを楽しめる時も知っています。それが私の好きなやり方なんです」とジュリアはアイオウを絶賛した後、「彼女は私を平手打ちしましたけどね」と付け足して、大笑いとなった。

 大学教授役を見事に演じたジュリアは撮影時に57歳(現58歳)。役に信憑性を持たせることができたのは、年齢を重ねたことが大きいと言う。「グァダニーノ監督に演技を委ねることには自信がありましたが、同時に人生経験も重要だと感じました。アルマの人生には学問的な経験や健康問題、長い結婚生活といった要素があり、25歳や35歳、45歳では演じきれないものばかりです。今だから、演技に深みが増し、表現の幅が広がったんだと思います」と、自己分析していた。

 双子の娘と息子は今、21歳、次男は18歳と、みんな成人して巣立っていったが、充実した幸せな人生が彼女に与えたものが、いかに大きかったか、今作の演技が物語っていると言えそうだ。信頼しきっているグァダニーノ監督との再タッグもありそうな様子で、今後の活躍も楽しみだ。(Yuko Yoshikawa / 吉川優子)

『アフター・ザ・ハント』Prime Videoで独占配信中

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