そしてもう一つ、常に全力投球する仕事への姿勢も彼の魅力だ。今や全米ナンバーワン・ヒット作を放つほどのスターであるにもかかわらず、「いい気になっていたら、転落してストリートに戻らなきゃいけなくなる」と公言する彼は、B級映画でも手抜きはしない。興奮し続けないと死んでしまう薬をうたれたヒットマンの奔走……という、アイデアは面白いが非現実的な映画『アドレナリン』は、やり過ぎなほどである彼の熱演のおかげでユーモアあふれるアクションとなった。アドレナリンを出し続けるために、トースターで手を焼いてみたり、街でケンカをふっかけたり、公衆の面前でエッチしてみたりする主人公。バカバカしいといえなくもないこの設定のもと、ジェイソンが体現する必死さは、あまりにも面白過ぎる。これは彼のひたむきさが、思わぬ形で生きた快作なのだ。
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