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アメリカのケーブル局Syfy(サイファイ)チャンネルの魅力

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Syfy(サイファイ)チャンネルって?クロスオーバーやゲームとのコラボでユニバースを形成今夏、意外な作品が大ヒット!

今月の特集:アメリカのケーブル局Syfy(サイファイ)チャンネルの魅力

GALACTICA/ギャラクティカ シーズン1 ブルーレイBOX
「GALACTICA/ギャラクティカ シーズン1 ブルーレイBOX」 価格:29,400円(税込み) 発売元:ジェネオン・ユニバーサル・エンターテイメント Film (C) 2005/2006 Universal Studios. All Rights Reserved. Artwork (C) 2011 Universal Studios. All Rights Reseved.

 映画であれば大ヒット作も山ほどあるのに、TVシリーズとなると、どうも敷居が高く感じてしまう人が多く見受けられるSF。だがSFほどイマジネーションを刺激されるジャンルもないわけで、食わず嫌いはもったいない。SFと一口に言ってもそのカラーは実に多彩。そこで注目して欲しい、SFと言えばココ! アメリカのケーブル局Syfy(サイファイ)チャンネル(http://www.syfy.com/)の魅力を、秀作として名高い「GALACTICA/ギャラクティカ」にいち早く注目した、アメリカのTV事情最前線に精通するライターが解説します!

文/幕田千宏

 映画・海外ドラマライター。「ゲーム・オブ・スローンズ第一章:七王国戦記」と「ワンス・アポン・ア・タイム」が今年のイチオシながら、「ニュースルーム」みたいなドラマも大好物。要は面白ければジャンルは問わない食わず嫌いナッシングな雑食系。

Syfy(サイファイ)チャンネルって?

 Syfyのオリジナル・シリーズの中でも大きな成功を収めたドラマに、2002年にShowtimeから放送を引き継いだ「スターゲイト SG-1」と、2003年にスタートした「GALACTICA/ギャラクティカ」がある。多くのスピンオフ作品が製作されるほど人気を呼んだ両シリーズ。「スターゲイト SG-1」の方はユーモラスな人間味あふれるキャラクターワーク、「GALACTICA/ギャラクティカ」の方はとことんシリアスでディープな人間模様と、テイストに違いはあれど、どちらも綿密に構築された世界観と深い人間ドラマが大きな魅力となり、コアなSFファンだけでなく、それまでSFにはあまり興味のなかった人をも魅了。優れたドラマはジャンルの枠など簡単に飛び越えてしまう好例だろう。

近年はカナダドラマの輸入が増加

 こうしたエポックな作品を生み出してきたSyfyだが、ここ数年はカナダドラマの輸入が増えてきた。もともとカナダはSF作品の製作に強く、「スターゲイト SG-1」シリーズなどもカナダで撮影されていたが、多くのアメリカン・ドラマの撮影を手掛けるうちに、カナダ産ドラマのクオリティも飛躍的に向上したことを背景に、スティーヴン・キングの小説「コロラド・キッド」をベースにした「ヘイヴン」や、キスやセックスで人間の精力を吸い取るサキュバス(『X-メン』のローグのようなもの)をヒロインにした「ロストガール(原題) / Lost Girl」などを積極的に輸入。その中でも注目の作品が、今年1月にSyfyでも放送を開始した「コンティニュアム(原題) / Continuum」だ。カナダでは2012年5月に放送がスタートするや高視聴率を記録した本作は、2077年の未来から現代にタイムスリップした警護官をヒロインとしたドラマ。同じく未来からタイムスリップしたテロリスト集団を追う主人公キーラが、未来のハイテク技術を駆使しながら現代で犯罪者を追い詰めていく活躍ぶりを描いた作風は、近年アメリカでも人気の“タフなヒロインが活躍するドラマ”というニーズにもマッチし、好評を博している。

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クロスオーバーやゲームとのコラボでユニバースを形成

 1992年にTHE Sci-Fi Channelとして開局したが、より多くの視聴者に親しみを持ってもらうため2009年に現在の名称に変更した Syfy。この名称変更の前から「ユーリカ ~地図にない街~」のようなキャッチーなSF作品が徐々に増えてきていたのも名称変更の流れにつながったと言えるだろう。全米から優秀な人材を集め、最先端の科学技術を研究している地図にも載らない極秘の町ユーリカを舞台に繰り広げられる人間模様をユーモラスに描いた本作は、まさにドラえもんのひみつ道具のようなセンス・オブ・ワンダーに満ちたドラマ。また同じようなテイストの作品に「ウェアハウス13 ~秘密の倉庫 事件ファイル~」があるが、これらの作品で積極的にクロスオーバーを図るのが、最近のSyfyの戦略だ。例えば「ユーリカ~」の人気キャラクターであるトボけた雰囲気が魅力の研究者ファーゴが「ウェアハウス13~」に登場したり、その「ウェアハウス13~」に登場するハッカー、クローディアがユーリカにやって来たり。さらに特殊能力を持った“アルファ”たちの活躍を描いたSF「ALPHAS/アルファズ」に、「ウェアハウス13~」の女性ドクター、ヴァネッサが登場したりと、複数の作品を股に掛け世界観を共有することで、アメコミで言うところのユニバースを形成しているのだ。

オンラインゲームとのコラボレーションも

 このアメリカのTVシリーズではおなじみの手法であるクロスオーバーをさらに深化させたといえるのが、オンラインゲームとコラボレーションしている「ディファイアンス(原題) / Defiance」だ。7種族のエイリアンが到来し、テラフォーミング(惑星を地球化する)された近未来の地球を舞台に、人類とエイリアンの共存を描いた本作は、今年4月のシリーズプレミアでSyfy史上2番目の高視聴率を挙げた注目作(ちなみに1位は「スターゲイト:アトランティス」)。SFやファンタジーのドラマがゲーム化されることは珍しくはないが、この作品はより緊密にゲームと連携しているのが特徴だ。ドラマのストーリーがゲームに反映されるのはもちろんのこと、多数の人間が同時参加できるオンラインゲームの特徴を生かし、ゲーム内での情勢がドラマに反映されたり、ゲームの中で実施したコンテストによって、プレイヤーキャラクターを登場させたりと、ドラマとゲーム、相互に興味をかき立てるような工夫が凝らされている。

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今夏、意外な作品が大ヒット!

 ドラマやTV映画だけでなく、アニメやリアリティ・ショーまで、SFに絡むものならなんでもアリな姿勢を追求している Syfy。さすがSF専門チャンネルと言いたいところだが、その姿勢が行き過ぎたのか、最近では「30 ROCK/サーティー・ロック」のトレイシー・モーガンがホストを務める「スケアタクティクス(原題) / Scare Tactics」というドッキリ・カメラなリアリティ・ショーや、もはやSFとはまったく関係のないプロレス「スマックダウン(原題) / Smac Down」まで放送していたりする。この「えーと、これはSFなの?」と思わず首を傾げたくなるような作品がチラホラと混ざっているのもご愛嬌。そんな作品の中から思わぬヒットが生まれることもあるのだ。

 この7月に放送されたばかりのTV映画「シャークネード(原題) / Sharknado」は、日本語で表記すれば“シャークネード=サメmeets竜巻”ということで、サメが巨大なトルネードに乗って人間たちを襲うというおバカ設定もはなはだしいB級テイストほとばしる作品だが、これが思いも寄らぬ大ヒット。放送が始まるなりあまりのトンデモぶりに夢中になるアメリカ人が続出し、ツイッターでは「LOST」のクリエイター、デイモン・リンデロフが「続編の脚本を書くよ!」とつぶやくなど、竜巻だけにセレブも巻き込み大きな話題を集めた。

サメ入りの巨大竜巻がロサンゼルスを襲撃!?

 その内容はと言えば複数の巨大竜巻(サメ入り)がロサンゼルスという全米屈指の大都会を襲っているというのに、それに立ち向かうのは元サーファーのバーテンダー、超浅瀬でサメが接近するまで気づかないビーチの人々、分かりやすい死亡フラグ、あり得ないサメ撃退法と、どれだけトンデモなのか挙げればキリがないのだが、開始から5分もたたずにツッコミどころのオンパレードで最後まで飽きさせない。それもそのはずで、本作を製作したのはこれまで数々の傑作B級映画を生み出してきた製作スタジオ、アサイラム。いわばB級映画界のメジャースタジオが手掛けたとなれば、そのバカバカしさも筋金入りなわけで、これが面白くならないわけがない。この反響を受けSyfyは即座に続編の製作を決定。傑作「GALACTICA~」を生み出したTV局のここ一番の話題作がこれでいいのか……という気もするが、良くも悪くもこのフットワークの軽さ、幅広いラインナップがSyfyの魅力。SFは苦手と思っている人も、その思い込みを捨てて Syfy作品に目を向けてみれば、思いがけない拾い物があるかもしれない。

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Syfy(サイファイ)チャンネルって?クロスオーバーやゲームとのコラボでユニバースを形成今夏、意外な作品が大ヒット!
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