1982年に誕生した映画『ランボー』でアクション・スターとしての地位を不動にしたスタローンが、61歳とは思えぬ肉体と精神で新たな伝説を作り上げた。それがシリーズ4作目となる『ランボー 最後の戦場』だ。タイムリーな世界情勢を盛り込むこともランボー・シリーズの見どころの一つだが、本作では内戦が今も続くミャンマーの現状を綿密にリサーチ。スタローンは、激化するカレン族に対する軍事政権の迫害に警鐘を打ち鳴らすべく、ミャンマーをバトルの舞台に選んだ。
ストーリー:タイ北部のジャングルでヘビ・ハンターとして生計を立て、細々と暮らしているランボーのもとに、少数民族支援のためにアメリカからやってきた宗教組織の一員が道案内を頼むべく尋ねてくる。その中のサラに恋心が芽生えたランボーは危険地帯に彼らを送っていくが、サラたちはミャンマー軍の襲撃に合い、人質となってしまう。その知らせを受けたランボーは、手製のナイフと弓矢を手に、5人の傭兵とともに戦場へと向かっていく……。
シリーズ初のR‐15指定となった本作であるが、劇中で繰り広げられるリアルなバトル描写はスティーヴン・スピルバーグ監督の映画『プライベート・ライアン』のオマハビーチにおける戦闘シーンを思い起こさせる。スタローンがリアルな残酷描写について「前作はアクション満載だったが、一人一人の死が描かれていない。何が現実かを見せたいんだ」と語るように、本作のランボーは単なるアクション野郎ではなく、人命の尊さを織り交ぜた社会派の一面を持つ“ワンマン・アーミー、ジョン・ランボー”として描かれているのだ。
“最後の戦場”と題され、『ランボー』シリーズもこれで終わりかと思われたが、本作のプレミアに訪れたスタローンは「メキシコで行われている集団拉致を題材にした現代的なウエスタン」というストーリー構想の続編の可能性をほのめかし、見事に邦題を裏切ってくれた。
スタローンの衰えを知らない肉体のますますの発展と、今後の乱暴映画の将来に期待しながら、本物志向丸出しの新たなランボー伝説を劇場のスクリーンでチェケラ! |