実在した天才詐欺師をもとに映画化したスピルバーグの最新作。ディカプリオ、トム・ハンクスが実在した人物を演じる
『キャッチ・ミイ・イフ・ユウ・キャン』はクリスマスの12月25日にアメリカで公開した。同じくレオナルド・ディカプリオ主演映画『ギャング・オブ・ニューヨーク』に5日遅れでの公開となったが、どちらも早くも大評判をよんでいる模様。
1960年代半ば、FBIの指名手配リストにのった最年少の詐欺師フランク・アバングネル(レオナルド・ディカプリオ)の半生を映画化。ある時はパイロット、ある時は医者、そしてまたある時は歴史の教授。詐欺を重ね、逮捕されるまでに詐欺相当額250万ドルというから半端じゃない。彼が詐欺に目覚めたのは何のためなのか? それはクリストファー・ウォーケン演じる父フランクと関係があった、と心を動かされる父と息子の人間ドラマを描いているのはさすがスピルバーグ。
ディカプリオは16歳から21歳という父を敬愛する青年期のフランクのナイーブで頭の切れるキャラクターを繊細に美しく演じきっている。最近、男になった、大人になったと形容されることが多くなったがディカプリオだが、この手のヤンチャな役を演じさせるとこの人の右に出る人はなさそうだ。FBIの捜査官カールについては実際のところあまり明らかにされていないが、トム・ハンクスは決してあきらめない粘り強い捜査官カールを安定感のある演技で見せいている。ウォーケンの演技も1部ではオスカーの声が上がっている。
スピルバーグの久しぶりのコメディ映画。ついテーマ性がとりだたされる作品が続いているが、痛快なトムとジェリーのような「逃げ―追いかけ―また逃げられる」という話の展開はまさにはらはらドキドキのエンターテインメント映画として楽しめそう。ベトナム戦争、ウォーターゲート事件以前の60年代のアメリカのディテールも盛り込まれ、ちょっぴり懐かしくおもう人もいるかもしれない。撮影はLA、NYの他に北アメリカの古い都市ケベックや17世紀の町並みのモントリオールでもロケーションが行われ何もかもスケールが大きい。
ディカプリオ、ハンクス、ウォーケンの演技派を実在の人物をもとにスピルバーグがコメディ要素たっぷりのライトなドラマに料理したなんて聞くだけでも贅沢。日本での公開もクリスマスプレゼントといかなくても、せめてお年玉上映して欲しかった。
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