平沢 薫

平沢 薫

略歴: 映画ライター。視覚に訴えかけるビジュアルの派手な映画がお気に入り。「SCREEN」「SCREEN ONLINE」「Movie Walker」「日経エンタテインメント!」「DVD&動画配信でーた」「キネマ旬報」「SFマガジン」「映画.com」等で執筆。他に「キングスマン:ゴールデン・サークル」ノベライズ、「グレートウォール」ノベライズ、「X-ファイル 2016」ノベライズ、「フランケンウィーニー」ノベライズ、「「ターミネーター:新起動/ジェニシス ビジュアルガイド」翻訳など。ウェブで映画やTVドラマのニュースを追いかけ中

近況: 「トゥルー・ディテクティブ」シリーズ第4弾、ジョディ・フォスター出演の「トゥルー・ディテクティブ ナイト・カントリー」@U-NEXTを視聴中。夜が続くアラスカの町。先住民たちの間の言い伝え。超常現象のように見える事件。これまでのシリーズとはまったく違う雰囲気が新鮮。

平沢 薫 さんの映画短評

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  • 猿の惑星/キングダム
    三部作の数世代後、世界はこうなっているかもしれない
    ★★★★★

     時代背景は、三部作の最終作『猿の惑星:聖戦記(グレート・ウォー)』の数世代後。その頃、こういう猿が出現し、世界はこのようになっているかもしれないという物語と、その世界の光景が興味深い。あの三部作の後日談となると、なぜその物語を描かなければならないのかという理由が欲しくなってしまうが、そこは観客各自の判断か。

    『メイズ・ランナー』シリーズのウェス・ボール監督によるアクションシーンが充実。前作の寒冷地とは全く違う、緑豊かな森での絶壁や大樹を活かした落下系アクションから、人間の建築物内の戦闘など、バリエーションも豊富。1968年のオリジナル映画『猿の惑星』へのオマージュもたっぷり。

  • ボブ・マーリー:ONE LOVE
    音楽が自然に発生する瞬間に立ち会える
    ★★★★★

    ボブ・マーリーが仲間たちとあるいは一人で、ゆるい感じで楽器を触っていると、そこから自然発生的に曲が姿を現していく、というシーンが何度かあり、まるで音楽の誕生に立ち会ったかのような興奮を与えてくれる。この映画は彼の音楽を、ステージではなく、発言でもなく、そういう形で描く。

     プロデュースにボブ・マーリーの息子や娘、妻が参加した「家族の目から見たボブ・マーリー」でもあり、仲間たちとサッカーをして走り回り、子供たちを抱きしめてひょいと持ち上げる姿が繰り返し描かれる。主演のキングズリー・ベン=アディルの身体の動きのそっくりぶりも驚異的。特にステージ上のトランス状態での動きに目を奪われる。

  • トランスフュージョン
    サム・ワーシントンは身体で演じる俳優だと痛感
    ★★★★★

    『アバター』シリーズのサム・ワーシントンが、かつて凄腕のスナイパーだった元兵士を演じるクライム・アクション、という枠組み通り、バイオレンス度の高い銃撃&格闘アクションが満載。しかしそれだけでなく、本作が初監督作となる、監督・脚本と、主人公を犯罪に巻き込む元兵士仲間役の3役を兼ねるマット・ネイブルが、そこに登場人物たちの複雑な心理をプラス。主人公と元仲間の間にあるのは友情だけではない。主人公と息子は互いを理解したいのに、性格も資質も違うため微妙にすれ違う。ワーシントンが珍しく長髪で、主人公の心の動きを、全身で号泣するなど、セリフではなく体全体を使って演じるのも見もの。結末に希望があるのもいい。

  • 胸騒ぎ
    ブラムハウスのリメイクも納得のリアルな心理ホラー
    ★★★★★

     ブラムハウスが、ジェームズ・マカヴォイ出演、『フレンチ・ラン』のジェームズ・ワトキンス監督でリメイク映画『Speak No Evil』を製作した話題作。

     旅先で出会って親しくなった一家は、本当に彼ら自身が語る通りの人々なのか。そんなありそうな設定で、誰もが思い当たる、よくある心理の動きが、いくつも重ねられていく。ふとした折に感じた違和感の理由が分からず、そのために自分の直感を否定したくなる気持ち。自分が無意識のうちに抱いている願望を叶えるために、目の前にある不都合を見なかったことにしたくなる気持ち。さらに「あの時、ああしていれば」が何度もある。そのすべてがリアルで恐怖が後を引く。

  • 無名
    1940年代の上海、レトロでスタイリッシュな映像に酔う
    ★★★★★

     1940年代の上海。都会の夜の中でスパイたちが裏切り合う。そんな設定からイメージする通りの、徹底的にレトロでスタイリッシュな映像で、スパイたちの哀しく切ない物語を描き出す。建造物、室内の調度品のデザインから、男たちがみな着用するソフト帽や三つ揃いのスーツ、モノクロではないのにモノクロを思わせる色調、もちろん画面の構図にまで、すべてにこの美学が貫かれている。この世界観にじっくり浸るのが心地よい。

     スパイの欺き合いに相応しく、ストーリーにも技巧があり、時間を行き来して何度か登場するシーンが、後から別の意味をもって見えてくる。トニー・レオンとワン・イーボーのスタントなしの格闘も見もの。

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