シネマトゥデイ

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清水 節

清水 節

略歴: 映画評論家・クリエイティブディレクター|1962年東京・新宿生まれ ●日藝映画学科中退後、映像制作会社や編プロ等を経て編集・文筆業●映画誌「PREMIERE」やSF映画誌「STARLOG」等で編集執筆●海外TVシリーズ「GALACTICA/ギャラクティカ」DVD企画制作●著書に「いつかギラギラする日 角川春樹の映画革命」、新潮新書「スター・ウォーズ学」(共著) ●WOWOW「ノンフィクションW 撮影監督ハリー三村のヒロシマ」企画制作で国際エミー賞、ギャラクシー賞、民放連賞 最優秀賞を受賞。

近況: ●映画.comコラム:世紀の問題作!「スター・ウォーズ/最後のジェダイ」を10倍味わうためのポイント10●雑誌「Pen」SF特集「ブレードランナー2049」インタビュー他●NHK BSプレミアム「ザ・ベストテレビ2017」出演●劇場パンフ「エイリアン:コヴェナント」映画評●ニッポン放送「八木亜希子LOVE&MELODY」

サイト: http://eiga.com/extra/shimizu/

清水 節 さんの映画短評

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  • ジャコメッティ 最後の肖像
    不可解な芸術家の本性を通し、クリエイティブの神髄を垣間見る
    ★★★★

     伝記映画ではない。最後の肖像画のモデルとなった男の視点を中心とする、創作の18日間。芸術家の父と作家の母をもつ名優スタンリー・トゥッチが監督を務めた本作は、威容とは対照的な姿に光を当てる。約束を反故にし作品はなかなか仕上がらず、ただならぬ空気が生まれる。エゴイスティックで理解不能、スランプに陥り、爛れた私生活が露わになる。ジェフリー・ラッシュの憑依ぶりは凄まじく、厄介な芸術家の本性が立ち現れる。ここには、矛盾を孕んだクリエイティブの神髄がある。人間の本質を追究したジャコメッティ作品は、思考の途上にすぎない。作品がまとう、時間と空間へのイマジネーションを大いに掻き立てられる。

  • 嘘八百
    得難いオリジナル脚本が役者の個性を際立たせた丁々発止
    ★★★★

     インチキ古物商中井貴一とダメな陶芸家佐々木蔵之介が手を組んで狙う一攫千金は、寅さんのいない日本の正月に安定の初笑い。ホンモノよりも本物らしいニセモノでまんまと人を欺く。洋の東西を問わず、詐欺師をめぐる映画に名作が多いのは、虚構で人を幸せにする「映画」の本質的魅力が凝縮されているからだ。騙し騙される姿に、映画と我々の姿が重なる。入念に練られた今どき得難いオリジナル脚本の力が、曲者役者たちの個性を際立たせ、軽やかな丁々発止を引き出している。昨今の邦画に欠落していた系譜の軽妙な笑いとペーソス。『百円の恋』でブレイクした武正晴には、次なるステージへ歩を進めて戴き、更なる大嘘を期待したい。

  • キングスマン:ゴールデン・サークル
    風刺すべき米国調に引きずられ、英国調「粋」の減退は残念
    ★★★★★

     確かに画づくりはゴージャスになり、バイオレンスは過激になった。超スロー×自在なカメラワークによるシームレスバトルは見応え十分だが…。舞台は英国から米国へ。身内を次々に粛清するジュリアン・ムーア扮するボスは、トランプ時代に甦った悪のパロディのよう。カルチャー衝突の結果、風刺すべき米国調に引きずられ、木乃伊取りが木乃伊になった。前作のムードを醸成する上でコリン・ファースの存在感(持ち時間)が偉大だったことを思い知る。「マナーが人を作る」から「アクションこそが映画を豊かにする」へ。このシフトはキングスマン精神を損ね、洒脱な乗りが影を薄めた。英国調の「粋」が大幅に減退したことが残念でならない。

  • レディ・ガイ
    のちのち語り草になるであろう劇画調リベンジアクションの珍作
    ★★★★★

     珍作だが、のちのち語り草になるかもしれない。殺し屋フランクが裏切られ襲撃されて気を失い、目覚めれば女性へ性転換手術されており、復讐に燃える…。フランクは最初から髭を付けたミシェル・ロドリゲスにしか見えないのだが、陰部をしっかり映して術前/術後を強調する。名匠ウォルター・ヒルの演出はリアルとアンリアルの狭間をうろつき、挿入される劇画調の映像処理は「まあ、マンガですから」というエクスキューズにも取れる。手術を施した狂気の外科医シガニー・ウィーバーへの尋問による回想がどこまで真実なのか、最後まで謎を残しモヤモヤは晴れない。トランスジェンダーの俳優を起用していれば全く違うテイストになっていたはずだ。

  • バーフバリ 王の凱旋
    ハリウッド超大作5本分のエキス!パッション1000人分配合!
    ★★★★

     所詮インドのエンタメは大仰すぎる…というシニカルな視線も踏まえている。自虐的にならず、極めて健全に、その先にある「過剰」を目指して突き抜けたインド映画の到達点。ストーリーなど追わず、ただ圧倒されればよい。男性の肉体美が躍動し、女性は優雅に歌い踊る。銀幕の可能性を追求するダイナミックなアクション。てらいなく激しく愛し合う美男美女。あまりにも純粋で完全無欠の映画の姿には、驚きを通り越して微笑むしかない。この映画に相応しいのは、栄養ドリンク的なキャッチコピーかもしれない。「ハリウッド超大作5本分のエキス!」「エンタメ濃縮還元!」「パッション1000人分配合」。無心になって一大叙事詩をご堪能あれ。

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