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ファーストキス 1ST KISS (2025)

2025年2月7日公開 124分

切なさと笑いと涙…映画『ファーストキス 1ST KISS』評価は?

編集者レビュー

(C) 2025「1ST KISS」製作委員会

『ファーストキス 1ST KISS』2025年2月7日公開

 ドラマ「カルテット」や映画『花束みたいな恋をした』『怪物』などの坂元裕二が脚本を務め、映画『ラストマイル』『グランメゾン・パリ』の塚原あゆ子監督がメガホンをとったラブストーリー。結婚して十五年目に夫を亡くした硯(すずり)カンナ(松たか子)が、タイムトラベルする術を手に入れたことから自分と出会う前の夫・駈(かける/SixTONES松村北斗)と再び恋に落ち、彼を事故死から救おうとする。

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編集部・小松芙未 評価:★★★★★

 生死をテーマに関係を見つめ直した夫婦の、懐深い愛を描く名作。誰もが送る日常の生活と地続きにあるような身近な距離感の物語で、命と、限られた時間について改めて考えるきっかけを与えてくれる。

 目を見張るのは、夫役・松村北斗の素朴ながらも魅力的な名演。抜群の表現力を持つ妻役・松たか子にも言えることだが、45歳の現在と29歳の過去の見事な演じ分けはもちろん、強烈な印象を残す表情をいくつも見せ、キャラクターに奥行きをもたらしている。

 死を扱いながらも重苦しさは感じさせない。タイムトラベルというファンタジックな設定とユーモアを効かせた作風が柔らかく全体を包み、一時も見逃せない、聞き逃せないと夢中にさせる。坂元裕二の脚本と塚原あゆ子監督の演出が相乗効果を発揮し、一言では言い尽くせない、繰り返し観たくなる名画と言い切っていい。忘れかけていた気持ちに触れ、大切な人を思う余韻が広がる。

編集部・石井百合子 評価:★★★★★

 ドラマ「最高の離婚」(2013)、映画『花束みたいな恋をした』(2020)など、恋愛や結婚の現実をシビアに描いてきた坂元裕二が脚本とあって、結婚15年目で夫・駈を失った主人公・カンナから発せられる、核心を突いたセリフの数々がやるせない。物語は取り返しのつかないほど夫婦仲が冷め切った状況下で駈が事故死するショッキングな場面から幕を開ける。さらに、カンナが突如タイムトラベルのすべを手に入れ、悲劇にもかかわらず随所でクスリとさせる軽やかな味わいに戸惑う。

 死にゆく夫の運命を変えようと奔走するカンナを、両極端の演技で体現した松たか子はさすが坂元作品のミューズ。一方、今年国内の映画賞を席巻する『夜明けのすべて』など、俳優としてめきめきと成長しつつある松村北斗は、29歳と45歳の驚くほどリアルな演じ分けで魅せる。やや天然な駈に癒やされ、カンナと同様、タイムトラベルを繰り返すたびに愛おしく思えてくるはずだ。結婚を悲観していた主人公が、最終的にたどり着くのは人生はめぐり逢いで出来ているという真実。夫婦やカップルに限らず、観た後に大切な誰かを思い浮かべるはずだ。

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『ファーストキス 1ST KISS』あらすじ

 結婚して15年目になる夫・駈を事故で亡くした硯カンナ。一人残された彼女が新たな人生を歩み出そうとしていた矢先、タイムトラベルのすべを手に入れたことから、戻った過去で若き日の駈と再会する。生前の駈とは長らく倦怠(けんたい)期で不仲だったものの、あらためて彼への思いを再確認し、ほれ直したカンナは、15年後に事故死する駈を救おうとする。

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