愛してはいけない人を愛してしまったジェイミー・ラニスター~本当は騎士道精神の持ち主

ゲーム・オブ・スローンズの魅力

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 また新たな予告編が公開されて、ますます期待が高まる「ゲーム・オブ・スローンズ」最終章! その予告編に登場したジェイミー(ニコライ・コスター=ワルドー)は、放浪の旅のせいかヒゲが伸びた姿で「俺は生者のために戦うと誓った その誓いを守る」と断言している。そんな彼の魅力を振り返ってみよう。(平沢薫)

※ご注意 なおこのコンテンツは「ゲーム・オブ・スローンズ」について、ネタバレが含まれる内容となります。ご注意ください。

ゲーム・オブ・スローンズの魅力 連載:第6回

最初は極悪人として登場したが、徐々に本当の姿が明かされる

ジェイミー・ラニスター
嫌な奴かと思ったら……実はいい人?ジェイミー・ラニスター - (C) 2019 Home Box Office, Inc. All rights reserved. HBO(R) and related channels and service marks are the property of Home Box Office, Inc.

 ラニスター家の双生児の弟の方、ジェイミーは、次々に意外な事実が判明し、最初は悪役キャラだったのに、どんどん好感度がアップしていくという得なキャラクターだ。

 何しろ、第一印象は最悪。シーズン1第1話で、姉サーセイ(レナ・ヘディ)との不倫現場を見られて、スターク家のまだ幼い次男ブラン(アイザック・ヘンプステッド・ライト)を塔の窓から突き落とす。この残酷な行為だけで、悪人キャラだと決定。さらに、前王を背後から剣で刺し殺した卑劣な人物として有名で、人々から軽蔑を込めて“王殺し(キング・スレイヤー)”と呼ばれているので、印象は悪くなるばかり。

 ところが、その後はどんどん、実はいい人ではないかと思わせるエピソードが続く。まず彼は、自分には何の利益にもならないのに、女騎士ブライエニー(グウェンドリン・クリスティー)を危機から救う。彼女が兵士たちに乱暴されそうになったときには、嘘をついて彼女を守る。自分が王都に帰れることになっても、囚われているブライエニーが殺されそうなことを知ると、彼女を救うために戻る。実はジェイミーは、女性の名誉は守らなければならないと考える、騎士道精神の人なのだ。

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ジェイミーの不幸はすべてサーセイを愛したからかも

サーセイとの禁断の関係
双子の姉サーセイとの禁断の関係 - (C) 2019 Home Box Office, Inc. All rights reserved. HBO(R) and related channels and service marks are the property of Home Box Office, Inc.

 加えて、ジェイミーは、ブライエニーに「愛してもしょうがない人を愛した者同士」の共感を抱いているのではないだろうか。シーズン3でブライエニーが、自分は王の弟レンリー(ゲシン・アンソニー)を愛しているが、それは彼が幼い頃に自分の容姿を嘲笑する人々から救ってくれたからであり、レンリーが同性愛者であることとは関係ないと語ったとき、ジェイミーは言うのだ、「俺は責めちゃいない、お前も、レンリーも。愛する相手は選べない」。

 そう、ジェイミーの悪行はみな、サーセイを愛するがゆえのもの。彼女を愛し、彼女の望みに応えるための行動なのだ。そこがジェイミーの弱点。それは、酸いも甘いも噛み分けた老賢女オレナ・タイレル(ダイアナ・リグ)も見破っていて、ジェイミーに殺される前に微笑みながらこう言うのだ、「彼女を本当に愛しているのね。哀れな男。命取りよ」。

 そこまで愛に殉じるのは、ジェイミーが基本的にロマンチストだからかもしれない。シーズン1ではサーセイに「お前は、俺以外はすべてを殺す」と宣言する。シーズン5では、よき相棒となったブロン(ジェローム・フリン)とどんな死に方がしたいか話していて「愛する人の腕の中で」とうっとり語り、ブロンに「相手もそれを望んでるか?」とツッコミを入れられて、黙り込む。

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弟ティリオンとは信頼し合う間柄!?最後の戦いでのジェイミーの役目は?

ティリオンとジェイミー
弟ティリオン(左)とジェイミーは信頼し合っている - (C) 2019 Home Box Office, Inc. All rights reserved. HBO(R) and related channels and service marks are the property of Home Box Office, Inc.

 この姉との禁断の恋のせいで苦労が絶えないジェイミーだが、一瞬だけ、彼が幸福に浸っていると思われる瞬間が描かれている。それは、愛する娘ミアセラ(ネル・タイガー・フリー)の死の直前のこと。ジェイミーは、姉との間の子供たち3人には、自分が父親だと名乗ることができなかったが、ミアセラをドーンから連れ帰る船の中で、口ごもりながら娘に真実を告げようとする。するとミアセラは「知ってるの。心のどこかで気づいていた。それにわたしはうれしいわ、あなたがお父様で」と彼に抱きつくのだ。このときのジェイミーの幸福そうなこと。その一瞬後、彼女はすでに飲まされていた毒薬のために死んでしまうので、この幸せの瞬間が、さらに輝く。

 もうひとつ、ジェイミーがいい人である証拠は、弟ティリオン(ピーター・ディンクレイジ)が好きなこと。小さい頃、姉が赤ん坊のティリオンをいじめるのをジェイミーがやめさせようとしたことを、ドーンのオベリン・マーテル(ペドロ・パスカル)が覚えていた。ティリオンが牢に入れられたときも、ワインを持って会いに行く。互いの陣営が敵対する関係になっても、ティリオンが話し合いを求めると、姉に隠れて会いに行く。一方、ティリオンの方も兄が好きで、決闘裁判で自分の代理剣士を指名するときは、どんなに遠くにいても兄を指名する。父も姉も自己中心的なラニスター家なので、この兄弟愛には心が温まるものがある。

 そして、シーズン7。ジェイミーは、子供たちが死んだ今、王座には意味がないと言うが、サーセイは“鉄の玉座”の地位を確固としたものにすることにしか興味がない。ジェイミーは、サーセイが“死者”と“生者”の戦いに協力する気がなく、ドラゴンの女王デナーリス(エミリア・クラーク)との休戦協定を守らないことを知って、ついに彼女と決別する。サーセイに妊娠を告げられて心が揺れるが、それでも「俺はお前を信じない」と言って城を出て、ひとり、どこかへ向かっていく。彼の今後がどうなるのか。そして最後は「愛する人の腕の中で」迎えることができるのか。見届けずにはいられない。

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気になるサブキャラその1:夢を見ない現実家、だから信用できる相棒ブロン

ジェイミーとブロン
初めはティリオンの側近だったが後にジェイミーの相棒となるブロン(右)。 - (C) 2019 Home Box Office, Inc. All rights reserved. HBO(R) and related channels and service marks are the property of Home Box Office, Inc.

 ティリオンがサンサ(ソフィー・ターナー)に嫌がられているのを気にしていたときに言うブロンの台詞がいい、「人に好かれてどうする? 死んで惜しまれるだけだ」。ティリオンがムッとして「意見を聞くために雇ってるんじゃない」と言うと、すかさず「買われているのは人殺しの腕だ。意見は無料だよ」と返す。これこそ、ブロン。

 彼は、誰にでも金で買われるが、雇われれば裏切らない。雇い主でも立場は対等、言いたいことはズケズケ言う。だから、ジェイミーともいいコンビ。ジェイミーがロマンチックなことを言うと、ブロンが現実的なことを言って水を差すのがお約束だ。

 隠し事がないのも、この世界では貴重。ジョフリー(ジャック・グリーソン)の死を巡る決闘裁判で、ティリオンに代理を依頼されたときも、サーセイに賄賂をもらったから引き受けられないと返答し、ティリオンに「お前のそういうところが好きだ」と苦笑される。

 彼はもともと、たまたま、ティリオンが立ち寄った宿屋に居合わせただけの、身分も経歴もない傭兵。彼が生き残っているのは武術の腕前だけでなく、現実的な性格のせいだろう。彼は、他の人々のように抽象的な夢のために行動することがない。その性格で今後もこの世界で生き残っていくのにちがいない。

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気になるサブキャラその2:全シーズンを通して誰よりも騎士らしい騎士タースのブライエニー

ブライエニー
ジェイミーにとってブライエニーは特別な存在……? - (C) 2019 Home Box Office, Inc. All rights reserved. HBO(R) and related channels and service marks are the property of Home Box Office, Inc.

 “揺るぎなき忠誠心”、それがブライエニー(グウェンドリン・クリスティー)の神髄だ。作品中でただひとり、伝統的な騎士道精神を実践している人物が“女性”だというところもこの作品のユニークさ。もっとも彼女は、身体の大きさも武術の腕も、並の男性たちよりも上。しかし心情的には乙女で、騎士道精神に目覚めたのもある男性のせいだった。

 幼い頃の舞踏会で、大きな身体のせいでからかわれていた彼女のプライドを、当時の王の弟レンリー(ゲシン・アンソニー)が、彼女にダンスを申し出ることで救う。それ以来、彼女はレンリーに忠誠を誓い、やがて彼の“王の盾”となる。レンリーは同性愛者なので、彼女の思慕の情が報われることはないが、それは彼女も承知。そんなところも、貴婦人に精神的な愛を捧げる騎士道そのもの。

 レンリーの死後は、キャトリン・スターク(ミシェル・フェアリー)、その娘たちと仕える相手は変わっていくが、忠誠心には微塵も迷いがない。一時、彼女と行動を共にしていたジェイミーとは、お互いの騎士道精神を知って、認め合う間柄になる。最後の戦いでも、その凛々しい騎士ぶりを発揮してくれるはず。

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