トビー・マグワイア インタビュー
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それ にしても、こんなに急に売れっ子になってしまった現実をどう捉えているのだろうか。 「こんなに素晴しい人々と仕事が出来て、いい作品に巡り会えて、とても感謝してい るし、幸運だったと思っているよ。でも、演技を始めてもう11年経っているから、そ んなに急に今の僕になったわけじゃないんだ。11年って言えば、今の僕の歳の半分よ り少し短いだけで、僕にとっては長い期間なんだよ」 若くして有名になると誰でも少しはエゴが出てきたりするものだが、彼にはそうい うところは見受けられない。 「エゴを出したりしたら、それは結局自分自身を辱める結果 を招くことになると思う からね。 僕の友人たちも、僕が今までやってきた仕事を皆結構気に入ってくれてはい るけど、時々『おまえがそんなに凄く良かったとは思わなかったよ』なんて言われと 、つい『どういう意味だい。 僕がどれだけ一生懸命働いたか知ってるじゃないか』っ て反論しちゃうけどね。まあ、成功をコントロールするというのはとても難しいこと だと思うよ。僕には破壊的な部分があるから、ちょうどバランスが取れていいんだけど」
「破壊的」という、彼のかわいい顔に似つかわしくない言葉が飛び出たので、どうい う意味か突っ込んで聞いてみると、「物事があまりに順調に進んでいると、何だか居 心地が悪くなってきて、自分自身の心の中で葛藤が起こるんだ。
もちろん、自分自身に対し ての期待というのはあるし、いい仕事をして人々を喜ばせたいとも思うけど、そうい ったことは実はそんなに重要じゃないんだと気付いたんだよ。何もせずに物事が起こ るのをただ待っているだけというのはもちろん駄目で、自分から積極的に関わってい き、出来るだけ一生懸命仕事をするのは当然なんだけど、ベストを尽くしたその後は 、キャリアがどんな方向に進んでいくかは僕のコントロール出来ることじゃないんだ 。そんなことを心配してもどうしようもないし、人生を楽しめなくなって髪の毛が抜 けちゃうのがオチだよね」 この若さですでに世の中をよく知っているという印象を受けるが、マイケル・ケイ ンやマイケル・ダグラスといった大ヴェテランの俳優からどういったことを学んだの だろうか。 「時間通りに撮影現場に行くことや、ちゃんと準備をしていくこととか、一生懸命や ると同時に楽しむこととか、とても基本的なことだよ。とても才能のある人々に共通 しているのは、まさにこういった当り前のことなんだ。マイケル・ケインは、現場で とてもリラックスしていて楽しみながら仕事をしていたね。演技に関して言えば、彼 はとても正直でその場に応じていろいろと違ったことをするんだ。それは、彼自身が やっていることに関して自信があるからこそ出来ることなんだよ。 演じている役柄や ストーリーを本当によく理解し、その他の登場人物とどういう関係にあるのかをよく 把握することで初めてリラックスして楽しむことが出来るんだ。マイケル・ダグラス も素晴しかったな。役者としてあんなに魅力的な人はいないね。最高だったよ」
ヨガの方はどうだろうか。「やったりやらなかったりだけど、5、 6年はやってるかな。ずーっと続けているわけじゃないんだ。僕には破壊的なところ があるって言ったように、ある日ふとヨガをやめちゃったりするんだよ。人との付き 合いにもあるんだ。気の合う友達と連絡を取り合ったりしていたかと思うと、急に日 記を書き始めたりして、心を閉ざして人との付き合いをしなくなったりするんだ。普 通の人間的な葛藤だと思うけど」 彼のこういった孤独を愛する一面は、スクリーン上にも反映されているように思え る。マグアイアが尊敬する俳優たちというのはどういう人なのだろうか。 「女優でいうとケイト・ブランシェットが大好きなんだ。ケイト・ウインスレ ットも才能があると思う。ほかにもいっぱい才能ある人はいるよ。 男優ではロバート ・デ・ニーロ。『レイジング・ブル』『タクシー・ドライバー』『キング・オブ・コ メディ』『ディア・ハンター』はすごかった。ダスティン・ホフマンも偉大な演技を 見せてくれたし、ショーン・ペンは、非常に幅広くいろいろな演技を見せてくれるよ ね。 『初体験リッジモンド・ハイ』ではサーファー、『カリートの道』では、誰が見 てもショーン・ペンとは思えないような赤毛のカーリーヘアのユダヤ人弁護士に扮し 、その次は『デッドマン・ウォーキング』、"Sweet and Lowdown"と、毎回全く違う 役に扮して、本当に信じられないような才能の役者だと思うよ。 彼は全キャリアを通じて常に素晴しい、幅広い演技を見せてくれるよね。僕も、しばらくはいい仕事を積 み重ねていきたいと思っているんだ」 |