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モナ・リザ アンド ザ ブラッドムーン (2022):映画短評

モナ・リザ アンド ザ ブラッドムーン (2022)

2023年11月17日公開 106分

モナ・リザ アンド ザ ブラッドムーン
(C) Institution of Production, LLC

ライター6人の平均評価: ★★★★★ ★★★★★ 3.3

大山くまお

ミニシアターで上映されたらカルトムービーになりそう

大山くまお 評価: ★★★★★ ★★★★★

隔離病棟で12年も監禁されていたモナ・リザが、ちょっとした超能力を使えるようになり、自由を求めて脱出。俗悪なニューオーリンズの底辺の人々をトラブルに巻き込んだり、巻き込まれたりしながら、人の欲とか情とか優しさとかを知る。はたして彼女は本当の自由を手にすることができるのか? という物語。閉塞感で息が詰まりそうな女性が観たらスカッとするんじゃないだろうか。極彩色のネオンとダブステップでむせかえるニューオーリンズの街がある意味、主役。90年代のミニシアターで上映されたらカルトムービーになりそう。女性を下に見てる白人男性はムカつく。「続編」でモナ・リザと出会えるかどうかを楽しみに待ちたい。

この短評にはネタバレを含んでいます
なかざわひでゆき

ネオンカラーとEDMサウンドに彩られた不思議な寓話

なかざわひでゆき 評価: ★★★★★ ★★★★★

 精神病院に12年間も幽閉されていた女性モナ・リザが、赤い満月の夜に突如として超能力に覚醒…といっても、テレパシーで相手を操るという割と地味なパワーなのだけど(笑)。で、精神病院を脱走した彼女が、向かった先のニューオーリンズで様々な人たちと出会い、うだつの上がらない彼らの人生をほんのちょっとだけ変えていく。この「ほんのちょっと」のサジ加減がなんとも絶妙。超能力のコンパクトなスケール感と併せて、どこか寓話的な物語に不思議な説得力を与えていると言えよう。ネオン煌めく美しい夜景と心地良いEDMサウンドの醸し出すマジカルなムードも良し。お洒落でシュールな小品佳作だ。

この短評にはネタバレを含んでいます
森 直人

ざらついたストリートの甘辛ダークファンタジー

森 直人 評価: ★★★★★ ★★★★★

ヒット・ガール(『キック・アス』)とニキータの間とでも言うべきか。『バーニング』以降、グローバルな快進撃が続くチョン・ジョンソ扮するモナ・リザのキャラクターだけでもう完全勝利な快作。アナ・リリー・アミールポアー監督は『ザ・ヴァンパイア』『マッドタウン』とアートハウス系にもアプローチするジャンル映画の作り手と言えるが、今回はポップに大きく飛躍。モナ・リザの血のついた拘束着もモード系ファッションの雰囲気があり、感覚の鋭い娯楽映画だ。

アリ・アスター組として知られるパヴェウ・ポゴジェルスキの撮影による夢幻的迷宮のごとき夜のニューオーリンズもいい。都市の裏通りで暗い光を放つ寓話の趣。続編も希望!

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くれい響

夜のニューオーリンズを疾走する“未知との遭遇”

くれい響 評価: ★★★★★ ★★★★★

夜間はやたら治安が悪いニューオーリンズを舞台に展開される、ポールダンサーのシングルマザーとのシスターフッドな“未知との遭遇”。『ザ・ヴァンパイア~残酷な牙を持つ少女~』のアナ・リリー・アミールポアー監督作らしく、内容てんこ盛りで、予測不能な展開が続く。毎度おなじみ“女性の生きづらさ”とともに“人は見かけで判断するな”もテーマになっているが、先に配信が始まった『バレリーナ』同様、野獣のようなチョン・ジョンソ頼みなところも多く、投げっぱなしな印象も強い。サフディ兄弟監督の『グッド・タイム』が好きならツボるショットやサウンドも満載で、脚本云々よりも、MTV感覚で観るのがベター。

この短評にはネタバレを含んでいます
平沢 薫

夜の道はいつも危うい気配に満ちている

平沢 薫 評価: ★★★★★ ★★★★★

 アナ・リリー・アミールポアー監督の映画のヒロインは、いつも一人で歩いていく。『ザ・ヴァンパイア~残酷な牙を持つ少女~』では夜の道を一人で歩き、『マッドタウン』では灼熱のテキサスの荒野を一人で歩き、本作では赤い月の夜のニューオリンズの街を一人で歩く。その歩く世界は嫌なことが起きそうな危うい気配に満ちている。

 今回の主人公が歩くのは、不穏な夜の沼地をこえ、無機質な精神病棟を出た、その先。12年間を精神病棟で過ごしてきた少女には、すべてが目新しく、ネオンのいかがわしい輝きも美しく見える。そういう世界を『へレディタリー/継承』『ミッドサマー』の撮影監督パヴェウ・ポゴジェルスキが映し出す。

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猿渡 由紀

ステレオタイプでないキャラクターが味わい深く面白い

猿渡 由紀 評価: ★★★★★ ★★★★★

ショッキングなオープニングで引き込まれてから、ずっと予測のつかない展開で心をとらえられっぱなし。ストーリーだけでなくキャラクターも意外性がある。悪そうな男に引っかかって何かされるのかと思うと裏切られるし、ケイト・ハドソン演じるシングルマザーのストリッパーもステレオタイプとはほど遠い。そもそも主人公に韓国人女性を据えたのも新鮮だ。脚を怪我した警官がハイヒールを履いたストリッパー(ハドソン)を追いかける、ハリウッドでおそらく最もスローペースのチェイスシーンも、ユーモアがあって楽しい。センス抜群のサウンドトラック、ニューオリンズの魅力をとらえたビジュアルも良い。

この短評にはネタバレを含んでいます
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