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第11回 現地直送秘話! 人気シリーズ『スタートレック』の光と影

LA発! ハリウッド・コンフィデンシャル

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スターが集うプレミアに見る光と影……

今回の新『スター・トレック』は、従来のシリーズものと新旧のギャップを見事に埋めて、昔のスター・トレック・ファンにも、なじみのない映画ファンにも楽しめる出来になっています。それを証明するかのように、元祖スポックのレナード・ニモイ、元祖スールーのジョージ・タケイらがプレミアにもニコやかに登場(ちなみに余談ですが、J・J・エイブラムス監督はハンサムだということに今回気が付いたわたしでした……! (^^))。

このほかにも、映画『トワイライト~初恋~』のドクター・カーライルことピーター・ファシネリ(キャーッ、美し過ぎるぅっ!! ←失礼……(^^;))やクリスチャン・スレイター、映画業界のみならず、テレビドラマ「LOST」「チャック(原題)」の出演者をはじめ、ロック界からナイン・インチ・ネイルズのマイケル・トレント・レズナーなども来ており、まさにレッドカーペット上はカラフルで豪華絢爛(けんらん)!

でも、ちょっと待って! 元祖「スター・トレック」を語るには欠かせない肝心な人が見えないようです。それは……元祖カークことウィリアム・シャトナーの姿。元祖スポックのレナードがプレミアに来ていたのに、なぜウィリアムはプレミアにいなかったのか?

「宇宙を舞台にしたヒューマンドラマとメロドラマ」とも呼ばれていた元祖「スター・トレック」シリーズ。特撮のみならず、艦内のヒューマンドラマにも焦点を当てて人気を博したこのシリーズは、新『スター・トレック』でもカークとスポックの確執が話の中心になります。

実はこのライバル同士の火の散るようなテンションは、元祖「スター・トレック」時代にカークを演じたウィリアムとスポックを演じたレナードが、番組同様に対立していたのを皆さんはご存知だったでしょうか? 名作の裏に秘話あり! というわけで、オリジナル「スター・トレック」シリーズにまつわる裏話を映画公開記念でご紹介しちゃいます!!

人気番組『スター・トレック』の裏には……?

ハリウッドで何かと話題になるのは、人気スターのエゴなどをめぐるライバル・セレブ同士の確執……。元祖テレビシリーズ「スター・トレック」で国民的ヒーローとなったカークことウィリアム、そしてスポックことレナードもその例に漏れなかったようです。

新『スター・トレック』では、クリス・パイン演じる若き日のカークが登場します。向こう見ずで高慢ともいえるその自信にあふれた姿は、映画などではセクシーでカッコ良く見えるものです。でもどうやら、元祖カークことウィリアムとスポックを演じていたレナードは、テレビシリーズが始まって間もないまだ若かりし日々に、このキャラのまんまだったようで、それに伴うトラブルが続出だったようです。

1966年にウィリアム演じるカークが主人公ということでスタートしたテレビ版「スター・トレック」ですが、どうやら始まって間もなくその状況が変化し始め、それは出演者それぞれの控え室に届けられるファンレターの数に反映されてきたのでした。……ご想像どおり、スポックを演じていたレナードの控え室に届くファンレターの数が猛烈に増えてきたのです! どうやら常に冷静沈着だったバルカン人のハートを溶かすべく、スポック(レナード)の女性ファンが激増したというのが実情だったようです。

当然これを見た主役格のウィリアムは面白くありません。おまけに、この状況に油を注ぐかのように、ファンのウケが主役級なのを見て気を良くしたレナードが製作側に、給料の面でも「主役級扱いを……」とリクエストしてきたからさぁ大変です! 表面ではハンサムで強がっているようでも、皮を一枚はげば内面はコンプレックスの固まりというスターも少なくない映画業界。どうやら若き日のウィリアムもその一人だったようで、番組での自分の王座を守るために強行手段に乗り出したのです。

もろもろのメディアのインタビューによると、当時のウィリアムは、自分の演じるカークがスポックより劣ったキャラに見えないように、レナード演ずるスポックがしゃべるはずだったセリフを土壇場でカットしたり、自分用に変えてもらったりしたようです。おまけにスポックのセリフはおろか元祖スコット役だったジェームズ・ドゥーハンのセリフをチャッカリいただいてしまったり、撮影中に元祖スールーを演じたジョージをおとしめるような発言をしたりと、暴君さながらの態度で振る舞い始めたのです。

カーク vs. スポックの40年戦争!?

ジョージ・タケイとウィリアムの現在にまで及ぶ仲の悪さは、知る人ぞ知るところ。でもスコット役だったジェームズとの不仲もかなりのものだったようです。ジェームズが近年、ドラマ「スター・トレック」での経験を振り返った暴露本を出版したのですが、その中で当時のウィリアムとレナードのテンション高さを振り返ってこう語っています。「シリーズ開始1年後の1967年のある日。タイムズ誌からスチール写真の撮影隊がセット訪問にやって来た。ウィリアムのカークを撮るのではなくて、スポックのための撮影である」。

ここまで読んだだけでもうマズ~イ感じの気配が伝わってきます……。その後は、こう続きます。「レナードはメーク室でスポック用の耳をつける作業をしており、それを撮影しにタイムズ誌のカメラマンが部屋に来た。そのとき、ウィリアムは頭のてっぺんにカツラの一部をつける用意していた。ショボい毛はあったものの殆んどハゲがむき出しだったからである。メーク・ルームの鏡は、そんな彼の頭のてっぺんが他角度から見られるようにつるされていた。そのときである。ウィリアムがいすからいきなり立ち上がって、カメラマンたちに出て行くように叫んだのだ!」。

この事件については、ジョージ・タケイも克明に覚えているらしく、ある雑誌のインタビューでこう語っています。「レナードはあのとき、キレてねぇ。タイムズ誌のカメラマンたちがいなくなるまで、自分のメークをやらないと言い張ったものさ」。

これをきっかけにウィリアム vs. レナードの対立が激化して、プロデューサーが二人の間に割って入るという事態にまで。ついに番組の責任者も堪忍袋の緒を切らし、「給料も現状も何も変えない。変わるべきなのは君たちだ。いい加減にしろ!」と二人に言い渡したのだとか。このことを境に表立った二人のにらみ合いは収まったようですが、以後二人のわだかまりはフツフツと近年まで続き、「ウィリアムとレナードの40年戦争」などと陰口をたたかれたりしました。

「スター・トレック」でウーフーを演じたニシェル・ニコルスもそんな当時を振り返って、「(ウィリアムの)監督やゲスト・スターに対する横柄で威圧的な態度は、家族的な雰囲気だったスタジオのムードを壊すものだった」と語っています。当時、黒人公民権の父とうたわれたマーティン・ルーサー・キング牧師がニシェルのことを「若き黒人女性のお手本となるべき人物」とたたえてくれなかったら、番組を辞めているところだったと話しています。

時は流れて……

「時が解決できないものはない」という格言がありますが、どうやら幸いにも旧エンタープライズ号の隊員たちにもそれが当てはまったようです。テレビシリーズが終わってからも依然として人気抜群だった「スター・トレック」は、コンベンションなどファンの催し物が各地で開かれ、旧出演陣たちが祭典に出演するきっかけも多く、その際に一堂に会したことで、昔の傷を癒すきっかけともなったようです。それぞれが成長して大人になることで昔の仕打ちを大目に見ることを学んだのでしょう。ウィリアムも、レナードの3度目の結婚式(!)でベストマン(花婿の介添え人)を務めるまでに友人関係が修復されたようです。

ただ、今回の新『スター・トレック』の配役が発表され、レナードの出演が決定したのにウィリアムの出演が決まらなかったと伝えられた際、「ザ・インサイダー」というエンターテインメント情報番組でウィリアムが、「自分に出演依頼が来なかった真相はわからないが、とにかくとても悲しい」と涙目で答えていたのが印象的でした。

昔はカークの役にはまってしまうのを嫌って、ことごとく類似した役を避けていた彼ですが、今回の「スター・トレック」にはレナードとともに出演するのが悲願だったようです。でも、ウィリアムはインタビューの最後に一言、「レナードは大切な友人だ。今回の出演が決まって彼のために非常に幸せに思う」と付け加えました。

『スター・トレック』に出演しているカークのクリスをはじめスポックのザカリー・クイント、スールーを演じるジョン・チョーなどメキメキ頭角を現している若手スターたちですが、大ヒットの名声に惑わされずスターダムを満喫して、次回作にも張り切って一致団結で再登場することを願っています!
(取材・文 神津明美 / Addie・Akemi・Kohzu)

About Addie

高校留学以来ロサンゼルスに在住し、CMやハリウッド映画の製作助手を経て現在に至る。アカデミー賞のレポートや全米ボックスオフィス考など、Yahoo! Japan、シネマトゥデイなどの媒体で執筆中。全米映画協会(MPAA)公認のフォト・ジャーナリスト。

5月末から初のヨーロッパ旅行を控えてワクワク! 『天使と悪魔』の舞台でもあり、前から行きたかったローマにも行く予定で超楽しみです(でも帰ってきた後のクレジットカードの明細が怖いですが……(苦笑))!!

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