『美しい星』リリー・フランキー&橋本愛 単独インタビュー

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『美しい星』リリー・フランキー&橋本愛 単独インタビュー

結局、おかんの宇宙のほうがデカい!

取材・文:前田かおり 写真:高野広美

ある日突然、自分たちは地球人ではなく宇宙人だと信じ込んだ家族が、地球を救おうと奮闘する。三島由紀夫の作品の中でも異色と言われる小説を、学生時代に惚れ込んだという吉田大八監督(『桐島、部活やめるってよ』)が映画化した『美しい星』。父親・重一郎(火星人)を演じたリリー・フランキーと、娘・暁子(金星人)に扮した橋本愛が、作品への思いを語った。

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リリーの父親役に違和感なし

リリー・フランキー&橋本愛

Q:親子役で共演した感想はいかがでしたか?

リリー・フランキー(以下、リリー):本来、僕と愛ちゃんなら、親子役をやる年齢なんですよね。でも、親子役は今回が初めてなんです。最初に共演したとき(『BUNGO~ささやかな欲望~ 告白する紳士たち』)は愛ちゃんが僕に恋心を抱く役で、その次(『シェル・コレクター』)は神の子として登場して、今回は宇宙人として登場する。でも、ご覧になってわかる通り、愛ちゃんみたいにこんなに金星人を無理なくやれる人ってなかなかいませんよ。

橋本愛(以下、橋本):わたしは小説を読んでから、重一郎を演じるのがリリーさんと聞いて、それだけで監督の意図する形が輪郭だけでもつかむことができました。実際にリリーさんが演じたら、もっと豊かにキャラクターが膨らむんだろうなと期待していました。

リリー:俺もさんざんワケのわからない映画に出ましたけど、この映画はワケがわからないのに、面白い映画になるだろうなって。

橋本:宇宙人ではあるんですけど、普段、向き合うときはありふれた父と娘の関係でしかない。この作品で、リリーさんの父親の顔を初めて見ました。演じる前は、リリーさんを「父親」という目で見られるのか、どういう感覚になるのかなと思ったんですけど、全然問題なくて。「本当にお父さんだな」と思いました。

Q:橋本さんは、リリーさんが火星人と聞いたとき、どう思いましたか?

橋本:すごく、しっくりきました(笑)。

リリー:火星が一番、近所の星じゃないですか。だいたいみんながタコの足を想像するみたいな(笑)。それにしても、この作品はどうしても映画化したいと思った大八さんが、30年以上も考え続けてきたから、よく練られているんです。

学生時代に出会っていたら、監督とは親友に!?

リリー・フランキー&橋本愛

Q:吉田監督と重一郎、そしてリリーさんが同じ年齢だったそうですね。

リリー:そうなんですよ。同い年だったおかげで、説明の比喩がすごくわかりやすかったんです。撮影が終わって家に着くと、大八さんからメールがきていて、「明日の重一郎のシーンは、こういう感じで行きたいと思います」とお互い10代の頃に好きだったミュージシャンが、若いミュージシャンとコラボしているYouTubeのリンクを貼ってきたりして。それを見て「あ、これか、わかるわかる」っていう感じでしたね。

Q:世代的なものですか?

リリー:それにお互い、好きなものも近かったし、二人とも出身が九州で、同じ頃に東京に行っているから、東京に来て感じたことも近かったんです。

橋本:へぇー、そんなことってあるんですか。すごいっ!

リリー:もし学校で会っていたら、友達になっていたと思う。撮影中は、10代のときにお互い買った本やレコードを会うたびに交換していましたよ。

Q:宇宙人として覚醒するという役どころですが、あまりないような設定だけにどんな風にアプローチしたのでしょうか?

橋本:金星人といっても、角もないし、しっぽもない。姿形は人間だし……。それに、自分が宇宙人だという確信を持ったときの誇らしさとか、自分がほかとは違う特別な存在と思うような、人間を見下す感情って、結局はとても人間臭い感情だから。わたしはただ純粋で真っ直ぐな、ただの人間の女の子をやっていた感覚なんです。

リリー:それぞれ役の設定に情報がたっぷりあるわけです。たとえば、重一郎はお天気キャスターで火星人で不倫していて……いくつも要素があれば、役づくりは何もしなくていいなって思いました(笑)。お天気キャスターの森田正光さんのところに行って、天気予報の見方を教わるとか、実際にスタジオに見学に行くなどの準備はしました。あとは少々痩せておいてくれと言われたぐらいで。

再共演するなら橋本愛に壁ドンを!?

リリー・フランキー&橋本愛

Q:お互いが演じているシーンで印象に残っているところは?

リリー:家族のシーンは、全く別々に撮影したんです。だから、撮影中も愛ちゃんが演じる暁子や一雄(亀梨和也)が何をしているのか、お母さん(中嶋朋子)は何をしているのかあんまりわからなかったんです。それで、作品を観て初めて、「こんなことしていたのか!」と気づいたりして。その感覚がまさに家族っぽいなと思いました。それから、暁子が浜辺でUFOを呼ぶシーン。ここは大八さんと撮影の近藤(龍人)さんがもうノリにノッてるというのが映像を観ているだけでわかりました。とにかく、橋本愛をキレイに撮るぞという二人の意気込みが見える。キレイに撮れば撮るほど、愛ちゃんの美しさが浮世離れしていくわけ。そこで反転入れたり、インサート入れたりとか。普通だったら、ケレン味があると言われそうなことを、ここぞとばかりに入れていて。観ていて楽しかったです(笑)。

橋本:わたしは、リリーさんがテレビ局のスタジオでカメラに向かって地球の危機を訴えているシーンが、とくに印象的でした。いつもより、身ぶり手ぶりが大きくて、バタバタしている感じが。想像をはるかに超えていたので、とても面白いなと思いました。

リリー:自然にああならざるをえなかったんです。あのセリフをとつとつと言っていたら、タダの詐欺師に見えちゃうから。

橋本:それから、後半のほうで暁子が重一郎のいる病室で父と娘のやり取りをするんですけど、そのシーンは何か普段の自分とも通じるところがあって。好きなシーンでした。

リリー:それぞれが火星人、金星人として宇宙の使命を担って動いているときと、家族として動いているときがあって。そういうところが面白かったですね。

Q:よく出来た脚本なんですね。

リリー:そうですね。あと、原作と違ってお母さんが地球人というのがすごくナイスだなって思うんですよ(原作では木星人の設定)。とくに、暁子とお母さんが二人で話をしているシーンがすごく好きで、暁子が金星人ってわかったときに、「あなたはわたしが産んだのよ!」と言うところとか、「地球人でも金星人でもちゃんとしなくちゃ」って暁子を叱るシーンとか。結局、おかんの宇宙のほうがデカい。どんな宇宙人もおかんが自分の星に連れていくというところがすごい。

橋本:ハハハハ。あのセリフは面白いですよね。わたしも好きです。

リリー:おかんが地球人で最高! と思いました。そして、一番でかい存在だったね。

Q:もしまた機会があったら、お互いどんな役で共演したいですか?

リリー:ぜひ共演したいね。でも、次の愛ちゃんの役は想像がつかない。まあ、もう人間じゃないよね。神とか太陽とか……。

橋本:えっ、わたしはそっち側ですか?(笑)

リリー:よくさあ、「この先、どんな役柄を演じたいですか?」と聞かれるけど、そういうとき、愛ちゃんはなんて答える?

橋本:んー、答えられないですね。

リリー:俺もさ、愛ちゃんみたいに10代の頃からこの世界に入っていれば、自分の年齢に応じた役を演じて今に至っていたと思うわけ。でも、初めて映画に出演したのが、35歳だったから、その時点で学生服を着て、壁ドンとかもうない(笑)。だから、やってみたいとしたら、愛ちゃんに壁ドン! でも、俺がやったら完全に恐喝だけどね(笑)。

橋本:フフフ(笑)。


リリー・フランキー&橋本愛

地球の危機を救うという一見、壮大なテーマから始まりながらも、描かれるのは一つの家族のドラマ。そんな「お茶の間SF」で、鬼才・吉田大八監督の熱い思いを体現したリリーと橋本。ハードな撮影や細かい演出に戸惑いながらも奮闘し、俳優としての使命を果たした二人を通して、ちょっぴりへんてこりんな家族たちも愛おしく見えてくるはずだ。

(C) 2017「美しい星」製作委員会

映画『美しい星』は5月26日より全国公開

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