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『悪と仮面のルール』玉木宏 単独インタビュー

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『悪と仮面のルール』玉木宏 単独インタビュー

40代、時代に合った生き方をしたい

取材・文:早川あゆみ 写真:日吉永遠

アメリカの経済紙ウォール・ストリート・ジャーナルで高い評価を得た中村文則の傑作ミステリーを映画化。悪である「邪」の心を伝える家系に生まれつつも宿命に抗い、幼馴染の香織を愛することにすべてをかける主人公・文宏を演じるのは、NHKの連続テレビ小説「あさが来た」や映画『探偵ミタライの事件簿 星籠(せいろ)の海』などでさまざまな顔をみせる玉木宏。彼女のためなら殺人も厭わない冷徹な佇まいと、ひたすらに彼女を愛するいちずさが両立した芝居を披露した玉木が、その挑み方や今後の展望などを語った。

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邪悪な心は誰しも持っている

玉木宏

Q:悪の心「邪」を持つ者を世に送り出すという、特殊な家系に生まれた文宏を演じられましたが、主人公の置かれた立場についてどう思われますか?

彼が理性を働かせて、どう生きるか迷っている姿というのは、きっとほかの人からも共感してもらえると思います。僕自身も彼のような立場であれば、善悪の中で迷うと思います。誇張されていますが、人間の迷いという感情は、いつでもどこでも変わらない。この世に生きている人なら誰しも、邪悪な心、意地悪な心は、軽いものから重いものまでいろいろですが、どこかで抱いたことがあると思います。

Q:文宏は悲しい環境で育っていますから、よけい葛藤は大きいですよね。

生まれた環境によって、人は全然違った育ち方をすると思います。だから、大人になっていく中で自分自身が考えなければいけないことはたくさんありますね。この作品を撮り終わったあとですが、ドキュメンタリー番組で犯罪者の息子さんの話を観まして。彼は「犯罪者の息子は犯罪者だ」という扱いを否定したいと言いつつ、でも自分にも同じ血が流れているからカッとなったら事件を起こしてしまうのではないかという葛藤もあると。

悪とは何かを考える

玉木宏

Q:環境によって人は悪にも善にもなりうると?

原作者の中村文則さんとお話しする機会があったんですが、文宏がこういう世界で善悪について迷うことで、観客にも善悪とは何か、邪とは何かを考えてもらう機会になるのではと。生きるうえでは理性を働かせないといけないですが、その理性を保っていられるのはなぜか。自分が命のすべてをかけて守ろうと思う人、それがたとえば自分でもいいんですが、そういう人がいるか。きっと文宏の根底にある部分は理解してもらえると思います。

Q:根底にある思いとは?

最終的に何を伝えたいのかというと「愛」なのですが、それはこの作品の意外性の部分だと思います。なので、あまり「恋愛映画」とはうたいたくないところが、この映画を説明するときの難しい部分だと思います(笑)。

Q:「悪」とタイトルにありますが、玉木さんご自身は「悪」に魅力を感じますか?

学生時代は「悪ぶりたい」という気持ちがありました。でもそれは、男なら誰でもあることだと思います。今は品行方正でなければいけないのかなと思います。人前に出る仕事でもありますし。

時代に合った生き方をしたい

玉木宏

Q:中堅俳優といわれる年代になられましたが、役者として年を重ねた面白さは感じますか?

この職業は、世間では定年退職される歳以上の方と仕事をすることもあるし、逆に子供ともご一緒しますから、すごく独特の世界。だからこそ、刺激も多いし、得るものも多いです。でも、20代のころは早く30代になりたいと思っていましたが、30代になったらあっという間にもうじき40歳です(笑)。何がどう変わったか、自分ではわからないですが、この先、しっかり時代に合った生き方をしたいと思います。ここ20年くらいで、映画やテレビの在り方、芸能界自体も、すごく変わってきていますからね。

Q:インターネット配信や、SNSでのファンとの交流などですよね。

そうです。新しいものはどんどん取り入れて、変化していかないと。堅物にはなりたくないです。ただ、具体的にどうこういうのではなく、意識的な部分でいいと思いますけどね。何がいいのだろうとは常に模索しています。ちょうどよい加減で、間をふわふわしていきたいです。人間的にも、年相応でいいやと思っていますしね。年輪のように経験を重ねて、それを表に出していけばいいと思う。そうじゃないと、演技に説得力は生まれないでしょう?「こういう人、いるよね」と思わせることのほうが大事だと思います。

Q:そのために普段から意識していることはありますか?

僕は、芸能界ではなく一般の友だちのほうが断然多いです。ほんとうにいろいろな職業の方とよく遊んでいるので、広い世界を知ることができる。同じ年代でもみんな違う苦労をしていて、新しいものを生み出そうとしているのを見ると、楽しいし刺激になります。

失敗してもいい、経験することがすべて

Q:年齢的にも後輩を指導していく立場になりつつあると思いますが、そういったことは考えますか?

人に注意することはまずないです。なぜかというと、今の若い子たちは上手ですよ。今回共演したテロリスト役の吉沢亮くんは、すごく芝居に前向きだし、貪欲だし、達者だなと思いました。自分の若いころと比べると、恥ずかしいくらい(笑)。

Q:それは、言いたいけど言えないのではなく、あえて言わないということですか?

そうですね。結局、自分が気づかない限り、誰に何を言われても響かないと思うんです。だから、あえて何かを言うとしたら、「やりたいようにやればいいんじゃない?」と。失敗するのも自分が経験しないと、どう変わっていいのかわからないと思います。ダメならダメで再生できるので、とにかく経験が大事です。どんなことにせよ、ある瞬間から必ず楽しさは生まれると思う。継続していれば特に。


その端正な容貌は若いころからちっとも変わらない玉木。そこに年齢を重ねた艶が加わり、女性ファンが放っておかない理由がよくわかる。その色気がうまく作用したのが本作の役柄だろう。苦しげに眉間にしわをよせながら愛する彼女を遠くから見守る姿には、ファンならずとも魅了されること間違いない。悪の本質から人を愛することの奥深さまで感じさせてくれる映画に仕上がったのは、玉木の演技に負うところも多いと思われる。

映画『悪と仮面のルール』は1月13日より全国公開

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