シネマトゥデイ

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清水 節

清水 節

略歴: 映画評論家・クリエイティブディレクター●映画.com、シネマトゥデイ、FLIX、ニッポン放送●過去に「PREMIERE」「STARLOG」等で執筆・執筆、「Dramatic!」編集長、海外TVシリーズ「GALACTICA/ギャラクティカ」DVD企画制作●著書に「いつかギラギラする日 角川春樹の映画革命」「新潮新書 スター・ウォーズ学」●WOWOW「ノンフィクションW 撮影監督ハリー三村のヒロシマ」企画・構成・取材で国際エミー賞、ギャラクシー賞、民放連最優秀賞 受賞

近況: ●FLIX special「パシフィック・リム:アップライジング+ギレルモ・デル・トロ」●kotoba春号「特集:ブレードランナー2019-2049」●デジタルハリウッド大学「アニメフォーラム」講演●映画.comコラム●「Pen」SF特集/●NHK BSプレミアム「ザ・ベストテレビ」出演●ニッポン放送「八木亜希子LOVE&MELODY」●TOKYO FM「ピートのふしぎなガレージ」

サイト: http://eiga.com/extra/shimizu/

清水 節 さんの映画短評

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  • ニンジャバットマン
    よくぞDCが許した特撮アニメ発のクレイジーなアメコミ戦国絵巻
    ★★★★

     ゴッサムシティの連中が戦国時代にスリップし、武将として戦う…設定だけで十分にクレイジーだが、中島かずきのイタズラはやりたい放題に炸裂し、神風動画のOP映像的密度のビジュアルで全編を突っ走る。背景美術は浮世絵風、活劇はC・ノーラン版より洗練され、ジョーカーは66年TV版以上に陽気すぎて不気味。バットマンや城の“変容”は日本ならではの意匠だ。もしもデップ―が目にしたらこう言うに違いない、「お前ら、昭和の特撮・アニメ出身か?」と。よくぞワーナーのロープロは本国へ企画を上げ、DCコミックスは自由な制作を許したものだ。本作によって、ハリウッド進出に変化が生ずるか、門戸が閉ざされるか、どちらかだろう。

  • ゲッベルスと私
    ナチス中枢にいた秘書の証言「私に罪はない」が私達を覚醒させる
    ★★★★★

     モノクロ映像に刻まれた103歳の老女の皺が多くを語り、インサートされる戦時下ドイツの初公開記録映像が、その証言を深く考察させる。証言者は、ヒトラーの右腕として時代を牽引した宣伝相ゲッベルスの元秘書。よりよい暮らしを求めてナチスへ入党した女性の戦争責任を追及する目的はないが、ホロコーストについて「知らなかった」「私に罪はない」という言葉からは、アイヒマンと立場は違えども、もうひとつの“悪の凡庸さ”という視点が立ち上がる。信念や批判力を失った普通の人々の無自覚や無責任の総体こそが悪の本質であると自覚させ、戦争へ突き進み蛮行が行われる上で、改めて生活者の態度を問い、覚醒させる力がある作品だ。

  • 30年後の同窓会
    70年代アメリカ映画を愛する映画ファンのための同窓会でもある
    ★★★★

     3人の旧友が旅をする。ベトナムで心に傷を負った50代男が仲間と共に、イラクで命を落とした息子の遺体を引き取りに行く重めのロードムービーを、笑いを織り交ぜ、寄り道しながら軽妙に綴っていくリチャード・リンクレイターの語り口は、さながら『20才だったボクが、大人になってから。』。そこはかとなく立ち上る痛恨の念。政治的信条や正義といった価値観が後退し、経済性のためのディールとフェイクが優先されるトランプの時代が、映画を覆う。原作者が同じ『さらば冬のかもめ』はもちろん、べトナム戦争を描いた作品群のその後といった趣もあり、70年代アメリカ映画を愛する映画ファンたちの同窓会としても胸に迫るものがある。

  • それから
    愚かさと可笑しみを包む神々しさに達したホン・サンス映画の境地
    ★★★★

     あらゆる映画が作為的に思えてくるほど、ホン・サンスの描く男と女は、ありのままであからさまだ。たわいない会話、痴情のもつれ。上昇することなく、ただぐるぐると、ありふれたみっともない行状を繰り返し、その円環が閉じることはない。高名な評論家にして出版社社長である中年男は、高等遊民よろしく、どこか浮遊する存在。女性を前にして、打算に満ち情けないその言動は、監督自身の自虐的な自画像であるばかりでなく、ほぼすべての男性性の正体であろう。露わになる男女の本性と対照的なのが、諍いから距離を置くキム・ミニの圧倒的な美しさ。愚かさと可笑しみを包む神々しいまでの眼差しは、螺旋を天空から見下ろすかのようだ。

  • リディバイダー
    POV映画としてよりもFPSゲームとして再開発すべき終末SF
    ★★★★★

     YouTube270万回再生動画から長編劇場映画へ。VFXスーパーバイザーの初監督作だ。設定は込み入っており、何が起こっているのか、いささか複雑。一言で言うなら、地球の危機を救うため主人公が複製世界(エコーワールド)へ送りこまれるSFクライシス。現実を客観視点で、複製世界を一人称で映し出すヴィジュアル感覚が最大の見どころだが、終末感漂う舞台背景とキャラクター描写が、撮影や視覚効果といったテクニックの二の次になっていることは否めない。ストーリー性のあるPOV「映画」よりも、体感性を強調するFPS「ゲーム」として再開発した方が、この企画はブレイクするのではないだろうか。

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