『ナイト・オブ・ザ・リビング・デッド/ゾンビの誕生』以降も、ロメロ監督によって、『ゾンビ』(1978年)、『死霊のえじき』(1985年)というゾンビ映画が作られます。この3本はロメロの“ゾンビ3部作”と呼ばれ、これを基に多くのリメークやパロディー作品が作られていき、ホラーというジャンルの中に“ゾンビ”というさらなるジャンルが確立されるに至ったのです。
そういえば、ロメロの描くゾンビたちはみな動きが鈍く、ヨタヨタ、トボトボ、じれったいほどのん気に歩きます。そのせいで、落ち着いて対処すれば何とか逃げ切れるという安心感が、映画の中にそこはかとなく漂っているように思えます。何しろ、ロメロの作品の主人公たちを最終的に脅かす敵はゾンビそのものではなく、人間だとも言えるので、ゾンビに対する緊張感は多少薄いと言えなくもないのです。しかしゾンビの子孫の中には、そんな安心感を覆すべくスクスクと進化してしまった優秀な(?)子どもたちもいます。
『ナイト・オブ・ザ・リビング・デッド/ゾンビの誕生』で描かれた出来事が事実だったという設定で、間接的な続編として1985年に作られた、ダン・オバノン監督の『バタリアン』という作品。これには何と、俊足のゾンビが出てくるのだから、恐ろしいったらありゃしない! それだけでなく、苦手なはずの炎も怖がってくれなければ、弱みであるはずの頭を破壊してもくたばらないのです。ゾンビの足が速くなったらまったく世も末、とてもじゃないが太刀打ちできません!ちなみに、一時期の流行語「オバタリアン」の語源にもなったこの作品、実は笑えるコメディー・タッチのホラーです。
|