シネマトゥデイ

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清水 節

清水 節

略歴: 映画評論家・クリエイティブディレクター●映画.com、シネマトゥデイ、FLIX、ニッポン放送●過去に「PREMIERE」「STARLOG」等で執筆・執筆、「Dramatic!」編集長、海外TVシリーズ「GALACTICA/ギャラクティカ」DVD企画制作●著書に「いつかギラギラする日 角川春樹の映画革命」「新潮新書 スター・ウォーズ学」●WOWOW「ノンフィクションW 撮影監督ハリー三村のヒロシマ」企画・構成・取材で国際エミー賞、ギャラクシー賞、民放連最優秀賞 受賞

近況: ●ニッポン放送「草野満代 夕暮れWONDER4/朝ドラ特集」●kotoba春号「特集:ブレードランナー2019-2049」●デジタルハリウッド大学「アニメフォーラム」講演●映画.comコラム●「Pen」SF特集/●NHK BSプレミアム「ザ・ベストテレビ」出演●ニッポン放送「八木亜希子LOVE&MELODY」●TOKYO FM「ピートのふしぎなガレージ」

サイト: http://eiga.com/extra/shimizu/

清水 節 さんの映画短評

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  • スターリンの葬送狂騒曲
    恐怖政治に怯える組織人なら震えつつも笑い転げる権力闘争の実態
    ★★★★

     フランスのグラフィックノベルをイギリスの政治風刺劇の名手が映画化した、旧ソ連の権力闘争。独裁者スターリンの死の直前から始まるが、側近たちの狼狽や権力欲を露わにする姿は、ほぼ実話なのに滑稽極まりない。昨今の日本では、ピラミッド構造のトップの横暴が露見し、テレビやSNSに晒されて人々が溜飲を下ろす行為が繰り返されているが、その本質はここに描かれていることと何も変わらない。恐怖に基づく権力の暴走、全体主義の行き着く先は、いつの時代も歪にして愚かしいが、渦中にいる人間が客観視することは難しい。未だドンが君臨するあらゆる業界の組織人は、本作を震えつつも笑い飛ばし、改革のヒントを見出すかもしれない。

  • オーシャンズ8
    男達の泥臭い金庫破りを過去に追いやる、華麗なる女性集団大泥棒
    ★★★★

     シリーズのリーダー格ジョージ・クルーニーには妹がいた、という笑える接点はともかく、タイムズ・アップの時代を実感させる。『オーシャンズ』女性版という認識は改めた方がいい。男達の一世一代の金庫破りなど泥臭い行為とばかりに、女性達はゴージャスにして鮮やかに決める。会場はメトロポリタン美術館、狙いはメットガラのダイヤの首飾り。銃撃アクションも色仕掛けもないが、アクシデントに見舞われても知略の軌道修正は抜かりない。リーダーであるサンドラ・ブロックのもうひとつの目的は情念に満ちているが、演歌に陥ることもない。標的としての“人気ハリウッド女優”アン・ハサウェイのキャラクター造形が巧みで物語を膨らませる。

  • インクレディブル・ファミリー
    ブラッド・バードのリアリティの原点は『科学少年J.Q』
    ★★★★

     スーパーヒーローとスパイムービーとホームドラマを融合させた発明。60年代をスタイリッシュなものとして捉え直した美術感覚。14年前の前作直後から物語を始めても、もはや普遍的ゆえ違和感がない。男の威厳にこだわっていた父もすっかり育児の人となり、ヒーロー復権の白羽の矢が立つのは母というタイムリー性。惜しむらくはヴィランの存在感の薄さだが、敵役をメディアを介して洗脳されやすい大衆と考えれば、なんとも刺激的。ハリウッド製アニメでありながら、大人の視線を視野に入れたブラッド・バードは妥協を知らない。劇中TVとして登場するハンナ・バーべラのSFアニメ『科学少年J.Q』のリアリティは、本作の精神的ルーツだ。

  • ウインド・リバー
    辺境における苛酷な現実を、白銀のアクション映画に昇華させる業
    ★★★★

     女性が裸足で極寒の雪原に走り出て必死に逃げようとするが、倒れ命尽きる――。辺境からアメリカの貧困・差別・暴力といった苛酷な現実を見つめ続ける脚本家テイラ―・シェリダンの監督作は、ワイオミング州の先住民保留地における「癌よりも高い殺人死亡率」を題材に、過去を抱えるハンターと若きFBI捜査員の視点で導入し、アクション映画へと昇華させる。犯人探しミステリーが途絶し、回想で過去が明かされる形式が終盤を強化している。許されざる復讐。だが、怒りと悲しみのやり場の矛先がそこにしかない状況に、より絶望が深まる。クライマックスの“白い地獄”は、アンドレ・カイヤット監督作『眼には眼を』の灼熱の砂漠に匹敵する。

  • ミッション:インポッシブル/フォールアウト
    もはや物語は二の次で構わなくなる、昭和37年生まれの肉体言語
    ★★★★★

     イーサンの哀しみで幕を開けるが、裏切りのプロットはいささか混乱気味。が、とことん魅せる!『スパイ大作戦』への痛快なオマージュで惹きつけ、アクション映画としての純度は極めて高い。パーティへの潜入に高度8000mからダイブする必要はあるのか!? というツッコミなど野暮。ビルジャンプ失敗骨折ネタは宣伝に奉仕し、すこぶる痛い便器バトルも縦横無尽バイクアクションも蛇行ヘリアクションも、トムのマゾ的プロ根性が全開。もはやストーリー性など二の次でいい。身体を張った活劇は、原初にして最強のエンターテインメントだ。20世紀的な映画の興奮を今に引き継ぐ、昭和37年生まれのトム・クルーズに喝采を贈ろう!

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