『結婚』ディーン・フジオカ 単独インタビュー

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『結婚』ディーン・フジオカ 単独インタビュー
結婚は努力して継続させていくことが大切

取材・文:柴田メグミ 写真:金井尭子

NHKの連続テレビ小説「あさが来た」の演出家・西谷真一と3度目のタッグを組む主演作『結婚』で、ディーン・フジオカが結婚詐欺師役に挑戦。小説家や空間デザイナーを名乗り、女性たちを夢見心地にさせながらその夢を無残に打ち砕き、それでも愛さずにはいられない古海健児を、大人の色気と静かな凄みで体現している。DEAN FUJIOKA として主題歌も担当した彼が、“罪な男”の役づくりのこだわりや結婚観を明かした。

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マスカットと一緒に魔法も消える

ディーン・フジオカ

Q:女性たちを骨抜きにするキャラクターに説得力をもたせるため、古海健児のビジュアル面でこだわった点はありますか?

掴みどころのない雰囲気、掴もうとすると腕からスルッと抜けちゃうような感じがサブリミナルで出ればいいなと思いました。最初は、どんな場所にも馴染むような普通っぽい外見にするはずだったんです。でもだんだん実体のない感じにしようと、髪型をオールバックにして艶を出したり、衣装や小道具も監督と話し合ったりしながらひとつひとつのアイテムを決めました。

Q:確かに、往年の映画スターを思わせる耽美的なムードや浮遊感が印象的でした。

うさんくさいといったら乱暴ですけど(笑)、時代を特定しない感じといいますか、手が届きそうで届かない謎めいた雰囲気にしたかったんです。普段はもっと直感に沿ったストレートな演技が好きなんですが、今回はカメラのアングルやライティングを意識して、どこにでもいそうなタイプよりも、もうひとレイヤー、観る方の想像を膨らませるスペースを広げたいと思いました。

Q:マスカットを食べるしぐさに色気を感じました。彼が自宅でいつもマスカットをつまむことにも理由があるのでしょうか?

単純に自分がシャインマスカットを好きだから、というのもあります(笑)。テクスチャー(質感)が偽物みたいですよね。ジェイド(翡翠)のようだけれど、食べるとすごく甘くて、種も入っていない(笑)。光り輝くマスカットがなくなると同時に、魔法も消えていく。茎だけになった画もシュールなので、メタファーとして半分わがままを聞いていただきました。

結婚イコール法的な契約

ディーン・フジオカ

Q:“結婚イコール幸せ”と考える女性たちが古海のターゲットとなりますが、ディーンさんにとって、結婚イコール何でしょうか?

結婚はいわば制度、法的な契約ですよね。契約というと冷たい感じに聞こえるかもしれませんが、何かを約束して誓うコミットメントだと思います。そしてその誓いを、どうやって努力して継続させていくかが大切だと思います。

Q:結婚に対して臆病になっている男女も多い昨今、ディーンさんが考える結婚の良さは?

自信……じゃないでしょうか。自信につながりますね。気持ちというのは状況次第で変わるものですから、コミットメントしたり誓ったりするのは、やっぱりイヤじゃないですか。でも、たとえ面倒くさくても、努力を積み重ねていくことでしか得られない関係がある。毎日努力をして最終的に振り返ったときに、ただ無為に過ごしていたら生み出せなかったものがある。達成感もありますよね。“自由”の形にもいろいろあって、好き勝手にやる自由もあると思うけど、そうじゃない自由もあると思います。

Q:結婚することでしか得られない、人間関係の魅力でしょうか?

それは絶対にあります。やはり、自分が帰れる家という場所があるのはいいですね。自分の場合は安定感がないと、ドリフトしちゃう。限りある人生を生きる上で、足元がおぼつかないような感覚。もちろん個人差がありますから、どこに重きを置くかですけど、自分は結婚して良かったと思うし、帰る“家”の存在がときに安らぎだったり、ときに踏ん張る力になったりします。そういったものが自信につながっている気がします。

赤い炎と青い炎

ディーン・フジオカ

Q:多彩な女優陣の中でも、コメディリリーフ的な安藤玉恵さんとのシーンで、思わず笑ってしまうようなエピソードはありますか?

安藤さんはすごく、はっちゃけていたような気がします。みなさんそれぞれにモチベーションが高くて、その表現方法が違いますが、いちばん元気が良かったというか。同じ炎でも、赤い炎と青い炎があるように。実はライティングも、女優さんごとに色分けされていました。向こう岸に見えるネオンの色が青かったり、紫がかっていたり。色使いにも女優さんそれぞれに対する、監督のこだわりがありました。

Q:小説家の振りをしている古海がアウトプットとインプットについて語るシーンがありますが、ディーンさんご自身のインプット方法は何でしょう?

柔軟性でしょうか。こうしないとインプットできない、インプットじゃないといったような思い込みを捨てて、気づけるかどうか。何をやっても、その状況の中から自分が何を汲み取れるかだと思います。たとえば取材を受けているときでも、話しながらもちゃんと自分の内面にリフレクト(反映)させられるかどうか。単純な待ち時間や移動時間にも、そこで自分の五感に訴えるインスピレーションや気づきがあるかもしれないですから。

Q:別人に成り切って女性にひとときの夢を与える結婚詐欺師は、俳優という職業とも共通する気がします。

シンプルに考えた場合、俳優としての実働の部分とよく似ているので、監督とも「俳優としての仕事はそのまま詐欺師にも通じますね」と話していました。演技力を求められた場所で求められたときに正しく使うと俳優になり、ルール無視でやると犯罪者になる。やっていることは近いですよね(笑)。


ディーン・フジオカ

「あさが来た」の五代が大阪経済を救ったヒーロー的キャラクターだとしたら、女性の敵である古海はアンチヒーローだ。いや、完璧なビジュアルと、知性ややさしさが滲み出る会話、そして匂い立つ色気で女性たちを虜にする古海は、ファム・ファタールならぬオム・ファタールと呼ぶべきキャラクターかもしれない。その「魔性の男」を演じるのに、いま最もふさわしい日本人俳優がディーンであることは、誰の目にも疑いがないだろう。こんな詐欺師になら騙されてもいい!? たとえ一瞬でもそう思わせる彼が、才能の使い道を誤らなかったことにつくづく感謝したい。

(C) 2017「結婚」製作委員会

映画『結婚』は6月24日より全国公開

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