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2003年5月

私的映画宣言

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映画ライター
ヨブラジル映画『シティ・オブ・ゴッド』が面白かったんだけど、冒頭の5分ほど見られなかった。鶏の解体シーンがあったので。鳥恐怖症なんです。食べるのも怖い。それと高い所も怖い。さらに巨像も怖い。大仏とかね。
ライター
長年、夜型人間だった私ですが、考えるところあって、朝型にチェンジ! しかし朝ご飯を食べると睡魔に襲われ、ゴロ寝してる。1ヶ月経った今、健康的というより、何となくデブった感。もう夏本番なのにぃ~、今年もまた、たるるんな体だ。泣!
ライター
5月はカンヌ映画祭の季節。地中海の青い空の下、昼間から堂々、酒が飲めるのは嬉しいけど、今年はSARS問題でアジア人が差別を受けるのでは?と心配。口の達者な仏人とケンカするだけでエネルギー消耗。憂鬱。
  TAXi3

本国フランスでは国民的大人気のカー・アクション・エンターテインメント『TAXi』シリーズの第3弾。今度の敵は知的犯罪集団。お馴染みのプジョー406がなんと雪のアルプスを縦横無尽に駆け抜ける。製作・脚本はリュック・ベッソン。監督は前作同様、『WASABI』でもベッソンと組んだジェラール・クラヴジック。また、ニューキャラクタに中国出身で『アンナと王様』などのバイ・リンが妖艶な魅力で存在感を見せた。主演はお馴染みのサミー・ナセリとフレデリック・ディーンファンタルが、またまた大爆笑のおとぼけキャラを楽しませてくれる。また、あの有名なハリウッド・スターがカメオ出演するシーンにも注目。
日本公開:5月17日
(丸の内ルーブル他全国)
上映時間:1時間27分
配給:アスミック・エース エンタテインメント



このシリーズを見るたびに、おフランスの人も馬鹿な映画を見るんだなぁってなんだかホッとする。エスプリとかいう皮肉な笑いじゃなくて、ストレートでベタな笑いと問答無用のカーアクション満載だからね。でも前作では空を飛んでたタクシーが、今回は雪山爆走ってちょっとパワーダウン気味だなぁ。とはいえシリーズも三作目になって、キャラクターたちもこなれてきて定番ギャグが気持ちよくなってきた。なんだか安定感が出てきたから、これは本当に長寿シリーズになるかもね。


いつのまにか、母国フランスでは国民的映画にまで出世したほどの人気作。今回はタクシー野郎のダニエル&警官のエミリアンが二人揃って、父親になるという男としての成長も描かれて、シリーズならではの楽しさもあると言いたいところ。でも、3作目ともなれば、タクシーが突如スーパーカーと化しても、新鮮な驚きはない。というワケでマンネリ打破を狙ったんだろーが、肝心な雪山でのカーチェイスをウリにしている割には爆走どころか迷走ってのはどーよ。それにしても、毎回思うこと。この変身タクシーは要らないけど、山のようにオシャカにするクルマの1台でいいから、あたしにチョーダイ! 冒頭のクレジットや雪山でのカーチェイスシーンなど、「007」映画のモロ真似。ちゃんと仕事しよーよね、ベッソン!


相変わらず低レベルのギャグ炸裂でアホです。紛れもなく『ダンサー』『WASABI』と珍品を輩出しているベッソン・ブランドの珍品です。でも、そんな事はモータースポーツ好きにはどうでもいいのだ。いかにフランスの石畳の街中で、無茶な暴走を繰り広げているか。改造おたくのダニエルが、「007」よろしく、どんなニュー・カーを披露してくれるのか。それだけを楽しめればいいのだから。言ってみれば、アミューズメント・パークに遊びに行く感覚に近いかも。ただ、今回の見せ場である雪上でのカー・チェイスがあまり迫力がなく、ラストに近づくにつれ、アクションが尻すぼみしたのは残念。冒頭の豪華ゲスト登場でチャラにしてやるが。

 NARC
作品に惚れ込んだトム・クルーズが製作総指揮を買ってでたという壮烈な刑事ドラマ。主演は『スピード2』のジェイソン・パトリックと『ハンニバル』のレイ・リオッタという熱き演技派の顔合わせ。脚本・監督を手がけたのは、この作品で認められ『M:I-3』の監督に抜擢された新鋭ジョー・カーナハン。冒頭からラストまで息つく間もないほどに緊迫感にあふれたストーリーと演出、なによりもパトリックとリオッタのパワフルな演技に圧倒される。

日本公開:5月24日
(日比谷スカラ座2他)
上映時間:1時間45分
配給:UIP


圧倒された。正義漢刑事と悪徳刑事のバディストーリーの定番を想像したんだけど、甘かった。レイ・リオッタとジェイソン・パトリックの熱き役者バカ二人が複雑な人物を作り上げてて、簡単にステロタイプにはめられないんだなぁ。もちろんストーリーも物凄く凝ってて先が読めない。といっても難解だったり複雑すぎたりするわけじゃない。ラストにはすべてがスッキリするし。でも銃撃戦の音とその合間の怒鳴り声が凄い。見終えたら圧倒されすぎてしまってヘトヘトでした。


話自体には新味はないし、役者も地味。トム・クルーズが本作に惚れこんで、監督のジョー・カーナハンを『ミッション:インポッシブル3』の監督に抜擢したという話がなきゃあ、ビデオスルーだったに違いない。でも、仕事だと言いながら、捜査にのめり込む男たちの悲哀を見事に描写。演出にムダがない。妻に責めたてられたジェイソン・パトリックが浮かべるやるせない表情もいいし、レイ・リオッタも上手い。思わぬ拾いモノした気分になれる作品。


“狙った獲物は逃がさない”トム・クルーズが、本作品に惚れ込み、製作総指揮に名乗り出たことで話題になったこの作品。でも映画ファン的には、主役の2人に注目でしょう。ジェイソン・パトリックとレイ・リオッタ。極めてB級濃度の高い2人が競演し、それが大手パラマウントで公開されるなんて。酷評された『スピード2』以降、髪はますます寂しくなり、スーパーモデルの彼女には逃げられ、苦い経験をしたジェイソン。方や『ハンニバル』でレクター博士に脳みそ喰われるという、世界中の人から失笑を買ったリオッタ(日本でも一時、伊良部投手似でネタに)。2人の復活作、いや、最高傑作と言わせてもらうよ(泣)。

 トゥー・ウィークス・ノーティス
ニューヨークを舞台にヒュー・グラントとサンドラ・ブロックの2大スターが繰り広げる、まさに王道をいくラヴ・ストーリー。ハンサムな御曹子と社会派女性弁護士というはまり役の2人の掛け合いは絶妙。監督、脚本は本作がデビュー作ながらも『デンジャラス・ビューティー』の脚本でブロックの作品を手掛けてきたマーク・ローレンス。ニューヨークのさまざまな場所で撮られたシーンは街の新たな美しさも再発見。

日本公開:5月24日
(日比谷映画他)
上映時間:1時間41分
配給:ワーナー・ブラザース映画
(C) 2002 Warner Bros. All Rights Reserved/(C) 2002 Village Roadshow Films (BVI) Limited


社会派でガチガチの弁護士と享楽的な金持ちお坊ちゃんの恋物語。この設定は面白いけど、ストーリーにあまり活かされていないのが残念。小ネタはなかなかに冴えてるんだよね。大笑いはできないけど、随所でクスリと笑ってしまうセリフのやりとりがあって楽しめました。ここの所、ヒュー・グラントの作品てほとんど全部セリフが面白い。しかもどの作品も笑いのセンスが似てる気がする。シナリオがヒューのキャラに合わせてる? ヒューのアドリブが採用されてるのか? だったら凄い。


相反する者同士が恋に落ちる、なんてのはラブコメの定番。そして舞台はロマンチックなロケーションに事欠かないニューヨークで、女性ウケする材料も盛りだくさん。しかも、ヒュー・グラント扮する独身社長は優柔不断の甘ったれ野郎だけど、微妙に母性本能くすぐるキャラで、女性を自分好みに変えるどころか、歩み寄ってくれるのだ。こんな都合のいい男となら恋愛したい……と思わず浸りたくなる。でも、個人的にサンドラ・ブロックがダメなもんで、ハッピーエンドにも酔えませんでした。


反発していた2人が恋に落ちるという典型的なラブ・コメ映画。そうと分かっていても本作品を贔屓にするのは、ドタバタではなく、ウィットに富んだセリフで笑わせてくれること。例えば女喰いで有名な不動産会社社長のヒューに、「ウチの弁護士になって欲しい」と口説かれた時の、サンドラのセリフ。「だったら、寝る方を選ぶわ」。クッー! 痛快。そんなセリフ、吐いてみたいモンだ。この絶妙なやり取りも、ヒューとサンドラという、ラブ・コメの帝王&女王だからこそ成り立つ。2人とも、伊達にラブ・コメに人生を捧げてないね。『8mile』同様、この2人も交際説があったっけ。こっちはいかにも番宣臭さを感じるのはなんでだろう?

 8Mile
人気、実力ともトップクラスのラップ・アーティスト、エミネム自身の半生を基に描かれた衝撃作。エミネムが映画初主演にして圧倒的な存在感を見せつけ、全米では大ヒット。R指定作品歴代2位の興行成績を記録した。『L.A.コンフィデンシャル』のカーティス・ハンソン監督が単なる青春ものとは一線を画し、その画面から重厚感と緊張感とみごとに引き出す。キャストに同じく『L.A.コンフィデンシャル』のキム.ベイシンガー。エミネムによる楽曲はアカデミー賞の歌曲賞にノミネーションされている。エミネム・ファンならずとも必見の作品。 

日本公開:5月24日
(日比谷スカラ座1他))
上映時間:1時間50分
配給:UIP


冒頭いきなり白人ラッパーなんてダサイぜってな自虐的ツッコミが入るんだから挑戦的だ。「そこまで言うんじゃエミネムのラップの凄さを見せてもらおうじゃない」って思わせる。その見せ方がカーティス・ハンソン監督はウマい。エミネムの鬱屈した日常を見せながらチラリチラリと彼のラップの技を小出しにする。だからすっかり感情移入しちゃって、ラップのビートが始まるとエミネムがうまく歌いだせますようにって祈ってた。ラストの“凄さ”の見せ方も鮮やかでお見事!


人気ラッパー、エミネムの半自伝的な物語と言うと引いてしまうかもだが、これは快作だ。『L.A.コンフィデンシャル』や『ワンダー・ボーイズ』など、己のプライドにこだわる男の姿を描いてきたカーティス・ハンソン監督だけに、本作でも熱い! 人気スターだからって、飾り立てたり、甘っちょろくもないのもいい。とくに、クライマックスのラップバトルはヘタな格闘技なんか比較にならないほどの、凄まじい迫力。強烈な言葉嬲りには圧倒されて、久々、血湧き肉躍る気分になれた。あー、爽快!


ジョージ・クルーニーが絶賛していたから「間違いない」と思ったけど、私の関心は作品の質よりこっち。「エミネムとブリターニー・マーフィーの本番疑惑を検証する」こと。その結果は……、ありゃマジだね。いわゆる、駅弁スタイルのエッチなんですが、ブリタニーったら、わざわざ手に唾液を付けて自身のアソコを濡らし、おまけに白目までむいちゃって。艶めかしいシーンだわ。うふっ。でもエミネムって、母親役のキム・ベイシンガーとも交際の噂もあったはず。売れっ子女優2人をイカしちゃうなんて、それだけエミネムが魅力あるってこと。ストライクゾーンも広いね(笑)。

 トーク・トゥー・ハー
前作『オール・アバウト・マイ・マザー』から3年、本年度アカデミー賞監督賞、脚本賞ノミネートのほか世界中で絶賛された、ペドロ・アルモドバル監督が贈る究極の愛の物語。愛する女性が昏睡状態に陥った時、悲嘆に暮れるしか術のない男と、諦めることなく呼びかけ続ける男。彼らの運命を、世界的舞踊家ピナ・バウシュの舞台やサイレント映画を巧みに挿入し、時空を交錯させながら描く。全編を貫く現代人の孤独と、切ないまでのコミュニケーションへの渇望が胸に迫る。

日本公開:6月
(テアトルタイムズスクエア他)
上映時間:1時間53分
配給:ギャガ・コミュニケーションズ


祖母が病床にあって時折、世話を手伝う。その時に痛感するのが、“触れる”ことに慣れていないってこと。起きるのに手を貸す時におっかなびっくりで役に立たない。だからこの作品は切なかった。植物状態にある恋人に触れられない男なんて……。その一方で全身全霊をこめて惚れた女性を看護する看護士。しかし、ただの美談じゃない。看護士は彼女に“触りたかった”のだ。彼の妄想が膨らんだ過程を想像すると怖い。だけど彼の思いも理解できないわけじゃない。ウーン、深い。


自分にとって大切な人間を失ったことがある。病だったので、この物語とは違うのだが、昨日まで会話していたのに、突然、その人は昏睡状態に陥り、どんなに話しかけても、何をしても反応しない。二度と目覚めないと言われていたが、話しかけることで絶望的な毎日から自分が救われてるような気がしてた……。なんてことを思い出し、冷静に見てられなくて、涙ボロボロ。それにしてもアルモドバルが描く愛の物語は、なんて美しくて悲しくて、残酷で滑稽なんだろうか。


“スペインの林家三平師匠”、もとい、“スペインの奇才”の異名は健在。ストーカーしていた彼女が事故で植物人間となったら、介護役を名乗り出て、ついにレイプ→妊娠させちゃった男性の話を、究極の愛の物語として昇華させちゃうんだから。そのストーカー野郎が影響を受けるサイレント・フィルムが、また泣ける。劇中に挿入するために製作された、その名も「縮ゆく恋人」。“南くんの恋人”状態になった彼が、ついには彼女の胎内に入って一体になるという、これまた変態とアートの境界ギリギリの名作。もう隅から隅まで、アルモドバル・ワールドでいっぱいだ。建築家ガウディしかり、スペインってホント、奥深い。

イラスト:micao
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