『ラ・ラ・ランド』ライアン・ゴズリング&デイミアン・チャゼル監督 単独インタビュー

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『ラ・ラ・ランド』ライアン・ゴズリング&デイミアン・チャゼル監督 単独インタビュー
ノーカットワンテイクの猛プレッシャー

取材・文:編集部・石神恵美子 写真:日吉永遠

『セッション』で映画ファンを熱狂させたデイミアン・チャゼル監督が、ロサンゼルスを舞台に女優の卵(エマ・ストーン)と売れないジャズピアニスト(ライアン・ゴズリング)が恋と夢の狭間で揺れ動くさまを描いたミュージカル『ラ・ラ・ランド』。ライアン&監督が、本年度アカデミー賞で『タイタニック』(1997)に並ぶ史上最多14ノミネートを達成した直後にそろって来日し、その喜びをかみしめつつ、本作のテーマから撮影の裏話までを語った。

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歴史的快挙をみんなそろって祝福!

ライアン・ゴズリング&デイミアン・チャゼル監督

Q:アカデミー賞史上最多タイの14ノミネートおめでとうございます! そのニュースを聞いた瞬間はどうでしたか?

デイミアン・チャゼル監督(以下、監督):実はこの映画のプロモーションツアー中で、ライアンと一緒のホテルに滞在していたんだ。同じ部屋でお祝いしたよ。

ライアン・ゴズリング(以下、ライアン):(ノミネーションの瞬間)部屋のドアがバンバン叩かれる音が聞こえたんだ。それでドアを開けたら、デイミアンと奥さんが一緒にいてさ(笑)。2人はもうベロベロに酔っぱらっていて、シャンパン片手にね。

監督:酔っぱらってた? あの時点で?

ライアン:酔っぱらってなかった?

監督:少し飲んでただけだよ(笑)。ライアンがチョコレートケーキを持っていて。そのケーキとシャンパンでお祝いしたんだよね。エマはアメリカだったから携帯電話で FaceTime して、彼女もその場にいるような感じで楽しかったよ。

ライアン:みんなが認められて本当に最高だった。たいていは作品から一人がノミネートされるとかだけど、今回は多くの人が一生懸命頑張って、それでみんな認められたっていうのは本当に素晴らしいことだと思う。

ミュージカルにルールはなし!

ライアン・ゴズリング&デイミアン・チャゼル監督

Q:どうしてこれほどまでに本作が受け入れられたと思いますか。過激な作風が人気を得る傾向にある中で、本作はその流れに逆らうかのようにロマンチックでクラシカルな作品ですよね。

監督:難しい質問だね。この映画をつくるときに話していたことが、僕たちが観たい作品をつくろうということだった。だからそのときは、ほかの人がこの映画を観たいと思うのか、わからなかった。しばらくの間、少なくともハリウッドは、とても感情的な作品をつくるのを恐れていたように思う。スーパーヒーローや爆発のない作品をね。そういったものは、映画館の大スクリーンで観なくてはいけないようにつくられた迫力満点の映画だ。でもこの作品の場合、核になっているのは、2人の男女の愛で、さらに普通の彼らが夢を追う姿をとても共感しやすい形で描いている。巨人やエイリアンが世界を滅ぼしにやってくるというような話ではない。もちろんそういった映画も大好きなんだけど、こういう内容の映画でも、大スクリーンでの壮大な経験を提供できるんだという別の可能性を示したと思う。

ライアン:この映画は2人の登場人物が自分自身の夢を追い求めるということ、夢を追うことの大切さを描いている。それって普遍的なテーマだと思う。ロサンゼルスならではのところもこの映画にはあるけどね。僕たちは単純に自分たちの好きなもの、共感できるものをつくっているという感覚だったけど、そこにはより普遍的なテーマがあった。そのうえ、デイミアンはミュージカルにはルールがないということを生かし、監督としてあらゆる素晴らしい手段を使って、映画の中で表現したい体験をつくりあげたんだ。

Q:この作品は監督が長年温めてきた企画ですよね。なぜミュージカルだったのでしょうか。

監督:長い間、この映画をつくりたいと思い続けてきた。ミュージカルが、夢を追いかける現代の若いアーティストについて語るのに適していると思ったからなんだ。というのも、ミュージカルの根幹は“夢か現実か”ということに尽きると思っている。どうやって夢に折り合いをつけるのか、すべての夢が実現するとは限らない世界にいながら、それでも理想の世界を思い描くというようなね。だからミュージカルというもの、特に過去の名作に敬意を示すようなミュージカルで、現代都市を舞台に現代人が現代的な関係を築いていく様子を描くのは、とても面白いことになるだろうと感じた。それに愛や芸術、そして夢を追い求めるといった、ほかのジャンルで語れないことを、ミュージカルでは語れると思う。ミュージカルは、恋に落ちたり失恋したりしたときに感じるような、抑えようのない感情を力強く表現できると思っていて、観客もそれを味わうことができる。

ライアン、ピアノ猛特訓のワケ

ライアン・ゴズリング&デイミアン・チャゼル監督

Q:ライアンさんはピアノのシーンはすべて自分でこなしたそうですね。どうやって特訓したのでしょうか。

ライアン:ピアノのシーンはすべて自分で弾いたよ。デイミアンが3か月のリハーサル期間を設けてくれて、僕のピアノレッスンは週5~6日だった。1日最低2時間のレッスンを3か月間続けたんだ。でもそれ以外にも、ヒマがあるときは常に練習したね。難しかったけど、やりがいはあった。音楽が好きだから、楽しかったよ。

Q:音楽のバックグラウンドはあったのですか?

ライアン:基礎的なピアノ演奏はできたけど、ジャズピアノはやったことがなくて。だから劇中レベルの演奏なんて、全くもって未経験だった。本当にゼロからのスタートだったよ。でも素晴らしいピアノの先生がいたし、音楽はずっと学びたいことだった。それにデイミアンはしっかりとしたビジョンを持っていて、実際にノーカットワンテイクの長回しシーンをやったんだけど。そのアイデアを聞いたときはワクワクしたし、どうにかそれをやってやりたいって思ったよ。

Q:監督はどうしてノーカットワンテイクにしようと思ったのでしょう。

監督:フフ、ライアンの人生を地獄にしようと思っただけさ(笑)。

ライアン:アハハハ(一同笑)。

Q:本作にはノーカットワンテイクが多いと思うのですが、一番難しかったシーンはどれですか。

ライアン:僕にとって一番簡単だったシーンが、デイミアンにとって最も難しかったシーンなんだ(笑)。それはオープニングの交通渋滞シーン。夏の一番暑い日に、大勢のダンサーが車の上でダンスしなくちゃいけなくてさ。あのシーンは、3ショットを一つの長回しみたいにつなぎ合わせているんだけど、それを2日間で撮影しなくてはいけなくて、技術的にかなり難しいんだ。だから本当に信じられないよ。そんな中、僕がしなくちゃいけなかったのは、自分の車に座って、出番まで最前列からみんなのダンスショーを眺めるだけだった。

監督:でも、クラクションを鳴らさなきゃだったでしょ?

ライアン:そうだったね。みんなが頑張っているのに、最後の最後でクラクションを鳴らし忘れたら、そのテイクを台無しにしてしまうからね。

監督:(声のトーンを変えて)ごめん、みんな元に戻って! ライアンがクラクション鳴らさなかったから、やり直し! ってね。

ライアン:それはもう、すごいプレッシャーだったよ(笑)。

みんなで形にしたリアルなラブストーリー

ライアン・ゴズリング&デイミアン・チャゼル監督

Q:エマふんするヒロインのオーディションシーンは、ライアンの実体験に基づいていると聞きました。それ以外にも2人の実体験をストーリーに反映させたところはありますか。

ライアン:これまでで最低のオーディションを一つ覚えていたから、デイミアンに教えたんだ。エマの役が最初に受けるオーディションがそれだよ。でも俳優ならだれもが通る道だからね。(監督に向かって)ほかにも何かある?

監督:そうだね、3か月という集中的なリハーサル期間を持てたのはすごくよかったと思っている。2人にとってはダンスや歌を学ぶためだったけど、その合間に彼らと脚本やキャラクターについて話し合うこともできたから。ミュージカルではキャラクターやストーリーをそんなに掘り下げないけど、この作品はすごくリアルなラブストーリーにしたかった。2人にはたくさんアイデアがあったから、キャラクターをどんどん肉付けしていったんだ。それはとても実験的だったけど、大きな助けになった。だからリハーサル期間中も、家に帰っては脚本を書き直すというのを繰り返したよ。とても有機的だった。

ライアン:なんてったって、僕たちはラッキーだった。エマと僕はこの作品以前に2作で共演していたからね。でもこの映画みたいに2人で主役を張ったわけではないから、今回エマとは主人公2人がお互いに影響し合い成長していく過程を模索しつつ演じたよ。


ライアン・ゴズリング&デイミアン・チャゼル監督

俳優と監督のインタビューとは思えないほどとにかく仲良しで、お互いに口を開けば冗談が止まらない2人。撮影の裏話からノミネーション発表時のエピソードまで、いかにみんなが対等な立場でこの作品に取り組んでいたかがうかがえる。それは作品にもしっかり反映されており、演技、撮影、脚本、音楽、衣装といったすべてにおいて最高のものをぶつけてきた爽快感すら漂う。ライアンとデイミアンは、アポロ11号の船長を題材にした次回作でもタッグを組むことが決まっている。2人の若き才能が、映画界をどのように盛り上げていくのか、本作を目の当たりにしたら期待せずにはいられない。

映画『ラ・ラ・ランド』は2月24日よりTOHOシネマズみゆき座ほか全国公開

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