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清水 節

清水 節

略歴: 編集者・映画評論家・クリエイティブディレクター|1962年東京生まれ|●新潮新書「スター・ウォーズ学」共著●「いつかギラギラする日 角川春樹の映画革命」共著●WOWOW「ノンフィクションW 撮影監督ハリー三村のヒロシマ」企画制作 (受賞:国際エミー賞 芸術番組部門/日本民間放送連盟賞 最優秀賞/ギャラクシー賞 奨励賞)

近況: ●「3月のライオン」公式サイト評 https://goo.gl/TCISFh ●日テレ/Hulu「神山健治×大友啓史」対談進行●TOKYO FM「スカパー!日曜シネマテーク」●「Pen」特集コラム●「キングコング:髑髏島の巨神」劇場パンフ●J-WAVE「BOOK BAR」●集英社「kotoba」冬号<蒐集家の悦楽>ギレルモ・デル・トロの悪夢と恐怖の屋敷・荒涼館●映画.comコラム「この世界の片隅に」ドキュメント・レビュー●円谷プロ「金城哲夫賞」プロジェクト●ニッポン放送「八木亜希子LOVE&MELODY」●TBSラジオ「堀尾正明+PLUS!」

サイト: http://eiga.com/extra/shimizu/

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清水 節 さんの映画短評

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  • チア☆ダン ~女子高生がチアダンスで全米制覇しちゃったホントの話~
    実際に上達した女優たちのドキュメンタリー的要素に欠けている
    ★★★★★

     弱小チームが特訓の末、奇跡の勝利を収める達成劇。『がんばれ!ベアーズ』を引き合いに出すまでもなく鉄板のフォーマット。なのに、快作になり得なかったのは何故か。まず演出タッチが人間ドラマとキャラクタードラマの中庸にあって、感動へ導く軸足が定まらず展開がもたつく。肝心のダンスの見せ方にフラストレーションが募る。練習を重ねて実際に上達した、広瀬すずら女優たちのドキュメンタリー的要素に欠けている。致命的なのは決勝戦。長回しで描写しないせいもあって、米国制覇の説得性は脆弱だ。結果的に、“ブラック部活”なる概念さえ生まれた今、個よりも集団を尊重する古き良きスポ根的ドラマの美徳を甦らせることはできなかった。

  • パッセンジャー
    孤独と絶望がもたらす、世にも歪なシチュエーション・ホラー
    ★★★★★

     壮麗な宇宙船のデザインに本格SFを期待すれば、愕然とする。実に歪な映画だ。言わば、宇宙空間で予定よりも大幅に早く目覚めてしまった乗組員のシチュエーション・ホラー。絶望的な孤独に耐え切れず、広大な船内は『シャイニング』のオーバールック・ホテルさながらの狂気の空間と化す。引用の仕方があからさまで、興醒めではあるが。歪さの核心は、主人公の屈折と欲望がもたらす悲劇を、世紀のロマンへと導く演出にある。公共性が壊れた今、この身勝手な行為を冷徹に見つめれば、カルト化の可能性もあったかもしれない。惹句の“宇宙版タイタニック”とは、エンディングから始まる、もうひとつの恐ろしき『パッセンジャー』だ。

  • キングコング:髑髏島の巨神
    〈コングの黙示録〉で導入する恐怖の「ラ・ラ・怪獣ランド」体験
    ★★★★★

    『地獄の黙示録』の神秘性に、大怪獣バトル映画の醍醐味を掛け合わせるというハイブリッドの意外性。ツカミは十分だ。コング映画の要素から、美女と野獣のロマンスと都市上陸大破壊のスペクタクルを配して見せ場を神秘の島に限定し、野生のコングの生命力と戦闘能力をそそり立たせた。怪獣どもの造形はオリジナリティに富んでいる。小気味よいテンポで魅せる、スピーディーかつ多彩な肉弾戦の組み立て。70年代カルチャーや日本発のサブカル、ゲーム世代の感覚の取り込み。『ラ・ラ・ランド』のチャゼル監督と同じ32歳の俊英ロバーツ監督が生み出した、ポップな「ラ・ラ・怪獣ランド」は、最強のエンターテインメント映画だ。

  • ひるね姫 ~知らないワタシの物語~
    日常を起点とする三世代ファンタジーは神山健治作品の第四形態!
    ★★★★★

     緻密に仕組んだ少女の夢と現実の交錯によって、三世代にわたるファミリーストーリーを解明していく画期的なファンタジーだ。夢の世界は、祖父が築き上げた窮屈な高度テクノロジー社会に、虚構や創造を愛する父が反旗を翻すイメージ。その夢が知られざる真実を娘に示唆していく過程がスリリング。テクノロジーの発展をハードとソフトの相克と捉えない、屈託なき娘のしなやかな想像力は、世代間の綻びを修復する。神山健治作品が、同時代の観客に合わせて進化した。世界と個の関係を描いた『攻殻S.A.C.』以降を第二形態、世代間の差異を描いた『東のエデン』を第三形態とすれば、日常を起点とする本作は神山作品の第四形態に当たるだろう。

  • 3月のライオン 前編
    一人ひとりが人生を背負った人間として息づく感情のスペクタクル
    ★★★★★

     居場所を求め、「将棋しかなかった」少年が、プロとして自立する覚悟を描く前編。大友啓史演出は、悩み苦しみ闘い続ける普遍的な青春像を搾り出す。原作マンガからトレースしたキャラクターではなく、人生を背負った個々の人間が呼吸している。主要エピソードを満遍なく盛り込んでも、決して連続ドラマの総集編にならないのは、桐山零に同化した神木隆之介を始めとする俳優陣の一挙手一投足が、“行間”を十二分に埋めているから。対局シーンでは、ただ盤面を挟んで向き合う棋士同士の表情が映し出されるが、それは、横溢する感情のスペクタクルとして観る者を圧倒する。前後編公開という日本独自の興行形態には、このクオリティが必要だ。

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