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2004年9月

私的映画宣言

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ライター
オリンピックも終り、いい体に餓えている、今日この頃。『アイ,ロボット』のウィ ル・スミス、いいねぇ。同性なら、『キャット・ウーマン』のハル・ベリーや『ツイステッド』のアシュレイ・ジャドの身体に憧れる!根っから、怠け者の私向きの何か楽して、いい体になれる朗報があれば、誰か教えて下さい。
ライター
話題の韓国映画『オールド・ボーイ』を見て、いろんな意味で衝撃を受けてしまった。どうしても、原作コミックが読みたくなり、都心の大手書店を歩き回ったが、運悪く見当たらず、欲求不満気味に帰途についたら、地元の駅前にある書店にドドーン平積み。早速、全8巻読んだのだけど、映画でユ・ジテが扮した男の顔が、コミックでは西村雅彦にクリソツだった。ストーリーも要所要所違うので、読み比べると、また衝撃を受けます!
ライター
以前からキム・ギドク監督作が大好きなのだけど、今年のヴェネチア映画祭で見た『3-iron』にノックアウト。以後、見る映画どれもがつまらなく思えるくらい「うま い!」と唸りたくなるような語り口。内容は『悪い男』から70%ぐらい毒を抜いた愛おしいくらいのラブ・ストーリー。シャイで不器用な主人公って、監督自身なのかしらん。日本の婦女子よ! これからはヨン様よりもキム・キドクだ!
 父、帰る

家を出てから十数年ぶりに戻ってきた父と、彼を覚えていない息子たちとの小旅行を通じて父親という存在を描く人間ドラマ。2003年度ヴェネチア国際映画祭の金獅子賞・新人監督賞をはじめ世界各国の映画祭で数々の賞を受賞した、アンドレイ・ズビャギンツェフ初監督作品。映画界では“新人”のスタッフが、同じく新人の監督のもとに集まって撮られた本作は、初監督とは思えないほど高い完成度を誇り、ロシア映画の新たな傑作として名を連ねた。

日本公開:9月11日(日比谷シャンテ 他)
上映時間:1時間51分
配給:アスミック・エース エンタテインメント


「この人は本当にお父さんなのだろうか」「これまで何をしていたのだろうか」「なぜ、帰ってきたのだろうか」「何を職業にしている人なのだろうか」「あの箱は何なのだろうか」……観客にも子どもたちと同じ情報量しか、与えられないため、最初から最後まで想像を膨らませ続け、突然、終わる。映像の一つ一つも絵画のように美しくて罪作り。イメージの試験のようだ。真剣に映画に対峙する気がない人には全く面白くないはず。子役の演技がまた秀逸。反抗してばかりの次男の方が確実に演技が上手いが、対照的にナイスキャラ長男のひょうひょうとした存在感も忘れ難い。それだけに彼の訃報を聞いて、がく然とした。ラストシーンの行き場のない気持ちは、エンディングのモノクロ写真の温かさに救われる。


ロシア人監督というと、タルコフスキーやソクーロフが思い浮かび、睡魔に襲われるのではないかと思ったが、目は釘付けの2時間弱。ただ父親と息子二人が旅する話だけなのに、12年ぶりに帰ってきた父が一体何者なのかわからないという謎だらけで進む展開にグイグイと引き込まれた。昨今、サスペンス映画と言いながら、すぐにネタバレする作品も多いが、これは極上のサスペンス。まさかの結末と、示唆を含んだ描写が実に見事。なにより役者がいい。粗野で寡黙だが、思慮深い父親を演じている役者、そして息子を演じた二人の少年。とくに、下の息子を演じた彼の目が凄い。写真でしか見たことのなかった父親に憧れを抱いていたのが、父親が無口であるがゆえに、彼を誤解してしまい、失望の対象となり、次第に憎悪していく過程は恐怖。現実に家族を取り巻く悲惨な事件が多い中、改めて家族の絆やら、父親の存在を考えてしまった。


基調となっていると青とロシアのピンと張りつめた空気がフィルムにそのまま出て、ロシア映画ならではの清涼感のある美しい映像は健在。12年ぶりに帰ってきた父親と子供たちが旅を通して距離を縮めようとする。その単純なストーリーの中にも、ぐいぐい観客を引きつけていく力があって、新人監督ながら「お主、やるな!?」ですよ。しかしなぁ、あざとい。あざとさがツンと鼻に突く。セリフも少なく、親父の行動に関してもナゾな部分が多く、説明が一切ないんだが、どうやらプレスを読む限り「想像にお任せします」的な犯行なんだな。アートってのはそんなモノなのでしょうが、スクリーンに描かれていることしか理解できないおバカな私には理解できません。

アイ,ロボット

SF界の巨匠、アイザック・アシモフの「われはロボット」を原案に、『クロウ』や『ダークシティ』の革新的な映像が目を引くアレックス・プロヤス監督が描いたアクション・スリラー大作。ウィル・スミスを主演に、『トータル・フィアーズ』のブリジット・モイナハンやジェームズ・クロムウェルらが共演。人類が追求したテクノロジーの暴走や壮絶なアクションを交え、知的なエンターテイメントとなった大作。全米では初登場1位を記録したヒット作。

日本公開:9月18日
(日劇 他)
上映時間:1時間55分
配給:20世紀フォックス映画



CG映画は感心しても、感動はしない。そんな言葉を覆す一作。泣けた! CGのロボットに。デザインの勝利なのか。ロボットに心とまでは言わなくても、スピリットがあるのだ。ううっ、星新一の描いた未来のように有機質なSFだった。特に使い古されたセコハンロボットたちが人間のために行動するという指令を忘れないで、最新型に立ち向かう場面には涙、涙。気になったのはやたらコンバースのハイカットをウィル演じる刑事が自慢するところ。タイアップ? そんなウィルの超いい身体はちょっと未来系。あまりに立派過ぎて、人工的な胸板&太ももはCGかと疑うほど。見とれること数分。『アリ』の名残なのか。こんな刑事ならモテモテだろうな、乗ってる車もアウディだし。未来は刑事も高級取り? 


もっとメカメカしたロボットが登場するかと思いきや、予想以上にキュートなロボット君登場。ウィンクしたり、夢見たり……そんなロボットを相手に、ロボット嫌いの刑事に扮したウィル・スミスが悪乗りし過ぎず(『バッドボーイズ2バッド』)、かと言って力み過ぎず(『アリ』)の演技を見せているところに好感。また美人女優ブリシバット・モイナハンを起用しながら、安直に主人公と恋愛ムードにならないってところもいい。監督のアレックス・プロヤスは『ダークシティ』で独特な映像センスで魅了してくれたけど、今回の近未来図も圧巻。ウジャウジャと現われるロボットの大群には寒気が走るし、クライマックスの壮絶なバトルシーンには、高所恐怖症ならば絶対、目を回すこと必至。参りました。


今年のベネチア映画祭の『シャーク・テイル』の会見で、記者がロバート・デ・ニーロに「米国映画はSFXを使った作品や単純なストーリーが多いがどう思うか?」と投げかけたら、ウィル・スミスが「聞いてられないなッ!」と席を立って記者を殴りに行くフリをして笑わせていた。君はSFXたっぷりのこの『アイ,ロボット』にも、単純なストーリー(代表『バッドボーイズ2バット』)にもいっぱい出ているもんね(笑)。でも今回は、柔らかイメージのウィルが出て正解。未来社会を警鐘するSF映画って、どうも大上段からモノを言われているようで好きじゃないのだが、「ロボットは信用ならん」という君の役柄に共感してすんなり見ることが出来た。ウィルを見直した。

 インファナル・アフェア 無間序曲


ハリウッドでのリメイクも決定し、日本でも大ヒットした『インファナル・アフェア』の第二章。今回は過去に戻り、連綿たる家系と宿命の原点に迫る。前作同様ウォン警部を演じるアンソニー・ウォンと、マフィアのボス、サム役のエリック・ツァンが物語の鍵を握る。後に対決することになる、若き日のヤンとラウに扮するショーン・ユーと、『ジェネックス・コップ2』のエディソン・チャンら若手俳優の活躍も見逃せない秀作。

日本公開:9月18日
(シネマスクエアとうきゅう 他)
上映時間:1時間59分
配給:コムストック




次から次へと事件が起き、まったりしている時間が全くない119分。終わった後はぐったり。前作のトニー・レオンとアンディ・ラウの扱いは対等だった気がするが、今回に限ってはエディソンの方が、ぐっと見せ場が多い。元モデルのショーンはハンサムだけど、いい場面が少な過ぎ、義兄を目の前で失う場面ももうちょっと力入れて欲しかった。血筋から警官への道を志し、逆にスパイとして使われ、地の繋がった人々を裏切るという複雑な役柄をトニーならまだしも、無表情ショーンに任せるのは無理だった。エディソンの横恋慕、失恋からの屈折の演技は説得力あったのに残念。それから、相変わらずモテ役のカリーナ・ラウ。そんなにいい女かぁ。ただのやっかみか。とにかく、早く、次回作が見たい。


香港若手俳優エディソン・チャンとショーン・ユーが活躍するのかと思ったら、続編で物語の主軸になるのはアンソニー・ウォンとエリック・ツァンだった! 敵対することになる警察と組織のボスが深い友情があったという話で、若い頃を演じても、やっぱり渋々なアンソニーとひょうひょうとしたノリのエリックのからみ合いが最高。突っ込めば、二人の関係はそれって癒着だろうと言いたくなるが、アロハを着て二人で海に立ってる風景なんて、道は違えど分かり合える男の友情なんてものを見た気分。そんな男二人の間を行ったり来たりのカリーナ・ラウの姐御っぷりもいいし、香港黒社会を牛耳る野望を持つ男として登場するフランシス・ンも魅せる。ハリポタ第3弾で好きなオヤジ俳優三つ巴の戦いを見て狂喜乱舞した私ですが、香港オヤジ俳優3人衆でまたまた幸福な瞬間!


荒波から三角マークが飛び出す会社の映画を見て育った者としては、血で血を洗う容赦ない抗争にゃ、血湧き肉躍る。前作はトニー・レオンVSアンディ・ラウという人気スター対決だったから“マフィア”って感じだったけど、今回の主役はどちらかというとアンソニー・ウォン(天知茂・似)やエリック・ツァン(「白い巨塔」の西田敏行風演技)と親父たちがメーンで、ますますザ・ヤクザ。香港版『仁義なき戦い』だ。そう、親父たちはイイ。女が、かなり董(とう)の立っちゃっているカリーナ・ラウとはしょぼい(実生活でもトニーの恋人だけど、トニーは何か弱味を握られて別れられないのか?)。ここは日本のヤクザ映画を見習って、せめて豊満ボディのかたせ梨乃系で“色”をプラスしたい。

 モンスター

全米初の女性連続殺人犯アイリーン・ウォーノスの生涯を映画化し、主演のシャーリーズ・セロンが2003年度アカデミー賞主演女優賞とゴールデングローブ賞主演女優賞を受賞したクライム・スリラー。脚本も兼任するパティ・ジェンキンスは本作が初監督。この他クリスティーナ・リッチ、ブルース・ダーンらが出演。体重を10キロ以上も増やし、美貌を微塵も感じさせないメイクで殺人犯の深層心理に迫ったセロンの体当たり演技に要注目。

日本公開:9月25日
(シネマライズ)
上映時間:1時間49分
配給:ギャガ・コミュニケーションズ





本当に「モンスター」だった、シャーリーズ・セロン。13キロ増量で、ああも外見が変わるものなのか。短期間で太ったはずなのに、くっきり腰回りにセルライトの歪みがあった、強烈! 太った根性がすごいのではなく、太っているからこそ出せるだらしなさは、オスカー取って当然の表現力だ。逮捕後はちょっときれいにまとめ過ぎだけれど、連続殺人犯を同情する目線で描かず、淡々と事実中心に描いているのは好感を持った。クリスティーナ・リッチの愛くるしさも、世間知らずの女のコ役によく、ハマっていた。セロン演じるアイリーンが、人生狂わすだけのピュアな感じがよく出ていたと思う。当時のヒット曲、ジャーニーやREOスピードワゴンの音楽はベストヒットUSA世代にはたまらない選曲だ。


シャーリーズ・セロンの醜女ぶりに頭は下がる。が、その姿を見て、私の頭に浮かんだのはジョン・ボイドだった!(アンジェリーナ・ジョリーの父)。肩をいからせ、そり返り気味に歩いたり、バーでタバコをふかす姿などが激似。そういえば、物語も彼の若き日の作『真夜中のカウボーイ』を彷彿。とまあ、気になって仕方なかったので来日した監督のパティ・ジェンキンスを取材した際に確かめたら、作品自体、『真夜中のカウボーイ』の影響を受けてるとのこと。個人的に納得! それはともかく、取材をみっちりやって作ったという割には、出来上がりは連続殺人犯に同情を寄せた描き方。とくに最後。クリスティーナ・リッチが扮したパートナーの身勝手さにリアリ ティがある。というわけで、見事オスカー女優になったシャーリズよりも、伊達に子役から女優やってんじゃないっ! のクリスティーナの演技の上手さが光っている。


本作品はシャーリーズ・セロンの変貌ぶりが話題。気になったのは、肉体。着替えるシーンの時、腹あたりに脂肪線がくっきり。今夏、フランスで「脂肪線が4週間で消える!」と唱っていたVICHYのボディクリームをせっせこ塗っていた私には、効果の程が全く分からなかったが、シャーリーズ姉さんはその後、脂肪線は消えたのでしょうか? 金の力で何とかしたと思うが、そこまで肉体を改造した姉さんの根性はアッパレ。でもちょっと汚れすぎ。あの風体で男たちが次々寄ってくるのだが、匂いがつーんと漂ってきそう。そこからエッチに発展するとか、ましてやレズに発展するとか想像し難い。問題はハートなのでしょうが、全体的に逆にその風貌がネックとなって引いて見てしまった。

 モータサイクル・ダイアリーズ
ラテン・アメリカの英雄チェ・ゲバラの“友人との南米縦断旅行”を、ロバート・レッドフォードが長年あたためてきた企画をブラジルの名匠ウォルター・サレスを監督に迎え映画化。若き日のゲバラにメキシコの新鋭ガエル・ガルシア・ベルナル、ゲバラと南米を旅する友人をゲバラの実の“はとこ”のロドリコ・デ・ラ・セルナが演じる。2004年のサンダンス映画祭とカンヌ国際映画祭コンペ部門正式出品作品。中古のバイクで巡る南米大陸の風景は心に迫る迫力。

日本公開:10月9日
(恵比寿ガーデンシネマ 他)
上映時間:1時間49分
配給:日本ヘラルド映画




前半は完全にロードムービー。南米と一言で言っても、土地が変われば、文化も変わる。微妙に近くて、違う音楽。ダンス好きなことは一緒でも、ダンスの種類がまた違う。地理の授業のようでちょっと楽しい。中盤以降は社会派ドラマ。ハンセン病の人たちが受ける差別を目の当たりにし、対抗するエルネストたち。彼らが完ぺきなヒーローではなく、ほんの少しだけ熱い男のコとして、描かれてるから、共感できる。この旅で得たさまざまな経験が、彼の意識を変え、その後の活動へと結びついていったことも理解しやすい。エンディングの写真で見る、若き日のゲバラがまたハンサム。ガエルくんより相当、背も高い。ハンサムで医者で正義の男。見た目このまんまの人がやったら、嫌みだったかも。


南米大陸をおんぼろバイクで旅しようという無謀な計画も、若いからこそできること。でも、あの革命家チェ・ゲバラがそういう無鉄砲なことをやったとは……知らなかった。しかも、そんな若き日のゲバラを、ガエル・ガルシア・ベルナルが好感度120%ぐらいの勢いで演じている。夢と希望にあふれる青年で、生真面目でちょっと奥手で、ダンスがヘタでというウブな姿に、またまたガエルファン急増間違いなし!キュートだ。そんな彼とデコボココンビで旅する親友アルベルトに扮したロドリゴ・デ・ラ・セルナも、ちゃらんぽらんなラテンの男を好演。また南米のほこりっぽくまったりとした熱を感じる映像もいいのだ。これを撮ったウォルター・サレス監督は中田秀夫監督の『仄暗い水の底から』をリメイクしているが、果たしてどうなんだろう……期待大。


「バイク」、「旅」、そして「ガエル」。私のアドレナリンをドピュ!と噴出させる三大要素が入っておりまして文句の付けようがございません。えっ? ガエルの体型 はずんぐりむっくり? 前頭部分の毛量が危険? 何をおっしゃいますやら。あの人なつっこいキュートな笑顔と演技力があれば、それで十分じゃございませんか。加え てカリスマ性ある風格といい、まさにゲバラを演じるために生まれてきたような俳優よね。ハリウッドからたくさんオファーを受けているのもかかわらず、目先の金より、実際に旅をしながら撮影に4ヶ月もかけた本作品をチョイスしている姿勢もいい。“メキシコのジョニー・デップ”、いや“メキシコ映画界の革命児”を私は一生見守り続けると、本作品で再決意致しましたッ!

イラスト:micao

 

 

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