シネマトゥデイ

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清水 節

清水 節

略歴: 映画評論家・クリエイティブディレクター●映画.com、シネマトゥデイ、FLIX、ニッポン放送●円谷プロ「ULTRAMAN ARCHIVES」●過去に「PREMIERE」「STARLOG」等で執筆・執筆、「Dramatic!」編集長、海外TVシリーズ「GALACTICA/ギャラクティカ」DVD企画制作●著書に「いつかギラギラする日 角川春樹の映画革命」「新潮新書 スター・ウォーズ学」●WOWOW「ノンフィクションW 撮影監督ハリー三村のヒロシマ」企画・構成・取材で国際エミー賞、ギャラクシー賞、民放連最優秀賞 受賞

近況: ●ニッポン放送「草野満代 夕暮れWONDER4/朝ドラ特集」●kotoba春号「特集:ブレードランナー2019-2049」●デジタルハリウッド大学「アニメフォーラム」講演●映画.comコラム●「Pen」SF特集/●NHK BSプレミアム「ザ・ベストテレビ」出演●ニッポン放送「八木亜希子LOVE&MELODY」●TOKYO FM「ピートのふしぎなガレージ」

サイト: http://eiga.com/extra/shimizu/

清水 節 さんの映画短評

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  • アンダー・ザ・シルバーレイク
    虚構に溺れ煉獄に留まる男の狂気が、ハリウッドの深層へと迫る
    ★★★★★

     LAのシルバーレイクと呼ばれる貯水池=人工湖は、この街を象徴する「銀幕」の暗喩。消えた美女を探し求め、ショウビズを夢見て憔悴した男は、都市の迷路を分け入りハリウッドの深層に迫っていく。ちりばめられたポップカルチャーの記号をパラノイア的に解読し、陰謀論的な真実ににじり寄る。描いているのは単なる闇ではない。虚構に耽溺し、煉獄に留まったままの男の狂気だ。表現の世界を志した者なら、この探偵小説的な時空に共鳴できるはず。だが、衒学的タッチで惹き付けておきながら、その彷徨のあまりの分かりやすさへの帰結には唖然とする。これが現代のリアルなのか。新世代のD・リンチ、R・アルトマンの誕生とまでは至らなかった。

  • ニューヨーク、ジャクソンハイツへようこそ
    人種の坩堝で多様性を体感し住民と同化する傑作ドキュメンタリー
    ★★★★

     88歳のドキュメンタリー作家F・ワイズマンが見つめる、167の言語が飛び交う“人種の坩堝”。ナレーションによる一切の説明を排し、カメラは街の至るところへ入っていき、いつの間にか私たちは、人々の営みの現場に同化する。事態を把握し、愛情をもって接する撮影と、観客の生理を心得た編集技術の賜物だ。怒り、嘆き、喜び、悲しみ。そして襲いかかるグローバリズムの波。人々の息遣いを感じ、街が抱える問題点に直面し、共に考える。「我々は奪いに来たんじゃない。命と汗を与えに来た」という叫びが現政権に突き刺さるが、これはトランプ以前の街の姿。旅行者ではなく居住者の視点で、多様性と民主主義の意味を体感する189分だ。

  • 2001年宇宙の旅
    公開50年。「進化」より、繰り返される「暴力」にこそ目を瞠る
    ★★★★★

     公開から半世紀、劇中年も遥かに超え、改めて鑑賞した70ミリ版。何十回も観てきたせいか、画質や音響のディテールに拘泥する自分にふと気づき、これではモノリスに触れなかったサルへの退化ではないかと焦燥感を募らせ、IMAX版に足を運んだ。初めて観た思春期には、キューブリック言うところの「科学的に定義された神」や「進化」といった深遠なテーマに思いを馳せたが、2018年現在、最も惹き付けられた描写は「暴力」だ。武器を手にして相手を撲殺し進化した生命体は、孤独な宇宙空間でAIと対決することになる。繰り返される戦いの果て、はたして人類は次なる段階へ進めるのだろうか。あの終幕は、当分訪れそうにない。

  • ハナレイ・ベイ
    家族の死に抗う心の彷徨を、見事に演じきった女優吉田羊の新境地
    ★★★★

     ハワイの海で死んだ一人息子。抗えない現実を受け入れられない母の歳月。村上春樹「東京奇譚集」の短編が、カウアイ島を舞台に松永大司の監督・脚本・編集と近藤龍人のキャメラ、そして吉田羊の好演によって見事に肉化された。淡々としているというよりも、余白と余韻が多い映画だ。若手男優の生硬な演技に不安に陥る瞬間もあるが、ハルキ文体に縛られることなく、原作になき出来事によって膨らませ、松永は静かに待ちつづけ、終盤に懸けている。ゴースト・ストーリーを浜辺の若者たちは口にするが、母の眼には見えないという残酷。喪失感に苛まれながらも毅然と生きようとする母の抑制が崩れ出し、ただひたすら彷徨う姿が激しく胸を打つ。

  • 太陽の塔
    未来を見据えて立ち続ける生命の謎を解読する、ベラボーな意欲作
    ★★★★

     太陽の塔に込められた謎に肉薄し、岡本太郎のメッセージの核心に迫るベラボーに意欲的なドキュメンタリーだ。全9章、総勢29人の学者、批評家、学芸員、僧侶、クリエイター、アーティストらの言葉が、時にシンクロして文脈を生み出し、多面的な大きなひとつの論考が紡ぎ出されていく。縄文・沖縄・アイヌという起源。曼荼羅との関係性を探りチベットへと渡る飛躍。そして黒い太陽が暗示するもの。人類滅亡後もこの巨大彫刻/建築物は存在し、未来を見据えて立ち続けるという視点にまで拡がり、「宇宙観」が提示される。あたかも本作自体が、曼荼羅の様相を呈すのだ。のべ46時間になるという撮影素材をすべて鑑賞したい欲望にかられている。

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