「ばけばけ」制作統括が感動した怪談「鳥取の布団」 高石あかりに出した意外な指示

17日に放送された連続テレビ小説「ばけばけ」(NHK総合・月~土、午前8時~ほか ※土曜は1週間の振り返り)第12週・第58回では、ヒロイン・トキ(高石あかり※高=はしごだか)が、初めてヘブン(トミー・バストウ)に怪談を披露した。制作統括の橋爪國臣が、トキが一本のろうそくを灯して披露した怪談「鳥取の布団」にまつわるエピソード、怪談シーンを撮影していた時の高石&トミーの様子について語った。
連続テレビ小説の第113作「ばけばけ」は、松江の没落士族の娘・小泉セツとラフカディオ・ハーン(小泉八雲)をモデルに、西洋化で急速に時代が移り変わっていく明治日本の中で埋もれていった人々をフィクションとして描く。「怪談」を愛し、外国人の夫と共に、何気ない日常の日々を歩んでいく夫婦の物語。
怪談シーンは講談師の四代目・玉田玉秀斎に指導&監修を依頼しているが、橋爪は、高石に玉秀斎のような流暢な怪談はあえて求めなかったという。
「怪談を玉秀斎先生のようにやってしまうと、講談になってしまう。基本は高石さんが普段誰かに話すようにやってほしいと、話をしました。逆にうまくやってほしくなかったのです」
続けて橋爪は、第58回の冒頭シーンについて「立て板に水に語るのではなく、ヘブン先生との会話のキャッチボールのような、そんな怪談にしたいと考えていました。なので、あえて練習させていません」と撮影秘話を紹介する。トキは怪談を語る際、ろうそくに火を灯し、ろうそくを挟んでヘブンと向き合う。「ろうそくを二人の間に置く。そして終わると吹き消す。怪談では、そういったルールがあるわけではありません。あれは、トキ流の雰囲気づくりです。普通のろうそくでやると、炎が揺らめき、画面がチカチカしてしまうのですが、LEDだと揺らめきがなくなる。風の量やろうそくの種類は、こだわって撮影しました」
トキがヘブンに聞かせる「鳥取の布団」は、小泉八雲がセツの話を元に組み立てた怪談として、史実にも登場する。橋爪は、ヒロインオーディションで「鳥取の布団」の読み聞かせがあったとも明かし、「和室のセットを組み、ろうそくを持って来て、二人で語るということをやりました。高石さんもトミーさんも実際にやっています。なので、撮影当日『このシーンはオーディションでやったね』とみんなで話をしていました」と撮影当時を振り返った。
橋爪は、高石が語る「鳥取の布団」がオーディション当時からよかったとも述べ、「とても感慨深い撮影でした」と満足げな様子。「オーディションの時は、初対面の俳優さんとやるわけです。でも、今回は2人とも長期間トキとヘブンとして生きて来て、関係性ができあがった相手を前に聞かせる。お芝居は全く違ったものになりましたし、オーディション以上の感動がありました」と手応えを感じていた。
さらに「二人の間が良いんだと思うんです」とも分析した橋爪。「喋るだけでなく、どうやったら伝わるかと、相手の反応を見ながら間を取る。言葉は話していないけど、会話のキャッチボールのようになっている。オーディションの時とは違い、今はそれができているんです。それが伝わってくれたらいいなと思っています」と話していた。(取材・文:名鹿祥史)


