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返還前の香港の姿がよみがえる!『メイド・イン・ホンコン』4Kデジタル修復版が完成

名作がよみがえる!『メイド・イン・ホンコン』より
名作がよみがえる!『メイド・イン・ホンコン』より

 中国出身のフルーツ・チャン監督の出世作『メイド・イン・ホンコン』(1997)の4Kデジタル修復版がこのほど完成し、イタリアで開催された第19回ウディネ・ファーイースト映画祭で上映された。舞台あいさつを行ったチャン監督は「デジタル修復されてフィルムの魅力が損なわれるのではないかと心配したが、修復版に非常に満足している」と声を弾ませた。

ほろ苦い青春!『メイド・イン・ホンコン』フォトギャラリー

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ウディネ映画祭に参加したフルーツ・チャン監督

 同作は中国返還直前の香港を舞台に、借金の取り立てをしている少年チャウと知的障害を持つ弟分のロン、そして重い腎臓病を抱えた少女ペンのほろ苦い青春物語。窪塚洋介主演『ピンポン』(2002)でチャイナ役を演じたサム・リーが、チャン監督に街でスカウトされて出演したデビュー映画だ。

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 製作総指揮を人気俳優アンディ・ラウが務めているが、チャン監督が期限切れフィルムを集めて撮影したインディペンデント映画で、それだけ思い入れも深い。チャン監督は以前から修復を切望していたそうだが、高額な費用がかかることから、なかなか実現に至らなかったという。

 そこに救いの手を差し伸べたのが、本映画祭だった。『ミッドナイト・アフター』(2014)が第16回で上映されて現地入りした際、チャン監督自ら映画祭側にプロジェクトを持ちかけたという。これにプレジデントのサブリナ・バラセッティは香港映画を代表する1本であることから快諾。イタリアのボローニャに本社、香港に支部のあるフィルム修復・保存ラボ「イマジネ・リトロヴァータ」で作業を行ったという。

 ただし映像フィルムの素材は全て残っていたが、サウンド・リールの何本かを紛失。そこで、一部のサウンドをBETACAMバージョンなどから復活させたという。確かに上映環境の問題もあってか、音声は少しくぐもっているように聴こえた。だが、フィルムのざらつきが残る映像は20年前の香港の街並みの息吹を感じさせ、郷愁をかりたてるだろう。そして、その中で自由に躍動するサム・リーたちの若き姿が眩しい。

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 完成した4Kデジタル修復版は3月に開催された第41回香港国際映画祭で初披露され、本映画祭では香港特別行政区成立20周年を記念した特集上映「クリエイティブ・ビジョン:香港映画1997-2017」の1本として上映された。この特集は香港商務及経済発展局の支援を得ており、同局では7月1日の香港特別行政区成立記念日に向けて、同様の香港映画をテーマにした展覧会を世界10か所で行う予定だという。(取材・文:中山治美)

特集上映「クリエイティブ・ビジョン:香港映画1997-2017」の上映作品は以下の通り。

●フルーツ・チャン監督『メイド・イン・ホンコン』(1997)
ジョニー・トー監督『ザ・ミッション 非情の掟』(1999)
アンドリュー・ラウアラン・マック監督『インファナル・アフェア』(2002)
チャウ・シンチー監督『カンフーハッスル』(2004)
パトリック・タム監督『アフター・ディス・アワー・エグザイル(英題) / After This Our Exile』(2006)
ウィルソン・イップ監督『イップ・マン 序章』(2008)
ソイ・チェン監督『アクシデント』(2009)
パン・ホーチュン監督『恋の紫煙』(2010)
 *第23回東京国際映画祭アジアの風部門で上映
アン・ホイ監督『桃(タオ)さんのしあわせ』(2011)
ウォン・カーワイ監督『グランド・マスター』(2013)
ウォン・ジョン監督『一念無明』(香港)
 *第12回大阪アジアン映画祭コンペティション部門上映

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