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『マグナム・フォト 世界を変える写真家たち』

今週のクローズアップ

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今週のクローズアップ / マグナム・フォト 世界を変える写真家たち

話題の映画の中から、今週は12月1日に世界で初めて公開される『マグナム・フォト 世界を変える写真家たち』をクローズアップします。世界最高といわれる写真家集団「マグナム・フォト」の知られざる内側や、その歴史、「マグナム」という名を背負う写真家たち。“写真家”とはどういう仕事なのでしょうか?

世界最高の写真家集団「マグナム・フォト」とは?

 知る人ぞ知る国際的な写真家集団「マグナム・フォト」。写真家を目指す人なら一度は耳にしたことがあるのではないでしょうか? ニューヨーク、パリ、ロンドン、東京に事務所を構え、現在候補生も入れて約80名近くの写真家や報道写真家が在籍しています(そのうち、現在在籍している日本人は1名)。


 新聞社でもなく、通信社でもない……では、「マグナム・フォト」って何? それは1947年に4人の写真家たちによって結成され、会員自らが出資して運営される異色の写真エージェンシーなのです。彼らの偉業の1つとして言われているのは「写真の著作権は撮影した写真家にある」という基盤を作ったこと。それと同時に、写真が写真家の意思に反する使われ方をされないようにという目的もあったそうです。


 20世紀の数々の戦争写真で「マグナム・フォト」の名は世界中に知れ渡ることになりましたが、戦争、内乱、革命だけを記録に残しているわけではありません。ごく普通の街の様子、人々の生活を何年も密着して撮り続けている写真家も多く、現在では、ポートレート、CM、ファッション誌などを専門にする人たちもいるのです。

 

(C) 1998 Reiner Holzemer Film
ライカ製カメラを愛用する人が多い(場面写真より)

どうしたらマグナム会員になれるのか?

 “マグナム会員”と一言に言っても、正会員、特派員、寄稿家、アーカイブ、準会員、候補生と分かれています。まずは候補生になることが第一歩! もちろん、カンタンにはなれません。年次総会なるものがあり、そこにマグナム会員が集まります。そこで、世界中の写真家から届けられた写真を吟味し、投票開始! 会員の支持を得られた者が、晴れて候補生になれるのです。候補生となっても修業は続きます。作品を提出し、努力が認められれば、準会員 → 正会員へと格上げされていくのです。ちなみに、応募する写真は基本モノクロでなければならないそうです。劇中では、ベテランの会員が「最近では、トーイカメラなんかで撮った写真も送ってくるよ……時代は変わった……」とぼやく姿が何とも印象的。その姿からは、マグナム集団には見た目だけの“劇的な写真”を撮る写真家ではなく、“今撮った写真が数十年後、歴史の重要な一部として残る”そこまで見すえたジャーナリズム論が感じられます。


 一般的に20代で会員になるのは、かなり異例。ほとんどの人は、すでに写真家としてかなりの経験がある人が、やっと候補生に選ばれるというから、かなりの狭き門。もちろん、人柄も選考基準になります。ちなみに、正会員になると、自分から辞めない限り辞めさせられることはありません。

 

(C) 1998 Reiner Holzemer Film
1963年、チェ・ゲバラの有名なポートレートを撮影したルネ・ブリ(場面写真より)

写真家という職業とは?

 映画では、マグナムの中心会員16人が登場し、「マグナム」という写真家として無敵の称号を持っているからこその苦悩も明かす部分はとても興味深いです。


 とにかく「マグナム会員」という名が欲しいと思う者もいれば、26歳という若さで正会員になったドノヴァン・ワイリーは、会員になったころは上の人たちから写真を散々に言われ最悪だったという“マグナム集団の裏の顔”を明かし、別の会員は「マグナム・フォト」自体の将来を危ぶむ……。もちろん、被写体もそれぞれ違う会員たち。「戦場写真は、そのシチュエーションだけでどんな写真家でも劇的な写真が撮れる」とバッサリ言い切る会員もいれば、歴史的瞬間に立会い、その一瞬を切り取り、世界中に“現状”は伝えられても、何も変えられない……と報道写真家としての苦悩を語る者もいます。


 テレビが登場し、インターネットで即座ニュースが流れる現代。写真家の存在意義が刻々と変わる中、唯一無二の写真家集団の“やり方”を守り続けていくのか、それとも時代とともに変化すべきなのか……それぞれの思いが語られる本作。製作から8年、世界で初めて上映されます。新聞、テレビで見た歴史的写真が、どのような人たちによって撮られたのか、そしてプロの写真家の真の仕事ぶりが垣間見られる貴重な作品です。

(C) 1998 Reiner Holzemer Film
(場面写真より)

文・構成:シネマトゥデイ編集部

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