Q:脚本はどのように、作り上げていったのでしょうか?
NAKA雅MURAっていうすごく面白い脚本家が製作段階で入ってきて、この人が特殊な才能を持っているやつなんです。だから僕は、勝手なバカ話だけして、「じゃあ後は何か話考えてね」って(笑)。でも、彼は僕に頼まれて、言われた話をこんな感じかな、っていう風に作るわけにはいかないタイプなんです。自分なりに腑(ふ)に落ちる展開を書いていくんですよ。
Q:キャラクター像もかなり面白いですね
まあ、「平家物語」の義経ですとか、「リア王」のヘンリーですとかいろいろ出てきますが、どの時代のどんな人たちも、今と変わらないことで、さほど変わらない恨みとか、殺意とか、愛とかを感じて生きていたんですよね。懲りないもんだな人間は……という。どんな経験をしても、やっぱり何か忘れていっちゃう。でもそのワイルドさが本当は人間のきれいなところなんじゃないかなって、僕は思うんです。昔みたいに短くてもいいから、ワーッと熱く生きることって、逆に今ってできない時代だから、あこがれもあるんだけど、世の中がきれいに作られすぎていて、これ以上良くなんかならなくてもいいんじゃないの? って思うんです。逆に言うと良くなりすぎちゃって息苦しいよね。でもそれぞれが、今をどう考えて、どう生きるかは、もう個人の問題で……っていうようなのが、NAKA雅MURAの中のテーマになってたんじゃないかなっていう気はするんですけど。
Q:登場人物が大勢いますが、キャラクター設定は大変ではなかったですか?
監督って登場人物のことを分かっていないといけないのに、僕は本当に全然分かっていないんです(笑)。それぞれの役の中で、役の人間が勝手に生きているんで、監督が全部の人生を把握して、こういうしゃべり方をしてこういうキャラクターなんだ、っていうのはあんまり面白くないでしょ。ストーリーを進めるために、こんな行動をして、こんなセリフをしゃべって……そういうのって、おれにとっては、逆にすごいバイオレンス。たまたまこの人あんまり映画にいらないんじゃないか、むしろ邪魔だよね!? っていうやつがポロッと言うアドリブめいたせりふが、映画のどのせりふよりも光っていたりするんですよ。主役を食っちゃう一瞬があるとか……。まあそういうことの方が気持ちいいんだよね。そういう面白さがなくて見事に作られているものって、ものすごいバイオレンス感じるんだよね。暴力だなこれは……って(笑)。 |