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すてきなオヤジ俳優図鑑~座談会~

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イギリス編 アメリカ編 注目の新作紹介
すてきなオヤジ俳優図鑑~座談会~
30代ではまだまだ、40代でやっとかくし味がしみ出し始める……そして50代でオヤジの魅力全開! そんなすてきなオヤジ俳優を私的映画宣言でもおなじみの、オヤジ俳優偏愛家のライター2名の愛あふれるトーク。たまにはオヤジ俳優にも目を向けてみよう!
 
M:前田かおり  I:今祥枝  司会・文:高橋諭治
【すてきなオヤジ俳優/イギリス編】イギリス系オヤジたちはお茶目&ダンディでどんな役柄もこなせる!
司会:“すてきなオヤジ俳優”ということで、まず思い浮かぶのは誰ですか。
 
I:すてきなオヤジの宝庫といえば、やっぱりイギリスでしょう。その代表格がジェレミー・アイアンズ。ぜひ観てほしいのは『ダメージ』や『運命の逆転』あたりかな。
 
M:『戦慄の絆』とか『仮面の男』もあるよね。特に『仮面の男』は、ジェレミーにジョン・マルコヴィッチ、ジェラール・ドパルデュー、ガブリエル・バーンが四銃士を演じたオヤジ俳優そろい踏み映画。
 
I:そう、オヤジ好きにとっては主役のディカプリオは興味なし(笑)。
 
司会:何でイギリスがオヤジ俳優の宝庫なんですかね。
 
I:ジェレミーとかマイケル・ケイン、イアン・マッケランのようなイギリスの俳優たちは、舞台で長いキャリアを積んでるから俳優としての土台がしっかりしてる。俳優業を仕事としてとらえてるから、基本的にやれる仕事は受けるというスタンス。だから芸術家ぶらないし、偉そうなスターとしても振る舞わない。きっちりと仕事ができることがすてきなオヤジ俳優の条件。
 
M:私もジェレミーは大好きだけど、『タイムマシン』みたいな変な映画でも出るよね。
 
I:そう! ときどき「えっ」って思っちゃうような外す仕事をしてるところもいい。外しちゃっても実力があるから許せるし、変な仕事の中にもアートな香りが(笑)。
 
M:ダンディであることもすてきなオヤジ俳優の条件でしょう。イギリス系のオヤジにはスーツが似合うオヤジが多いよね。例えば『ダイ・ハード』のアラン・リックマン。あのスーツ姿のテロリスト役に惚れました(笑)。彼は声もすてきだし。そのくせ『ギャラクシー・クエスト』で妙な被り物をしたり、『ドグマ』でとんでもない天使を演じたり。
 
I:イギリスのオヤジ俳優ってマジメな演技をしているときもユーモアを忘れない。深刻な役柄をやっても単に暗いだけにならない懐の深さがある。お茶目なのよね。
 
M:「そんなのよくやるよ」っていうくらい、変なキャラを真剣にやるからすごい。
 
I:『スティル・クレイジー』や『銀河ヒッチハイク・ガイド』のビル・ナイなんて最高におかしい! クライヴ・オーウェンはオヤジというにはまだ若いけど、舞台出身だし、今後すてきなオヤジへの道を歩みそう。
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【すてきなオヤジ俳優/アメリカ編】下積みの苦労や気骨を感じさせるアメリカのオヤジたちが味わい深い!
司会:アメリカのオヤジ俳優はどうですか。例えばリチャード・ギアとか。
 
M:ギアはオヤジじゃなくてオジサマ。
 
司会:えっ、オヤジとオジサマってどう違うんですか?
 
M:オジサマって品のいいイメージでしょ。ギアは『Shall we ダンス?』みたいな役柄はとてもうまくこなすけど、いつも品がよくて格好よすぎるというか。ジェフ・ブリッジスみたいに、格好いい役もうらぶれた役もこなせるのがオヤジ俳優。
 
I:極端に言えば、オヤジ俳優は格好よくなくてもいい(笑)。オジサマ的な知的でジェントリーな魅力はオヤジ俳優にも絶対ほしい条件だけど、格好いいとか顔がいいとかは重要じゃない。ルックスがどうこうよりも、舞台などで長い下積み時代を経験して、だんだん映画でメジャーになっていった人たちこそがすてきなオヤジ俳優だと思う。
 
M:例えば『グッドナイト&グッドラック』のデヴィッド・ストラザーン! 彼は売れなかった時代に道化師とかやったこともあるらしいし、そういう苦労人が生き残って、ああいう陰影あるハードボイルドなキャラをこなしてくれるとうれしくなる。
 
司会:ジョン・セイルズ監督作品などで田舎のオジサンとかをコツコツと演じてきたベテランですね。
 
M:そんなストラザーンを、これまでとまったく違う役柄で主役に抜擢したジョージ・クルーニーも凄いよね。
 
I:もともと老け顔のクルーニーもいいオヤジ俳優のひとり。プレミアリーグのチェルシーのモウリーニョ監督を演じる企画を早く実現させほしい。
 
M:モーガン・フリーマンも下積みの人。『ドライビング Miss デイジー』で売れるまでが長かった。
 
I:かつての苦労が顔や佇まいににじみ出てる(笑)。その人の人生が風ぼうに表れてるような俳優って、やっぱり魅力的だと思う。
 
司会:最近、アメリカのオヤジ俳優はTV界でも活躍してますよね。
 
M:「CSI:科学特捜班」のウィリアム・ピーターセン! 「CSI:マイアミ」のデヴィッド・カルーソもね。
 
I:ピーターセンはかつて『ヤングガン2』とかのメジャー作品に出てたんだけど、映画界でやりたい役柄に恵まれなくて、舞台に戻った人なのよね。しかも華やかなブロードウェイじゃなくて地味なシカゴの自分の劇団に(笑)。「CSI」の質を守るためにスピンオフ企画への反対を表明したり、気骨あるポリシーの持ち主でもある。
 
司会:ポリシーがある、といえばワンマン系のオヤジたちですね。クリント・イーストウッドとか。
 
I:でもイーストウッドには、ジェレミー・アイアンズのような色気がないから……。
 
M:言うまでもなく監督やスターとしては凄いし、渋いけど、すてきなオヤジ俳優とはちょっと違うよね。同じワンマン系でも、トミー・リー・ジョーンズ、サミュエル・L・ジャクソン、ジーン・ハックマンのほうが色気を感じる。あと、ワンマン系とは真逆の存在であるウィリアム・H・メイシーのような悲哀系オヤジは放っておけないというか……。
 
I:メイシーなら『セルラー』がいち押し! メイシーや『サイドウェイ』のポール・ジアマッティのようなオヤジたちは、才能豊かでインテリなのに、結果的に悲哀系に収まってるところがまた味わい深い(笑)。
 
M:メイシーなら『マグノリア』がお薦めかな。『シービスケット』もよかったけど、あれはちょっと役柄的にハマリ過ぎだったかも。
 
司会:マイケル・ダグラスのようなギラギラ系はどうですか。
 
I:苦手! 勘弁してほしい!
 
M:同じギラギラ系でもビリー・ボブ・ソーントンは面白いよね。映画の中では枯れた役を演じてるのに、プライベートでは異様にギラついてて(笑)。
 
I:来日したとときは、胸毛を見せ付けながら女性インタビュアーの取材を受けていた(笑)。
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LAドラマの現場取材裏話
司会:このへんですてきなオヤジ俳優たちが拝める新作の話に行きますか。まずモーガン・フリーマンとベン・キングスレーがギャングのボスを演じる『ラッキーナンバー7』。
 
I:モーガンは相変わらずよかったけど、キングスレーは別に……。サーの称号で呼ばれれなければ返事をしないなんていう、尊大な人には惹(ひ)かれないというか(笑)。
 
M:この映画は何と言ってもブルース・ウィリスでしょう! 『16ブロック』もよかったし、いい年のとり方をして、うまい居場所を見つけたなと。かと思えば『ダイ・ハード4』もあるみたいだけど。
 
司会:『守護神』のケヴィン・コスナーはどうですか。
 
I:すてきなオヤジ俳優リストには入らないけど、最近は『ママが泣いた日』や『迷い婚』で枯れたいい味を出してるよね。
 
M:『守護神』は若手のアシュトン・カッチャーとのダブル主演作だけど、実際はケヴィンの映画だった。ダメなオヤジのトラウマを引きずったレスキュー隊員という役柄で、自分がオヤジになった覚悟が出てたと思う。序盤の救助シーンで頭が薄いのをあえてさらけ出したり、ある意味捨て身の演技をしていて好感が持てるというか。『ウォーターワールド』の頃はその覚悟がなくて、徹底的にオレ様だったけど。
 
I:うーん、でも今さら捨て身ってあたりが厳しいような。そういう覚悟がもっと自然に出てくるといいんだけど。
 
M:でも、あれほどの大スターがオヤジとしての覚悟を決めるのは大変だろうし、温かい目で見てあげてもいいかなって(笑)。
 
司会:『ディパーテッド』ではジャック・ニコルソンがやりたい放題の怪演を見せてますね。  
I:凄い演技なんだけど、脇に引ききれないところがニコルソンらしい。あの濃すぎる存在感は、すてきなオヤジのレベルを超えちゃってる(笑)。
 
M:ディカプリオとマット・デイモンを食っちゃってたよね。
 
I:イギリス系のオヤジ俳優だったら、絶対あそこまでは主張しない。イギリス系といえば、今年も『ハリー・ポッター』シリーズがあるから楽しみ!
 
司会:第5作『ハリー・ポッターと不死鳥の騎士団』ですね。これってオヤジ俳優好きにとってはそそられるシリーズなんですか?
 
M:もちろん! 『ハリー・ポッター』はイギリスのすてきなオヤジ俳優を観賞するためのシリーズと断言します!
 
I:アラン・リックマンなんて、まさに「スネイプ先生~!」って感じでしょ。あそこまでちゃんと小説のキャラになりきっちゃうところが凄いし、あらゆる意味で度量の深さを感じる。ダニエル君のファンには悪いけど、ハリーの成長ドラマなんてどうでもいい(笑)。
 
司会:そ、そこまで言いますか!
 
M:ゲイリー・オールドマンやケネス・ブラナーもよかったよね。イギリス系のオヤジたちがシリーズに重みを与えてる。
 
I:そうそう。魔法使いのお話の世界観をがっちりと支えてるのは、イギリス演劇&映画界の重鎮たちというわけ。彼らが脇を固めると、映画に品格や風格を吹き込んでくれる。このシリーズは毎回どんなゲストスターが出るかも楽しみだし。
 
M:『不死鳥の騎士団』ではヴォルデモート役のレイフ・ファインズに期待かな。前作『炎のゴブレット』のラストでは骸骨のような外見で、ほとんど声だけの出演だったし。そういう色物キャラもやれるイギリスのオヤジたちって、本当に奥が深い!
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