原作ファンにも喜んでもらいたい『ザ・ファブル』岡田准一インタビュー

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ザ・ファブル

 お笑いの本場・大阪で生まれ育ち、インストラクターの資格を取るほど武術や格闘技好きの俳優・岡田准一。彼にとって、映画『ザ・ファブル』の主人公はまさに適役だ。天才的な殺し屋でありながら、お笑い好きで、どこか間の抜けた人間味が重なり合い、強さと優しさの絶妙なハーモニーを醸し出す。原作は、南勝久による週刊ヤングマガジン連載の人気コミック。「漫画の映画化作品は初めて」という岡田を本気にさせた主人公の魅力と、そのキャラクターに対するアプローチ法を語った。

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■現代物アクションをやりたくてウズウズしていた

ザ・ファブル

Q:最初にオファーを受けたときの気持ちを聞かせてください。

漫画原作ものの出演は、今回が初めてなのですが、現代物のアクションが久しぶりにできるということで、原作ファンの方にも喜んでいただけるような作品にできるよう、チャレンジしたいと思いました。「岡田はアクションができる」というイメージは浸透していると思うのですが、最近は時代物が多かったので、心の中で現代物をやりたくてウズウズしていたところはあるかもしれません。

Q:漫画原作の映画化について感じることはありますか?

例えば、小説の映画化でも、読者の皆さんが想像しているキャラクターへのイメージがあると思いますが、それが漫画原作ものだと、最初からビジュアルは決まっているし、イメージも付いているので、もっと如実に出る。自分の個性よりもキャラクターに寄せていかなければいけないことが多々あり、その中で、自分なりに「説得力」を出すことは、すごく難しいことだなと感じていました。

■説得力ある筋肉と怪我をしない体作りに専念

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Q:「アキラ」というキャラクターは、いかがでしたか? 格闘シーンはもとより、大阪出身の岡田さんにとっては、お笑いの血も騒いだのかなと。

もともとはコメディー作品が多かったし、ジャンルとしては大好きですね。おっしゃる通り、僕は大阪出身なので、芸人さんに対しては人一倍リスペクトしていて「笑い」を生み出せる人はすごい! と思っているんです。

Q:今回はギャグも満載だったので撮影現場は相当盛り上がったのではないですか?

それが逆で、コメディーは楽しそうに見えますが、結構、撮影現場はシビアなんですよ。1回目は笑ってくれるんですが、撮影は何回も同じことを繰り返すので、テレビのバラエティー番組のようにスタッフさんが「あはは!」なんて声を出して笑ってくれることもない。音を出してはいけないから、シーンとしているわけです。そんな環境の中で、ボケたり、突っ込んだりしなきゃいけないので、だんだん「何が面白いのか」わからなくなるんですよ。その感じも、今回、久々に味わったという感じですね(笑)。

Q:ご自身の役づくりはどうされたのですか? 原作のイメージがかなり気になったと思いますが。

体を作って、あとは髪型を寄せました。原作はもっと体の線が細めのイメージですが、実写にすると、若い方はそれでもいいんですが、僕みたいにちょっと上の世代になってくると、「いや、その体じゃ勝てないでしょ」って思われると思うので、ちょうどいいバランスを模索したという感じですね。あれ以上、体を作るとゴツくなりすぎるので、説得力のある範囲でのギリギリのところを狙いました。

Q:どんなトレーニングをされたのでしょう。

パーソナルトレーナーについて3か月間、筋トレ中心にやりました。アキラはパワーもあるし、バネもあるので、その辺りを強化するようなトレーニングですね。あとは怪我をしない体作り。今回はマスクをかぶるのでアクションチームが代わりにやってくれると思っていたんですが、「岡田さんは初動が早く、動きが独特なので誰も真似できない」と言われて。代わりがいないということは、僕が怪我をすると、撮影がストップしてしまうので、アクションに耐えられる体作りと、安全な距離感をかなり意識しました。

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■ゆっくりな動きと俊敏さを交えて殺すイメージ

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Q:アクション監修にも携わったそうですが、どんなイメージで作られたのでしょう。

(ファイトコレオグラファーの)アラン・フィグラルツさんが作る部分もあれば、僕が作る部分もあり、それを(スタントコーディネーターの)富田稔さんがバランスをとるみたいな関係性でしたね。ただ、裏社会と殺し屋のバトルがなかなかできなくて、みんなで相談しながら作りました。例えば、弾を避けるとかリアルではないので、それをどういう流れで見せるかとか、敵を見ずに撃つ芝居をあとで足すとか、いかにしてプロ感を出すかを考え、あとはアクションの間も大事にしましたかね。ゆっくりな動きと俊敏さを交えながら殺すのがファブルっぽいと思ったので、そういう感じをイメージして作りましたね。

Q:クセモノ揃いのキャラクター、特に『図書館戦争』で共演した福士蒼汰さんとのバトルは壮絶でした。

僕と(映画の中で)戦いたいと、ずっと言ってくれていたので、うれしかったですね。今回は、福士くんの成長を体で感じながら撮影できたのですごく楽しかったです。殺陣を付けるシーンもあったんですが、彼はサラっとやってくれて。そういうところもなかなかできることじゃないので、素晴らしいなと思いましたね。

Q:ヨウコとミサキという対照的な女性が登場しますが、二人の女性の魅力は?

ヨウコもミサキも個性があって、それぞれに魅力的でしたね。ヨウコは、お酒を飲み続け、男を潰してしまう原作でも人気のシーンがあるんですが、木村(文乃)さんは楽しんでやっていたみたいですよ。安定感のあるブレない女優さんだなという印象です。ミサキちゃんは、アキラが初めて一般社会で出会った女性。山本(美月)さんのイメージにピッタリでしたね。山本さんは初めて共演させていただくということもあって現場では、リラックスできるよう話しかけたりしていましたね。

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■撮影の「現場感」を失うことが一番辛い

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Q:アキラは1年間殺しを禁じられていましたが、岡田さんが禁じられて辛いものは?

やっぱりお芝居ですかね。撮影の現場感を失うことが、何より嫌ですね。目に見えるものだけではないので、カメラマンがこういう意図で撮っているとか、こういうスタンスで動いた方がいいとか、そういう画に映らない部分にもアンテナを張っていて、そこも現場では自分が評価されている部分でもあると思うので。あとは、現場での信頼関係。アクションだったらなんでも撮れるとか、馬なら吹き替えなしで乗れるとか、そういう信頼がほしくてがんばってきたので……それは失いたくないですね。

Q:アキラには意外な二面性がありますが岡田さんには何かありますか?

意外性も二面性もないと思いますが……しいて言えば、顔が濃いので、黙っていると、「あの人、すごい考えているよね」って思われがちなんですが、実はその時は何も考えていないことが多いですね。それを有効に使うときもありますが、できるだけ「身近な人ですよ」っていう感じを撮影現場で出すようにしています。「意外と接しやすいんですね」とか言われると、うれしいですよね。

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■取材後記

ザ・ファブル

冷酷非情な殺し屋でありながら、超猫舌でお笑い好き。一般の世界で健気に生きるミサキに「何か」を見出したアキラは、どこへ向かうのか? それとも、さほど変わらず、また淡々と殺し屋稼業に戻るのか? 朴訥(ぼくとつ)としているが、いざというときに優れた瞬発力を見せる岡田と本作の主人公は、その「意外性」という点で、驚くほどキャラがかぶる。もはや岡田がファブルで、ファブルが岡田、その後の彼の動向をずっと追っていきたい衝動に駆られる。岡田のアクションも含めて、早くも続編が観たくてたまらない。(取材・文:坂田正樹)

映画『ザ・ファブル』は全国公開中

(C) 2019「ザ・ファブル」製作委員会

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