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『フラガール』松雪泰子単独インタビュー

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『フラガール』松雪泰子単独インタビュー

何度も壁にぶつかり、挫折を味わいながら演じた

取材・文:平野敦子 写真:亀岡周一

『子ぎつねヘレン』に引き続き『フラガール』に出演。堂々と主役を務め、見事なタヒチアンダンスも披露してみせた松雪泰子。昭和40年代に都会から炭鉱の町にやって来た、モダンで鼻っ柱の強いプロのダンサーを熱演した彼女に、ハードなダンスレッスンから役作りに至るまで、本作の魅力について思う存分語ってもらった。

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1日6時間から8時間のハードなダンスレッスン

松雪泰子

Q:フラダンスのシーンが圧巻でしたが、どれぐらい練習されたのでしょうか?

撮影に入る前に2か月集中して練習しました。最低でも6時間、多いときには8時間ぐらいレッスンをしました。

Q:ケガをしたり、体を痛めたりはしなかったですか?

それはなかったですが、ひざを曲げた状態で腰を低くして動く民族舞踊なので、かなり下半身が鍛えられました(笑)。わたしが踊ったタヒチアンダンスというのは、連続して下半身を回したり、細かく揺らしたりするので、けっこうハードでした。

Q:もともとダンスを習っていたのでしょうか?

小学校1年生のときにバレエを1年ぐらいやっただけなので、ほぼ経験のない状態でした。

Q:途中でつらいと感じたことはありましたか?

あります、あります(笑)。プロのダンサー役でしたので、技術も高度なものを要求されていて、そういうプレッシャーはありましたし、踊りを覚えるだけではなく、プラスアルファの表現力も必要という大変さはありました。ある程度のところまではいくんですが、その先伸び悩んでしまったり、何度も壁にぶつかったり、挫折を味わいながら演じていました。

Q:今回一番難しかったシーンはどこでしょうか?

蒼井優ちゃん演じる紀美子に愛情を持ってレッスン場で怒るシーンですね。笑いたくなくても笑わなくてはいけないというつらさを自分も十分に分かっていながらも、あえて強く言うところです。難しかったのは、変化していく細かい心情の部分を、そのたたずまいや表情の変化という行間の芝居で見せることでした。

Q:ソロで踊る重要なシーンがあったので、プレッシャーもかなりのものだったのではないでしょうか?

あのシーンは、やる気もなく自暴自棄な状態で炭鉱の町にやって来たプロのダンサーが、殺伐とした感情をぶつけながら踊っているという場面なんです。踊っているうちに、彼女の感情もだんだんよみがえってくるというか……。それが迫力にもつながり、そのダンスを見た少女たちが「先生みたいに踊りたい!」と思うきっかけになるシーンでもあります。

振り付けは完ぺき!

松雪泰子

Q:今回役作りで苦労した点があれば教えてください。

わたしが演じたまどか先生というのは、感情表現がストレートで、爆発的に感情を表に出すキャラクターなので、演じる上では面白みがありました。撮影に入る前に監督と話をして、こういう人物像にしましょうということは決まっていたので、あとは自分なりにイメージを膨らませたんです。すごく弱い部分を持っているのだけど、あえてそういう部分を隠して強く見せようとしている落差の部分とか、町の人と触れ合っていくにつれてどんどん変化していく心情の部分を細かく見せたいと思いました。

Q:まどか先生になりきるために努力したことはありますか?

人に教えるシーンが多かったわけではないのですが、みんなが踊る振り付けに関しては細かいステップも全部覚えました。対面で教える場合は鏡に向かって動くので、通常の振りと逆方向の振りも覚えて、どんなときでもフラガールの子たちの動きを把握できるようにと思って努力しました。それだけ準備したおかげで、現場でこういう動きを付けたいんだけど……といったときに、それならこういうアプローチがありますよと言える準備はできていました。

Q:何曲ぐらいの振り付けを覚えたのでしょうか?

そうですね……(と指折り数えながら)、6曲か7曲は完ぺきに覚えました。

Q:蒼井優さんや“南海キャンディーズ”のしずちゃんとの共演はどうでしたか?

優ちゃんはとてもストイックな努力家で、妥協しないところが素晴らしいと思いました。一緒に同じダンスをトレーニングしていたので、つらさも共有できたと思いますし、共演してすごく楽しかったです。しずちゃんはいつも現場を和ませてくれる、見た通りのあのままの感じですね(笑)。

個人的に思い入れの強い作品

松雪泰子

Q:この映画をご自分でご覧になっていかがでしたか?

一度しか観ていないのですが、なかなか客観的には観られなくて……。現場で過ごした時間も長かったですし、すごく思い入れのある作品です。

Q:ラストのフラダンスのシーンをご覧になった感想を聞かせてください。

長い間みんなが努力して作り上げた素晴らしいシーンだと思います。わたしも観ていて感激しました! 本当に何もできないところから始まったので、それを考えるだけでもすごい成長だと思いますし、映画の中での出来事がそのまま自分たちの姿と重なるわけですから、よりリアルで感動も大きかったです。

Q:実際この映画のモデルになった先生はどのような方ですか?

すごくパワフルな方で、一生懸命になるとテンションが上がり過ぎて何を言っているか分からないなんてこともありました(笑)。その一生懸命さがわたしたちにはすごく伝わってくるんです。女性としての人生というより、すべてを常磐ハワイアンセンター(現:スパリゾートハワイアンズ)に捧げた方なので、そのプロ意識の高さは尊敬しますし、学ぶべきことはたくさんありました。

Q:常磐ハワイアンセンター(現:スパリゾートハワイアンズ)はいかがでしたか?

仕事だったので、あまり堪能できなかったのが残念です。でも露天風呂には一度入りました。またプライベートでも行ってみたいです。

Q:では、最後にこの映画の魅力についてメッセージをお願いします。

ストーリーは炭鉱が衰退していく中で、その町を再生していくというすごくシンプルなものです。新しいものを生み出していかなくてはならない、変化していかなければならないという中での人々の葛藤(かっとう)や対立、そこで人々が希望を失わずに生きていくということや、それぞれの立場での女性の生き方がすごくリアルに描かれています。ぶつかり合う中で物事を成し遂げる達成感や、あきらめない姿勢、情熱を感じてもらえると思います。きっと、どの年代の人が観てもすごく共感できる部分があるはずです。女性たちは勇気をもらえるだろうし、元気になれる映画だと思うのでぜひ観てください!


松雪泰子

普段のおしとやかなイメージとは180度異なる、直情型のヒロインを体当たりで演じきった松雪泰子。自分のパートではないフラの振り付けを完ぺきに覚えるなど、役に対してのひたむきな姿勢に女優としての意気込みがひしひしと感じられた。美しいだけではなく、彼女の言葉で言うところの“プラスアルファ”を身に着けた彼女は、今まで以上に女優として、そして人間としても光り輝くに違いない。

ヘアメイク:冨沢ノボル(cube)
スタイリスト:長谷川みのり

『フラガール』は9月23日よりシネカノン有楽町ほかにて公開。

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