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高橋一生、10年後も残る作品を目指すには「評価を気にし過ぎてはだめ」

高橋一生
高橋一生

 12月26日・27日に2夜連続で、荒木飛呂彦原作・高橋一生主演の実写ドラマ「岸辺露伴は動かない」第3期(NHK総合、各午後10時~10時54分)が放送される。相手を本にして生い立ちや秘密を読み、指示を書き込むこともできる特殊な能力“ヘブンズ・ドアー”を持つ漫画家・岸辺露伴を続投する高橋一生が、2020年末放送の第1期から3期に至るまでの自身、そして露伴の変わらないところ、変わったところを振り返った。高橋は、10年経っても面白い作品と思ってもらえる作品を残すことが必要と語っている。

【画像】「ホットサマー・マーサ」より最強の敵イブ

 本シリーズは、荒木の漫画「ジョジョの奇妙な冒険」シリーズの第4部「ダイヤモンドは砕けない」とスピンオフ漫画「岸辺露伴は動かない」に登場する漫画家の岸辺露伴を主人公にしたストーリー。特殊な能力“ヘブンズ・ドアー”を持つ天才漫画家の露伴(高橋一生)が、編集者の泉京香(飯豊まりえ)を相棒に、奇怪な事件や不可思議な現象に立ち向かっていく。第3期では、今年3月に刊行された「JOJO magazine」に荒木が描き下ろした「ホットサマー・マーサ」、そして「ジョジョの奇妙な冒険」のエピソードを原作とした「ジャンケン小僧」の2本を放送する。

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露伴の変わったところと変わらないところ

7話「ホットサマー・マーサ」より岸辺露伴(高橋一生)と愛犬バキン (C)LUCKY LAND COMMUNICATIONS/集英社 (C)NHK・PICS

 「ホットサマー・マーサ」の実写化について「僕の凝り固まった露伴像を崩してくれたようなエピソードだった」と高橋。「僕の中では岸辺露伴が涙目のような表情になることは想定していなかったですし、バキンという子犬を飼うこともイメージにはなかったので、とてもありがたいことではあった。露伴を多角的に観た時に『こういうところもあるんだ』というのが、如実に出ていたエピソードでした。露伴を膨らませていく、一人の人間にしていくうえではとてもいい作業をさせていただけたんじゃないかなと思っています」とドラマ3期では露伴の新たな一面を見られた感慨を話す。

 演技面では第2期の際には1期よりも「芝居の出力をあげた」と語っていた高橋だが、3期では「あえて1期のころの芝居に戻した」という。

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 「今回は演出の(渡辺)一貴さんともお話して、一期のころのお芝居に戻してみようということにはなりました。『岸辺露伴は動かない』というタイトルにとても沿うといいますか、どちらかというと“受ける”ことを意識しながらお芝居をさせていただいていたと思います。『ホットサマー・マーサ』では犬の、『ジャンケン小僧』では柊木(陽太)さんのお芝居を受ける。相手に能動的に吹っ掛けていくというやり方を極力少なくしているので、そういった意味では1期とも違いますけれど、ベースは1期に持ってきたような気がします」

 ドラマシリーズで描かれる露伴において、変わらないのは「志」だと分析する高橋。「何を優先させるのかということは露伴の中でぶれていないような気がします。それは特に意識してお芝居してきたことです。一方で、変わったことと言えば、怪異に対する対応の仕方でしょうか。“これはもしかしたら怪異なのかもしれない”という思考の結びつきが割と早くできるようになっているというか。『ジョジョの奇妙な冒険』でいうなら“スタンドの攻撃(※シリーズに登場する各キャラクターの超能力)かもしれない”ということですね。第1期から3期にかけて8つ怪異が出てきたわけなので、同時に怪異への対応の仕方というのも前より柔軟になっているかもしれません」

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「ルーティン」に陥らないために

 第1期、2期と大きな反響を呼んだドラマシリーズだが、高橋は「一番最初のお客さんが一貴さんであり、土橋(圭介※制作統括)さん、柘植(伊佐夫※人物デザイン監修)さんであって、山本(周平※撮影)さんである。彼らにとどまらず、できればどの現場にもこのチームのメンバーがいて、リアクションしてくれたら本当にうれしいんだけれどなと思います」とチームの力を強調する。そんなチームで貫いていることが「ルーティン」(習慣的・定型的な仕事)にしないことだという。

 「これだけマスクで表情が見えなくなった世界でも、土橋さんが笑っている、柘植さんがワクワクしているな、一貴さんの『OK』の声が高揚しているな、という感じは常にあってほしいなと思うぐらい新鮮なものです。というのは、どうしてもこれだけ消費サイクルに入ってしまった今のテレビ業界では、日々の仕事がルーティンになりがちだと思うんです。けれど、一つ一つの作品を残していくことが僕らの責任で、『10年経って観てもやっぱり面白い』と思える作品にしていかなければならないと思っています。そうするためには誤解を恐れずに言うと、SNSの『いいね!』の数や、見ているお客さんのことだけを気にしてはだめだと思うんです」

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 高橋は、妥協しない制作過程においてはスタッフ間での意見の食い違いがあること、そして「内輪受け」と受け止められることも恐れないことが重要だとも語る。

 「自分たちにとっていいと思うものは、ある人たちには『内輪受けでしょ』と言われてしまうことかもしれませんが、この現場には、どこか厳しい目が存在しています。十人いたら十人違う意見を持っていて、それはある意味、世間、社会の縮図です。違った意見をすり合わせていく作業こそが重要で。3期までそういう感覚で、とても幸福な時間を過ごせていました。浮かれることもなく、冷静になりすぎて石橋をたたき続けるような怖さもなく、非常にお芝居をしやすい現場です」

 ちなみに、2期の露伴の衣装は高橋の希望から原作にもあった「穴の開いたデザイン」が起用されたが、3期ではスタッフに「おまかせ」だったという。そこには高橋の「スタッフのみなさんが持っている露伴像を投影したものに乗っかりたいと思いました」との思いがあった。「皆さん一丸となってお芝居を、作品を作り上げている感覚が常にあるのが、何よりもありがたいです」と自信に満ち溢れた表情で語る高橋から、「10年経っても残る作品」を目指すチームの気概が垣間見えた。(編集部・石井百合子)

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