

恋人、友人、親子、あるいは仕事仲間がテーブルを囲んで食事を共にすれば、本
音も飛び出し、 喧嘩の一つや二つも 起きるだろうし、ときには恋が芽生えることもあるだろう。そう、この作品は、
料理の知識やイ タリアの食文化に触 れるためのものではなく、「食卓の楽しみとは、共に生きること」と語った老詩
人の台詞に表わ されているように、 人生についてさりげなく、そして鋭く問いかけてくる。語らうということに無頓
着になりがちな 私たちに、食べるこ とこそ、人とコミュニケーションする最良の時間であると再確認させてくれる。
自宅の食卓では なく、非日常な場所 としてのレストラン。もちろん味が良くなければ始まらないが、大切なのは誰と
テーブルにつ き、どんな会話で心を 満たすかということなのだ。 (渡辺小夜)
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オーダーを受けて厨房から運ばれてくる料理と同じく、テーブルで展開されるド
ラマも実に様 々。誕生日を祝うグル ープ、結婚を前にしたカップル。口論が絶えぬ
者たちもいれば、孤独を癒しにく る者もいて、出 会いにときめく者も
いる。人との触れあいにあふれたこの店で、食事とともに会話を楽しむのはいか
が? もちろん ここに描かれる人生 は、イタリアというお国柄を反映し、世代によっては、重く苦しい現実も引きず
っている。しか しそれでも、万国共 通で普遍的な人生の真実が垣間見えるのは、自分たちの周囲に存在するような、
考え得るタイプ の人間たちが14のテ ープルについているからだろうか。ビデオの前のあなたもワイン片手にご鑑賞あ
れ。
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「理解し合う喜びを取り戻す」
エットレ・スコーラ監督interview |
数週間にわたって、それぞれの役者たちをビデオに収めた。15分ほどのインタ
ビュー形式で、 そこでは役者に自分 を忘れ、役柄になりきるようにお願いした。彼らは、私に答え、私さえも知らな
いことを語って くれたんだ。そして 撮影に入った。舞台は大都市ローマの小さなリストランテ。様々な目的を持って
外食を決めた客 たちがやってくる。 その目的は、話し合うこと、つまり理解し合う喜びを取り戻すこと。これは、今
日なくなってし まったひとつの習慣 だ。私は、世代間の関係や歴史を伝えていきたい。イタリアではすべてが漠然と
していて、決着 がついていない。本 作では、ある深い希望が語られている。ラストが曖昧に終っているのは、観客に
埋めて欲しいか らなのだ。私の映画 には“観客が自伝を語るスペース”があるのだから。(FILM
TV誌より抜粋) 監督=エットレ・スコーラ/出演=ファニー・アルダン、マリー・ジラン、ジャ
ンカルロ・ジャ ンニーニ
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“アルトゥーロの店”はローマにある町のイタリアンレストラン。美しいフロー
ラが、今夜も1 4のテーブルにさま ざまな客たちを迎え入れる。常連の老詩人、親子や恋人や仕事仲間。ワインと料
理が揃い、それ ぞれのドラマが始ま る。…そして、フローラ自身、今夜は何か大事な決断の時を迎えているようだっ
た。
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