清水 節

清水 節

略歴: 映画評論家/クリエイティブディレクター●ニッポン放送「八木亜希子LOVE&MELODY」出演●映画.com、シネマトゥデイ、FLIX●「PREMIERE」「STARLOG」等で執筆・執筆、「Dramatic!」編集長、海外TVシリーズ「GALACTICA/ギャラクティカ」DVD企画制作●著書: 「いつかギラギラする日 角川春樹の映画革命」「新潮新書 スター・ウォーズ学」●映像制作: WOWOW「ノンフィクションW 撮影監督ハリー三村のヒロシマ」企画・構成・取材で国際エミー賞(芸術番組部門)、ギャラクシー賞(奨励賞)、民放連最優秀賞(テレビ教養番組部門)受賞

近況: ●「シン・ウルトラマン」劇場パンフ執筆●ほぼ日の學校「ほぼ初めての人のためのウルトラマン学」講師●「るろうに剣心 最終章 The Final/The Beginning」劇場パンフ取材執筆●特別版プログラム「るろうに剣心 X EDITION」取材執筆●「ULTRAMAN ARCHIVES」クリエイティブディレクター●「TSUBURAYA IMAGINATION」編集執筆

清水 節 さんの映画短評

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  • 東京2020オリンピック SIDE:B
    セレモニー演出をめぐる伝統か広告かの対論こそ深掘りすべき
    ★★★★★

    インタビューが断片的に紡がれ、全てはコロナ禍に翻弄された関係者の混乱と奮闘に収斂していく。セレモニー演出をめぐる野村萬斎と佐々木宏の「伝統」か「広告」かの対論は有意義だが、深掘りせず放り出され、肥大化した五輪が抱える闇の本質に迫る機会も未消化のまま。但し主役2人の“誠意”に尺が割かれる。不意を突き反対派に対話を持ちかけたり、非難の声を背景に広島慰霊を強行するバッハと、舌禍に基づくメディアの五輪総攻撃をかわすべく、辞任を英断する森喜朗。権力者を対象化せず寄り添う視座に目を覆う。収録5000時間には決定的瞬間が眠っているはず。2部作4時間をサマリーとし完全版10時間DVDで汚名挽回してはどうか。

  • るろうに剣心 最終章 The Beginning
    佐藤健の成熟を得て、孤独な魂が生きづらさを超克する現代の神話
    ★★★★★

    始まりへと逆行する完結編は、禍々しい魂が運命的な出会いを経て命の尊さを知り、狂気を浄化させていく繊細な抒情詩だ。最大級のエンタメから最上質のドラマへ。孤独な2人の心を寄せ合う悲恋が、血生臭い殺陣で魅せる時代劇の品格を高める。負の情念を断ち、戦う意味を問い直し、過去4作への視点を更新する。スタッフと俳優が体を張った10年間のドキュメンタリー的サーガは、振り出しに戻った。フレームの外を見つめながら現実社会と斬り結ぶ大友啓史。その演出は結果的に歳月までも取り込み、行動原理の起点を常に思い描いてきた佐藤健の演技的成熟を得て、重く劇的な追憶編を、生きづらさを抱える若者達に光明を与える神話へと昇華させた。

  • TENET テネット
    順行と逆行の狂気のバトル!行の逆読み可能な文章で敬意を表す
    ★★★★★

    映画にはまだ可能性が残されている
    近頃はそんな考えも当てにならない
    野心的な実験が成功する確率は低い

    タイムトラベルとは異なる逆再生劇
    その装いは精緻なスパイアクション
    世界の終末を懸けて戦う壮絶な奇景

    驚くべきことに敵は逆行する未来人
    全てはエントロピー減少が成せる業
    順行の現代人と入り乱れる異様な画

    カオスを前に脳内を嵐が吹きまくる
    そんなことすら考えるな感じるんだ
    何度でも観てユリイカ!と叫びたい

  • パラサイト 半地下の家族
    ジャンル横断・空間タテ移動・嗅覚表現で格差を暴く傑作エンタメ
    ★★★★★

    富める者と持たざる者が距離を縮めれば何が起きるのか。寄生しているのはどちらか。Wi-Fi無断借用で困窮ぶりを立ちどころに示す冒頭は、2020年前後の格差表現として映画史に刻まれる。対照的な家族を演じる俳優陣の可笑しくも切ない名演が見事。引き裂かれた社会の実相を暴きながらシリアスへ傾きすぎず、コメディからホラーまで多様なジャンルを横断し、高低差著しい空間の上下移動を存分に活かして、4DXでも不可能な臭いまで感じさせる。映画的快楽を詰め込んだエンタメの傑作だ。クライマックス後の余韻が素晴らしい。堕ちる恐怖を抱きながら上昇する計画を夢想し続ける永遠の希望と空しさ。ポン・ジュノの才気に酔いしれた。

  • この世界の(さらにいくつもの)片隅に
    アニメの可能性を発展させる、内面描写の深化とフィジカルの実存
    ★★★★★

    時代と人間への洞察力に驚嘆する。2016年の前作が、戦時下を健気に生きた女性を見つめる映画だとすれば、今作は、取り巻く人間関係から彼女の葛藤や苦悩を抉り出す映画へと深化した。かといって、登場人物の思考が全て暴かれるのではなく、多面的な解釈を促してもいる。追加された38分によって、既存のカットの意味さえも変容させる演出には舌を巻く。こんなにも、ヒロインの身体性を実感させるアニメ映画はあっただろうか。無垢で天然に思えた前作を覆すほどに、意識の奥底の情念が露わになった。現実の苦さをも描く片渕須直が、高畑勲の精神をより発展させるアニメーション作家として、さらに一歩前進したことは間違いない。

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