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~第22回 2010年8月~

INTERVIEW@big apple

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INTERVIEW@big apple

今月は、タランティーノ監督作品の常連プロデューサー、ローレンス・ベンダー、テレビドラマ「アグリー・ベティ」でおなじみのアメリカ・フェレーラのインタビュー、そして『タクシー・ドライバー』の脚本家として知られるポール・シュレイダーと『レインマン』の名匠バリー・レヴィンソンが登壇したイベント取材を紹介します。

7月20日元CIA秘密工作員がこんな美人だったなんて……!(クロスビー・ストリート・ホテルにて)

映画『カウントダウン・トゥー・ゼロ / Countdown To Zero』(原題)

核の全廃を目指す活動を一般的に広げるために製作されたドキュメンタリーで、アメリカの歴代大統領から、元CIA秘密工作員バレリー・プレイム、さらには一般人まで、さまざまな人々にインタビューを敢行し、核の歴史と現況にも触れながら、核問題の重要性を訴えた作品に仕上がっている。

ローレンス・ベンダー、バレリー・プレイム、ルーシー・ウォーカー

元CIA秘密工作員のバレリー・プレイム/プロデューサーのローレンス・ベンダー(左)、ルーシー・ウォーカー監督(中央)、バレリー・プレイム(右)

ここ数年間、元CIA秘密工作員身元漏えい問題でアメリカの新聞をにぎわせ、政界で最も注目された女性の一人、バレリー・プレイムと、クエンティン・タランティーノ監督作品の常連プロデューサー、ローレンス・ベンダーという二人の話題の人物を取材できるということで、相当な数の記者たちが集まるかと思ったら、ラウンド・テーブルについたのは、わずか6~7名だった。どうやら多くの記者たちが1対1の取材をリクエストしたようで、その数が多かったために時間が押してしまったらしい。そして、ラウンド・テーブルで取材対象を一人ずつ取材すると思っていた僕たちは、3人一挙にインタビューすることに……。これでは、ろくに聞きたいことを聞けず、映画の内容のみに特化した取材になってしまうと思い、僕は慌てて質問のアングルを軌道修正することになった!! そして取材対象が現れたのだが、まずバレリーの容姿に驚いた。もしも自分がこんなにきれいなCIA秘密工作員に事情聴取されたら、何でも答えてしまいそうなどと余計なことを考えていたときに、ローレンスも加わって、いよいよ取材開始! 

ローレンスは、僕の隣の席に座ったときに、僕が取材用に用意したノートの中に日本語の文章を見つけたようで、その部分を指さしてほほ笑んでいた。実は、オウム真理教が以前、核を手に入れようとしていたことがあるという記事を、アメリカのメディアで読んだことがあったので、イラクにおける核兵器の調査のみならず世界中の事件や核爆弾全般に詳しいバレリーに、その事実について聞いてみようと思っていたのだが、時間がなかった……。結局、取材は予想通り核問題のみで進み、誰もローレンスがプロデュースしたタランティーノ作品について聞かなかったのだ。だが僕は、インタビュー終了時の写真を撮っている際に、ローレンスにタランティーノのことを聞いてみると、「このハリウッドで長い間、良い関係を保ちながらタランティーノと共に仕事ができることを誇りに思っている」と、快く答えてくれた。最後に監督のルーシー・ウォーカーは、原爆が落とされた日本に興味を持っており、会話の中でも日本通であることが感じ取れた。

7月27日クセ者タクシー運転手につかまり、一悶着 (HBO本社にて)

映画『ザ・ドライ・ランド / The Dry Land』(原題)

イラクから退役してテキサスに帰ってきた兵士ジェームズ(ライアン・オナン)はPTSD(心的外傷後ストレス障害)に苦しむようになり、妻(アメリカ・フェレーラ)や友人(ジェイソン・リッター)とはその苦しみを分かち合えないでいる。そこで彼は、ある日戦地での同士(ウィルマー・バルデラマ)に会いに行く決意をする。ところが、戦地で受けた影響は、それぞれ違ったかたちで表れることを知らされる……。映画は、帰還兵の内面を真摯(しんし)に描いた作品になっている。

アメリカ・フェレーラ、ウィルマー・バルデラマ、ライアン・オナン、ライアン・ピアス・ウィリアムズ

アメリカ・フェレーラ(左)&ウィルマー・バルデラマ(右)/ライアン・ピアス・ウィリアムズ監督(左)、主演のライアン・オナン(右)

この日は、午前中に別の映画『カイロ・タイム / Cairo Time』の取材があり、それが12時に終わる予定で、12時半にはHBO本社でこの映画のインタビューをする予定だった。だが、前日にパブリシストから取材時間30分前の12時にはチェックインしてほしいとの連絡がe-mailで送られてきたのだ。僕は前もって、その前のインタビューが12時に終わるから、絶対に無理だという交渉をパブリシストに打診していたが、最近のインタビューは予定時間に始まらないことが多いため、この映画のインタビューにも間に合うかかなり不安だった。ところが当日、この前の取材が予想外にも時間通りに終わり、取材現場のHBO本社まで友人記者とタクシーで向かうことに。しかし、このタクシー運転手がクセ者だった……。タクシーに乗った瞬間、「自分の前にもタクシーが止まっていたのに、どうしてそっちに乗らないんだ」とイチャモンつけてきたのだ。運転手に「前のタクシーから人が降りるのに時間がかかっているから、こっちにしたんだ。急いでいるから早く移動してくれないか」と告げ、ようやく動き出したものの、なんとこのおっさん、遠回りし始めたのである!! おいおい……! 僕が「遠回りしても、その分の料金払わないぞ」とクレームを言うと、彼は「いや違うんだ……。ここからだと、タイムズ・スクエア付近は右折できないんだよ。だから、迂回(うかい)しているんだ」と説明した。そこで、僕もタイムズ・スクエア付近には右折できない個所がたくさんあることを思い出した。結局、タクシー運転手との一悶着(もんちゃく)と、旅行客がごったがえす状況も含め、20分以上かかってようやく取材現場に到着!

まずは、テレビドラマ「アグリー・ベティ」でおなじみのアメリカ・フェレーラウィルマー・バルデラマを取材することに。ウィルマーは以前、ラジオ番組で自分が寝た女性たちを10段階で評価したことで、随分マスコミにたたかれたことがあった。その中には、ジェニファー・ラヴ・ヒューイットマンディ・ムーアリンジー・ローハンといった有名女優がいて、結構話題になった事件だったが、退役軍人を題材にしたシリアスな映画の取材だけに、そんなことは誰も聞けなかった(当たり前か)。ちなみにアメリカは、この映画を監督したライアン・ピアス・ウィリアムズと現在婚約中。なんでも、二人の出会いは南カリフォルニア大学在学中らしく、ライアンについて聞くと顔を赤らめながら笑顔で話すのが印象的だった。

7月28日巨匠同士の前代未聞の本音トークに舌を巻く! (リンカーン・センター・ウォルターリード・シアターにて)

映画『ユー・ドント・ノウ・ジャック / You Don't Know Jack』(原題)

130人以上もの末期病患者の安楽死・尊厳死にかかわり、患者たちの自殺ほう助をした「ドクター・デス」こと、ジャック・ケヴォーキアン医師(アル・パチーノ)の物語。彼はその後、第2級殺人罪で8年服役することになるが、その過程において、医師として患者の意思を尊重するジャックと、ジャックは自殺に加担しているに過ぎないという検察側との激しい裁判が展開する。名優アル・パチーノの迫真の演技も必見だ。

ポール・シュレイダー、バリー・レヴィンソン

アル・パチーノについて議論を交わすバリー・レヴィンソン(左)と、ポール・シュレイダー(右)/辛口の質問にタジタジ(!?)のバリー(左)と本音トーク炸裂のポール(右)

この取材は、パブリシストを通しての案件ではなく、リンカーン・センターでのイベント取材だった。それは、あの『タクシードライバー』の脚本を手掛け、三島由紀夫の伝記映画『ミシマ ライフ・イン・フォー・チャプターズ/Mishima : A Life in Four Chapters』(日本未公開)を製作するほどの親日家でもあるポール・シュレイダー監督が、『レインマン』や『バグジー』の巨匠バリー・レヴィンソンを、新作『ユー・ドント・ノー・ジャック / You Don't Know Jack』でインタビューするというものだった。映画記者という職業柄、映画のチケットを買う機会があまりなかったが、もともとポール・シュレイダーのファンである僕は、久しぶりにこのイベント取材のためにチケットを買うことに。当日は、二人の巨匠がそろうとなると、かなりの客が入るだろうと予測していたので少し早めに行ったら、意外にも客は少なかった……。おそらく、この作品がHBOがテレビ映画として製作したもので、すでにテレビで放映済みだったためだろう。個人的にはこの上半期でベストに近いほど完成度の高い作品で、久々にアル・パチーノの演技に感銘を受けた。そして、上映後にようやく二人のQ&Aが始まった。

まず、開口一番、ポールはバリーに「アル・パチーノは最近たいした演技をしていないが、なぜ彼を起用する気になったんだい?」と大胆な質問を投げ掛けた。おいおい、しょっぱなからその質問かよ……! という僕の心配をよそに、ポール独特の辛口の質問は、本音で語ることの多いニューヨーカーには快く受け入れられた。その後、ポールの辛口インタビューは、さらに過激に! 「題材がジャック・ケヴォーキアンじゃ、製作過程でいろいろ間違った方向に向かってしまうだろうから、おれだったら(監督を)やらないね」とか、「せっかく良い作品なのに、テレビ映画だとオスカー取れないじゃん!(オスカーの対象作品になるには、最低1週間はアメリカの映画館での公開が必要)1週間くらい公開できないの?」などと、本音トークがさく裂。バリーは、次々と早口で質問するポールにたじろぎなからも、「今のところその(公開)予定はない」と答えていた。そんな紳士的なバリーと辛口のポールの化学反応が僕にとっては心地よく、30分足らずのQ&Aだったにもかかわらず、充実感を味わえた。最後に、これほど密度の濃い本音トークが実現したのは、映画を知り尽くした巨匠同士の成せる業だったんだと、実感した。

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