アメリカ国民の6人に1人は保険に入っておらず、満足な治療を受けられない人たちが大勢います。なぜなら、アメリカには国が経営する“国民健康保険”が存在しないからです。先進国でこの制度がないのはアメリカのみ。よって、国民は民間が経営する保険に加入するしかないのです。
ここで怖いのは、保険に入っていれば大丈夫ということではありません。民間が営利目的で経営しているので、もうからないと話になりません。商売なら当然のことなのですが、そのために保険会社が取る手段とは、“いかに保険料を払わないようにするか”ということです。そうなると、もう大変。いざ加入者が保険を要求すると、「証明が足りない」「既往症の申告漏れがあり認められません」などなど、ありとあらゆる言い訳を並び立てて保険が適用されないように画策します。
ムーア監督が取材したある夫婦は、保険が適用されず、そのせいで治療費がかさんだ末に、破産してしまいました。病気だわ、破産するわ、途方に暮れる夫婦の姿が痛々しいです。一体何のための保険なんだ! と怒り心頭です。
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