困窮家庭の子供に映画館の思い出を!寄付で届ける「シェアシネマ」

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 予告編が流れるたびに「観たい!」と目を輝かせる子どもに、「いつかね」と答える。そんな夏を何年も重ねてきた家庭が、この国には少なくない。

認定NPO法人チャリティーサンタが2024年に始めた「シェアシネマ」は、経済的な理由などで映画館から遠ざかっている親子に、寄付を原資として無償の映画鑑賞体験を届ける取り組みだ。これまでに1万3,000人以上の親子が、大きなスクリーンの前に座った。(編集部:下村麻美)

夏休み映画を困窮家庭の子供たちに観てもらいたい

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映画館は「いちばん行きたくて、いちばん諦めている場所」だった

 チャリティーサンタは、クリスマスのサンタクロース訪問や書店と連携した「ブックサンタ」などで知られる団体だ。困窮家庭への支援を10年以上続ける中で繰り返し届いたのが、「長期休みに子どもへ体験をさせてあげられない」という声だったという。

 2025年3月、同団体が困窮家庭2,769世帯に「日帰りでできる体験のうち、子どもに我慢させた・諦めさせたことがあるもの」を尋ねたところ、最も多かった回答は「映画鑑賞」(82.3%)。果物狩りやゲームセンター、プールなどを抑えての1位だった。子ども自身のニーズが高いものを選ぶ設問でも、映画鑑賞は2位に2倍以上の差をつけている。

 別の調査(n=1,855)では、保護者の84.7%が「経済的な理由で子どもに映画館での鑑賞を諦めさせた経験がある」と回答。「今後あるかもしれないと不安」を加えると96.9%にのぼり、直近1年間の映画館での鑑賞回数が「0回」の子どもは3人に2人に及んだ。ほぼすべての家庭が、映画館を"手の届かない場所"として意識していることになる。背景には物価高もある。2026年春の調査では、節約対象の筆頭は食費で、約3人に1人が「最も節約しているもの」を物価高騰前から6割以上削減していると回答した。

調査結果
映画鑑賞をあきらめさせた経験─チャリティーサンタ調査

映画は贅沢なので連れて行ったことがありません。鬼滅の刃や呪術廻戦の映画の話題で一時期学校でみんなが盛り上がっていたけど、混ざれなかったと子供が淋しそうに言っていました。(小学5年生・高校2年生の保護者/事前アンケートより)

映画は単なる娯楽ではなく、休み明けの教室での「共通の話題」でもある。観られなかったことが、そのまま会話に入れない寂しさにつながる──調査の自由回答には、そんな声が繰り返し登場する。

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寄付が「鑑賞券」になり、家庭が作品と日時を選ぶ

 シェアシネマの仕組みはシンプルだ。賛同者からの寄付を原資に、全国の映画館で使えるデジタルギフト型の鑑賞券を購入し、児童扶養手当・就学援助・生活保護の受給世帯やそれに準ずる家庭へ、春休みや夏休みなどの長期休みに合わせて届ける。観る作品も日時も、家庭が自由に選べる。

 「支援される体験」ではなく「ふつうの映画のおでかけ」に近づけていることが、この設計の肝だ。応募は回を重ねるごとに増え、2024年夏の380家庭(1,000人)から、2026年春には1,809家庭(5,000人)へと規模を拡大。累計では1万3,000人以上の親子に鑑賞体験を届けている。

劇場ロビーのフォトスポットで
劇場ロビーのフォトスポットは、それ自体が思い出になる。話題作を「自分も観た」と言えることが、子どもたちの世界を広げていく
上映を待つ時間も特別なひととき
上映を待つ時間も特別なひととき。家庭が観たい作品を自由に選べるのがシェアシネマの特徴だ
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「ポップコーンを食べながら観るのが夢だった」

 鑑賞後のアンケートには、初めての映画館に興奮する子どもたちの姿があふれている。約6割の家庭が交通費や飲食代を含め2,000円未満で1日を過ごせたと回答しており、チケット代がかからなかったぶんを「夢だった映画館のポップコーン」に回せたという声も多い。

夢だった映画館のポップコーン
「お友だちから『映画館ではポップコーンを食べるんだよ』と聞いていたようで、実際に食べたポップコーンは格別だったようです」(保護者アンケートより)

映画館の前を通っては『こんどね?』と話していたので、半信半疑の子供達でしたが、映画館につくと大興奮で『うぉー!!』と叫んでいました。ポップコーンとジュースを両手に抱えて本当に嬉しそうに映画館に入っていく姿は、忘れられない光景になりました。(2025年春・鑑賞後アンケートより)

最初、「映画チケットをもらえたけど行く?」と子どもに声かけすると、「行かない」との返事が。お金がかかることをわかっていての遠慮だったようです。映画を観ながらポップコーンとジュースが夢だったと、嬉しそうに話してくれました。(2024年夏・鑑賞後アンケートより)

子どもは、親が思う以上に家計を見ている。だからこそ、気兼ねなく「行こう」と言える1枚の鑑賞券が持つ意味は大きい。

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夏休みの絵日記に、映画館に行った日のことを書いた

2024年夏の調査では、支援家庭の約8割にとって映画鑑賞がその夏の家族体験となり、「夏休みの特別なおでかけは映画館だけだった」という声も多数寄せられた。宿題の絵日記に映画館の一日を描いた子、休み明けの教室で「映画行ったんだ!」と友だちに話せた子。1本の映画が、その夏全体の記憶を明るくしている。

初めての映画館デビュー
お気に入りのぬいぐるみと一緒に。「初めての映画館」デビューの日
自分の手でトレイを運んでシアターへ
自分の手でトレイを運んでシアターへ。この一連の"儀式"こそが映画館体験だ

96.3%が「期待以上・十分に達成」。体験は親も変える

 2026年春の実施後調査(n=1,697)では、事前に「最も大切にしたい」と選んだこと(最多は「親子の共通の思い出づくり」)について、「期待以上に達成された」「十分に達成された」の回答が合わせて96.3%にのぼった。鑑賞後の子どもには、シーンに合わせた豊かな表情や、「自分ならこうする」と考えを話す姿など、感情とコミュニケーションの活性化が見られたという。

変化は保護者側にも及ぶ。「子供の純粋に楽しむ姿を見て、親として何よりの喜びを感じた」に次いで多かったのが、「企業や社会が自分たちを応援してくれていると感じ、心強くなった」という回答だ。1枚の鑑賞券は、孤立しがちな子育て世帯と社会をつなぐメッセージにもなっている。

私自身も20年ぶりくらいの映画で、最近ゆっくりする時間も取れていなかったので、久しぶりにゆっくりできた気がします。(2025年春・鑑賞後アンケートより)

 映画業界との連携も動き出している。2025年夏には『仮面ライダーガヴ』『ゴジュウジャー』を上映中の東映とコラボした寄付キャンペーンを実施し、寄付者に作品のオリジナル画像特典を提供。取り組みはNHK「ニュース7」でも紹介された。作品の力で寄付の輪を広げる試みは、今後も続いていく。

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あなたの寄付が、誰かの「初めての映画館」になる

 シェアシネマの原資は、すべて賛同者からの寄付だ。集まった寄付は映画鑑賞券の購入費用と活動の運営費に充てられ、春休み・夏休みなどの長期休みに合わせて、支援を必要とする親子のもとへ届けられる。寄付者には毎月のメールマガジンで、映画を観た家庭の感想や活動報告が届く。チャリティーサンタは2025年5月に「認定NPO法人」の認定を受けている。

子どものころに観た1本の映画は、大人になっても取り出せる宝物になる。次の長期休み、ひとりでも多くの子どもがスクリーンの前に座れるように──寄付やSNSでのシェアという形で、応援に参加できる。

シェアシネマ公式サイト

https://sharecinema.charity-santa.com/

寄付はこちら

チャリティーサンタ寄付ページ

(出典:認定NPO法人チャリティーサンタ「シェアシネマ アンケート調査」〈2024年夏~2026年春、対象:児童扶養手当・就学援助・生活保護の受給家庭またはそれに準ずる経済状況の家庭〉。写真はチャリティーサンタ提供)

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