映画界最高位に君臨する米アカデミー賞の歴代監督賞受賞者に名を連ねるクリント・イーストウッド&スティーヴン・スピルバーグ&マーティン・スコセッシ。先日発表されたアカデミー賞の前哨戦として注目されるゴールデン・グローブ賞に巨匠たちの新作は当然のごとくノミネートされた。イーストウッド監督とレオナルド・ディカプリオが初めてタッグを組み、FBI初代長官のJ・エドガー・フーバーを題材とした映画『J・エドガー』(1月28日公開)は、実話に基づいた物語であるだけに一見社会派と思われがちだが、人間の情や家族の象徴を描くことにたけているイーストウッド監督らしい感動のヒューマンドラマが色濃く映し出されている。
一方、戦場に駆り出される馬にフォーカスし、戦争のむなしさや命の尊さを訴えたスピルバーグ監督の『戦火の馬』(3月2日公開)は、自然豊かな映像美もさることながら、ほぼすべてのシーンにおいて本物の馬に演技をさせたという躍動感が圧巻。意外にもスピルバーグ監督にとって動物との仕事は本作が初めてだが、とても初挑戦とは思えない演出力をまざまざと見せつけ、夢や希望を与えてくれるマジックともいうべき「奇跡」を描き切っている。
初挑戦といえば、スコセッシ監督も同様。『ヒューゴの不思議な発明』(3月9日公開)で初めて3Dに挑み、3D映画に革命をもたらした『アバター』のジェームズ・キャメロン監督が「最高傑作」と太鼓判を押す仕上がりに。世界的ベストセラー小説を原作に、秘密を解き明かす旅に出る少年と少女の冒険をファンタジックに、また緻密(ちみつ)なCGを駆使した壮大なスケールで描き、大人と子どもが一緒に楽しめる作品となっている。 |
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ディカプリオ、本作でオスカー初受賞なるか!?
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壮大なロケーションも魅力の一つ
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『ヒューゴの不思議な発明』
Copyright Paramount Pictures 2011. |
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日本でもコミックの実写化が相次いでいるが、ハリウッドでもアメコミ・ヒーローの実写映画化は加速している。もっとも特徴的なのが「奇跡のプロジェクト」と称される映画『アベンジャーズ』(8月公開、ジョス・ウェドン監督)。アメリカの人気漫画出版社マーベルのヒーローたちが総出演するからだ。ロバート・ダウニー・Jrふんするアイアンマン、スカーレット・ヨハンソン演じるブラック・ウィドウ、クリス・エヴァンスのキャプテン・アメリカ、クリス・ヘムズワースのソー、マーク・ラファロのハルクなどが一堂に会し、地球の危機に立ち向かう。アクションの派手さはもちろんだが、各ヒーローの個性が生かされたぜいたくな作りにも注目だ。
同じくマーベルから世界中で愛されているヒーロー、スパイダーマンが、スタッフ&キャストを一新し『アメイジング・スパイダーマン』(6月30日公開、マーク・ウェブ監督)となって帰ってくる。しかも見応えたっぷりの3Dで、世界最速公開の地に日本が選ばれた。映画『ソーシャル・ネットワーク』で一躍脚光を浴びたアンドリュー・ガーフィールドが新生スパイダーマン=ピーター・パーカーにふんし、前3部作にはなかったピーターの背景や両親の死に迫った内容。スパイダーマンが誕生するまでの物語を新たな切り口&重量感あるトーンで描いている。
そして、マーベルと人気を二分するDCコミックのヒーロー、バットマンも忘れてはならない。『インセプション』の大ヒットが記憶に新しい名匠クリストファー・ノーランが手掛けるシリーズ最新作で最終章となる『ダークナイト・ライジング』(夏公開)だ。舞台が前作の8年後であることをノーラン監督が明かしており、ブルース・ウェイン=バットマンの終わりの物語になるとも明言している。アン・ハサウェイがキャットウーマンとして登場することも話題だが、ノーラン監督が放つ同シリーズ最後の戦いをぜひ目に焼き付けてほしい。 |
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新生スパイダーマン!
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アン・ハサウェイふんするキャットウーマン!
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