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『腑抜けども、悲しみの愛を見せろ』

シネマ副音声

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ちき&ありあの「ど~こ観てるのよん」シネマ副音声
森を見るよりついつい木を見てしまいがち。さらに葉っぱについてる虫を、さらにさらに木のウロの中に顔をつっこんで宝探し。それは映画も同じこと。そんな2人が話題の映画のすき間を観察中。たわごと上等、的はずれご容赦!
『腑抜けども、悲しみの愛を見せろ』を「起き抜けでも、話題の映画を見てやる」で観賞の巻
のっけから、ギクッとしました。交通事故のシーン。起き抜け観賞の、ちき観察官も、徹夜明け観賞のありあ観察官も、これで一気に目が覚めました。
直前に猫が映ったので、あ、猫、ひかれちゃった?……にしては、おびただしい大量の血のあと。続くお葬式のシーンで、犠牲になったのは猫を助けようとした老夫婦だったことがすぐに分かるのですが、この描き方からも、この映画がただならぬ展開をしそうな予感にドキドキしてしまいます。
老夫婦と畑と山だらけのこの小さな村に同居していた長男・宍道(=しんじ・永瀬正敏)、その嫁・待子(=まちこ・永作博美)、次女・清深(=きよみ・佐津川愛美)。そして、両親の葬式なので長女の澄伽(=すみか・佐藤江梨子)が戻ってくると聞いたとたん、清深がいきなり呼吸困難の発作を起こしてしまい、何だか恐ろしい長女なのだろうと思っていたら、姿を現した澄伽は、予想を上回る超自意識&自信過剰の勘違い女
 
姉に異常なほど怯える清深、妹たちを過度に気を使いながら妻に爆発的暴力を振るう宍道。その暴力を受けてもニコニコッ、「平気で~す」の待子さん。この家族4人の物語です。あるのは美ぼうだけ。そのせいで才能はないどころかマイナス状態なのに「女優になる!」と決意した澄伽、っていうのがことの発端みたいだけど、それを否定されて父親にまでナイフを向ける生来の激情っぶり。逆に漫画家になれる才能のあった中学生時代の妹が、そんな姉の行動をホラー漫画として描き、その漫画が雑誌に載ってしまって、悪行が村中の人の知るところになってしまったことが、女優として成功できない原因になってる、というのが澄伽の言い分です。
 
映画の宣伝コピーにもなってる妹のセリフ「やっぱお姉ちゃんは、最高に面白いよ。」と言うのなら、視点変換してギャグ漫画にして描けば良かったのに、なんぞと余計なことも思ってしまったけど、澄伽の行動シーンは、本当にホラー映画に見えちゃうほどだからしょうがないのかな。そのまま描くことにも意味あるみたいだったしね。入浴中の妹を熱湯攻めにするシーンは怖すぎだ~。
この家族、「和合(わごう)」なんてめずらしい苗字。名前もそれぞれ変わってる。怖い姉ちゃんのことを書くなら、ペンネームにしろよ~、登場人物の名前変えろよ~、と思ったけど、すべて本名で投稿しちゃった妹って、きっと根は大胆なのかも? と思います。しかし、かなりマニアックそうなホラー漫画誌を、すぐにゲットしている村民の皆さんもすごいなあ。「わたしのいいところを100個書き出して詞にして歌え!」と妹に命令した姉の横暴さもすごいけど、♪わごう~すみかはすばらしい~♪という「浦島太郎」の節で歌う妹の歌を、和合家にやってきて黙ってフツーに聴いて帰っていった村民のおばさんたちも、何だかすごいです。あの歌、耳について離れなかったけど。
 
歌といえば、待子さんの歌う変な歌も耳に残ります。って、もしかすると、待子さんが一番変かもしれない、というキャラ。どんなにひどい目に遭ってもニコニコ。ちょっと「蒲田行進曲」のヤスと重なってしまったけど、その比じゃないケタ外れのポジティブっぷりが逆に不気味かも。清深がホラー漫画描くなら、待子はホラー手芸? というような不気味人形を「かわいいでしょう?」ってニコニコ作ってるところもなんとも言えません。普通こういう人ほど、あとで恐ろしい人に豹変しそうだけど、全然無理していない自然体でこれ? みたいな特殊人物であるのが映画前半で分かるので、どんどん壮絶になっていく姉妹物語の中で、待子のシーンでガス抜きできる感じで、映画を楽しんで観るという部分も忘れないでいられます。顔引きつらせながら笑ってしまったとこも多いし~。
漫画として描いてるという設定が活きたシーンや、勘違い妄想を見せるシーンも面白いけど、どこかみょ~な登場人物に違和感を持たせないキャスティングが、この映画の一番の強みって感じです。
プロフィール
「絵は口ほどに物を言う」ちき観察官:おおやちき
おおやちき。イラストレーター&パズル作家。『傷だらけの男たち』の主人公の、あまりにも切ない生き方に涙ぽろぽろ。が、試写会だったので、ぐっと気持ちを抑えました。しかし、それで「泣ける映画が観たい!」欲求に駆られたちき観察官、ビデオを借りる時間も惜しんで、目の前にあった映画DVDソフト大量完備のネットカフェに駆け込みました。初体験のネットカフェにもわくわくしながら、「よーし、一気に観てやる!」と意気込んだものの、実はちき観察官は閉所恐怖症。映画を見るまでもなく、ブースの狭さがつらくて涙ぽろぽろになってしまいました。
「書くは一時の恥」ありあ観察官
ARAI“ありあ”KEIKO。映画中毒者。『亀は意外と速く泳ぐ』にとことんハマってDVDまで即買いした身としては、『図鑑に載ってない虫』に期待大。あまりにもクダラナイ(褒め言葉)小ネタギャグに笑って脱力しながら、何が一番印象に残ったって……。「月刊 黒い本」編集部の壁に貼ってあった「締め切り守らない奴は殺ス!」の文字。ズキドキッ! ……ううう、図鑑に載ってない虫″死にモドキ“1匹欲しいです。
 
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