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特別編-サラ・ジェシカ・パーカー『セックス・アンド・ザ・シティ』

この人の話を聞きたい

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バリー・ボンズは偽証罪に問われて深刻な状態だ。しかしわたしが今持っている感情っていうのは、彼らに対する同情なんだ。バリーやロジャー・クレメンスは偽証罪を問われる前に、強制的にうそをつかなければならない状態で証人台に立たされていたように思うんだ。‐クリス・ベル‐~この人に話を聞きたい~ その25:スポーツ界にはびこるステロイドや薬物問題を描いたドキュメンタリー映画『ビガー、ストロンガー、ファースター』(原題)について監督のクリス・ベルに話を聞いた。
クリス・ベル監督 女性ライターのキャンディス・ブシュネルがアメリカ週刊誌「ニューヨーク・オブザーバー」に書いていたコラム「セックスとニューヨーク」がテレビドラマ化され、後に女性の間で社会現象を巻き起こすほど大ヒットした「セックス・アンド・ザ・シティ」。放送終了から4年、ファン待望の4人組が銀幕の世界に帰ってきた!今回は、その主役を務めるサラ・ジェシカ・パーカーに、彼女自身が特別な感情を持つこの役と映画について語ってもらった。
シャツ破り、ハルク・ホーガンQ: ようやく完成した映画を観た感想は?
 
(サラ・ジェシカ・パーカー)2月に2時間32分のラフカットを観せられたの。わたしには、それが適度な長さだったのにね……(笑)。それから、1か月前にあなた方プレスの人たちもご覧になった完成作品を鑑賞したの。わたしは、自分の映画を鑑賞することが嫌いで、自分の写真なんかもあまり見ることがないの。だから普段は、あまりデイリー(その日撮った映像)を観ることはないけれど、今回わたしはプロデューサーも兼任しているし、監督のマイケル・パトリック・キングの要望もあるから観る必要があったの。それでも、わたしにとっては自分の映画を鑑賞することはいまだに難儀なことだったけれど、鑑賞した映画には衝撃を受けたの。それはマイケル監督がテレビ監督だけでなく、優れた映画監督であり、脚本家でもあるということ。今日に到達するまでの約2年間、わたしたちが切磋琢磨(せっさたくま)してきたことが、完成という形になったことに満足しているわ。だって、何十回も自分たちの望んだやり方で製作するために、配給会社と戦ってきたんだもの。それは、わたしたちが人々に伝えたいストーリーだからなの。そのせいなのか、わたしにとってはこの場であなた方と映画について話していることの方が、むしろ席に座って映画を鑑賞することより現実味があるわ。いろいろ生々しい複雑な問題に悩まされていた時期があったからね。ただ、わたしとマイケル監督は、この完成させたという奇跡を、本当に名誉なことだと思っているの。
 
Q:それでは、わたしたちが鑑賞した作品以外に配給会社と検討されたこと、また妥協したことを教えていただけますか?
 
(サラ・ジェシカ・パーカー)まず、ロマンチック・コメディーで弱点、絶望、失望などがふんだんに含まれていること自体が型破りでしょ。わたしたち4人の女性全員のストーリー構成で、これまで不特定の男たちと大人の恋愛をし、失望して、それを4人が共有し、テーマが許しだったりすることは、常識では考えられない構成よ。たいてい一般の人は、悲哀を恐れるでしょ。だけどわたしたちがこれまでやってきたHBO(番組が放送されていたケーブル会社)は、何もそのことに関して恐れてはいなかったのよ。だからいつも型にはまらない30分番組だったし、わたしたちが伝えたいストーリーの内容に、破壊分子的要素が含まれていたわ。だけど、かなりの興行収入を見込んだ映画になると、HBOのように問題点があればすぐに「電話してくれ」というようなわけにはいかないのよ。

偽証罪に問われた、バリー・ボンズQ:あなたが今話されたことは、新しいロマンチック・コメディーのあり方なのでしょうか?  またその答えとして、あなた自身は、次の『セックス・アンド・ザ・シティ』のアイデアがすでにあるのでしょうか?

  (サラ・ジェシカ・パーカー)わたしとマイケル監督のような、どちらかというと荒削りな連中の計画なんて誰も従わないでしょ。実際、製作中にもわたしたちは、上層部の人たちから何をしているかわからないと言われ続けてきたの。だから、このような形がこれからのロマンチック・コメディーになるとは思わないわ。けれど、イギリスの映画『フォー・ウェディング』のようにうまくやっているケースもあるでしょ。彼らは、良いロマンチック・コメディー映画の制作方法を知っているのよ。ただこの作品は、ちょっと違った手法だと思うの。それと次回作に関しては、わたし自身は今日をいかに過ごすか、それ以外のことを考えるべきではないと思うの。次回作の将来を考えることは、わたしにとって現時点では強欲に思えるわ。

 
Q:テレビから映画という媒体の変わった過程で、何か調整されたことはありますか?
 
(サラ・ジェシカ・パーカー)クリエイティブの過程では、そんなに違いはなかったわ。ただ親会社が違うだけね。彼らがわたしたちに映画制作のノウハウを教えてくれた代わりに、フランチャイズについて話したことがあったわ。それは、どういう形でその結論に達したかとか、なぜその選択が多少無茶なのかとか、なぜそれを支持するのかという類いのもので、すべては確認するためのものだったわ。もちろん、スクリーンの大きさを考慮に入れてはいたけど、わたしたちが言及しようとしていることは変わらなかったの。それは、深遠で詳細な言葉にあるからなのよ。ただ常に繁栄する資質を持つタイム・ワーナーの傘下であるニュー・ライン・シネマと仕事ができたことは良かったと思っているわ。

 

 

偽証罪に問われた、バリー・ボンズQ:撮影期間はどれくらいだったのですか?
 
(サラ・ジェシカ・パーカー)9月19日から撮影に入って、クリスマスと元旦を除いて、1月16日にクランク・アップしたのよ。そして監督のマイケルは、その3日後の1月19日から編集を始めて、ようやく5月1日に飛行機に乗って、ここに(ニューヨーク)映画を提出できたの。ロサンゼルスでは、今日でミキシング(映像や音声を調整すること)を始めてまだ3日目よ(インタビューしたのが5月4日だったため)!

Q:女優とプロデューサーとして、どこからその自信とエネルギーがあふれてくるのでしょうか? またその根源は何にあるのでしょうか?
 
(サラ・ジェシカ・パーカー)わたしにそれが多少でもあるのかしら(笑)。そう人々に感じてもらえるのは、恐らくわたしにとって、この映画が特別で深い意味合いのある映画だからなのよ。もしわたしが子どもの元を離れて撮影するのであれば、自分ができるだけの力を注ぎ込もうとするのは当然な理由で、誰の時間や製作費、そして才能も無駄にはしたくないもの。だから、撮影中に寒い格好をしたり、ヒールを履いて14時間も走り続けていても構わないわ。


シャツ破り、ハルク・ホーガンQ: 映画内でお気に入りのファッションはありますか? プロデューサーとして何かファッションについて指摘されたことはありますか?
 
(サラ・ジェシカ・パーカー)お気に入りのファッションは、残念ながら決めることは難しいわね。ファッションについてもちろん、キャスト4人の女性がそれぞれ年を取ってきて、結婚市場にいない女性もいるわけだから、当然着こなしも違っているわよね。年を取ると物ごとに関しての感覚も違ってくるでしょ。ただ、今回も過去とのつながりのあるファッションがあって、大人びているけれど、わたしが(キャリー・ブラッドショー)とファッションが恋愛関係にあることを証明していると思うわ。それと準備段階の際に、あっちこっちのショーをブッキングしていたパット(パトリシア・フィールド)に無理に頼み込んで作ってもらったのよ。
 
Q: サマンサ・ジョーンズを演じるキム・キャトラルがあなたにベッドで食べさせているシーンがありますが、以前に騒がれていたゴシップの不仲説を過去に葬り去ったといえるのでしょうか?
 
(サラ・ジェシカ・パーカー)皆が騒いでいるような不仲説、特に過去に葬り去るようなことは何もなかったのよ。あのシーンは良質に書かれたもので、あのシーンを撮ったとき、その日の撮影が遅れていたため、わたしの角度から撮ったシーンだけで終わらせなければならなかったの(撮影機材の返却日が決まっていて、そこで終えなければならなかった)。だけど、マイケル監督が「このシーンがこの映画のDNA(主要構成要素)だ」と言って、逆からの角度で撮影を続行したのよ!


Q:あなたが先ほど語られていたテーマの許しについて、あなた自身は2度目のチャンスを信じますか?
 
(サラ・ジェシカ・パーカー)わたしの場合、3、4、5度目のチャンスまでも信じているわよ(笑)! 人はそう信じなきゃダメよ! わたしには大人が冷たく、素っ気ない決議をして物ごとを間単に切り捨ていこうとするのか、理解できないときがあるの。もちろん、状況下によってはそれが受け入れられないこともあるだろうけれど、どちらかというとわたしは人を許しがちで、距離を縮めようとするわ。それは、わたしにとって許しをせずに人が生きていくことはできないと思うからなの。



世界中にファンを抱える人気テレビ番組が、映画としてどう受け入れられるか楽しみである。長い間待った価値のある作品に仕上がっているのは間違いない。
細木信宏 / Nobuhiro Hosoki プロフィール
海外での映画製作を決意する。渡米し、フィルム・スクールに通った後、テレビ東京ニューヨ-ク支社の番組モーニング・サテライトでアシスタントとして働く。しかし夢を追い続ける今は、ニューヨークに住み続け、批評家をしながら映画製作中である。
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