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『巫女っちゃけん。』広瀬アリス 単独インタビュー

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『巫女っちゃけん。』広瀬アリス 単独インタビュー

やっちゃいけないことをたくさんやった

取材・文:浅見祥子 写真:奥山智明

短大卒業後に就職するもすぐに退職、現在は父親が宮司を務める神社で巫女のバイトをしながら就活をする主人公しわす。本気になれる夢も希望もなく、恋人もいないしわすは、口のきけない5歳のイタズラ坊主の世話をすることになる……。『ハードロマンチッカー』のグ・スーヨン監督による映画『巫女っちゃけん。』のヒロインしわすを広瀬アリスが演じている。やる気ゼロの巫女で口のきき方は乱暴、態度も最悪なしわすをどう演じたのだろう?

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反抗期がちょっと遅れてきた女の子

広瀬アリス

Q:『巫女っちゃけん。』の主役はオーディションで決まったそうですね?

正直、手応えはありませんでした。オーディションで使った台本の一部はどんなシーンかイメージしにくい場面で。でも気が強くてパンチのある女の子と聞き、やってみたいなと思ったんです。ガッツがあって何事も勢いでやりぬくところが自分に合っているなと思って(笑)。私自身は、しわすほど反抗的ではありませんけど。

Q:しわすはかなり態度が悪い巫女さんです。すんなり共感出来ましたか?

若い女の子にありがちな感情で、よくある状況だったりするのかなと思います。自分に通じるところもあってなんとなくわかりました。モヤモヤしているけどそれがなんのためか、どう発散していいかもわからない。そんな謎の悩みです。誰にでもある反抗期のようなもので、しわすちゃんはそれがちょっと遅れてきているのかなと。

Q:台本を読んでしわすをどう演じるか、イメージ出来ましたか?

わりと出来ました(笑)。台本を読みながら「ああ、なるほど。これを巫女の衣裳でやるんだ」と考えました。日本の伝統やしきたりをキチンと守るのが当たり前の神社を舞台に、そうしたことをいかに壊すのか? 撮影が楽しみで仕方がありませんでした。

Q:アドリブに思えるシーンがたびたびありましたね。

セリフでのアドリブというより動きや仕草について、基本的に自由にやらせていただきました。それを監督が意図をくみ取ってくださりオッケー! をいただいたりして。アドリブは事前に考えることもありますし、撮影現場の空気で決まっていったりします。しわすの場合はガニ股だったり足を開いて座ったり、普段やっちゃいけないと言われることをたくさんやりました。完全に楽しんでいましたね(笑)。

Q:アップではなくカメラを引いた画で、カットを細かく割らないシーンが多い印象があります。

基本はそうです。アドリブに関しては「釣りバカ日誌 ~新入社員 浜崎伝助~」というドラマで鍛えられたかもしれません。(同ドラマで共演した)西田敏行さん、濱田岳さんはもはや神様なんじゃ? と思う最強な方たちでした(笑)。例えば西田さんは、同じお芝居を“ぜっっったい”にしません。セリフに動物の名前があったら、段取り、テスト、テスト本番、本番と毎回全部違う動物の名前を出します。頭の回転はどうなっているのだろう? と思ってました。この映画では私も本番で思いついたことを突然やったりしてます。

毎朝、参拝から始まった撮影

広瀬アリス

Q:最初に巫女の衣裳をつけた感想は?

自然と背筋が伸びました。クランクイン前日まで巫女の舞などもたくさん練習しました。それでクランクインになったとき、「今までやってきたことは全部忘れてください」と言われて。演じるのはしわすだから、所作などもキチンとしなくてよかったんです……(笑)。

Q:映画を観ていて巫女さんって知らない世界だなと。お辞儀の仕方、手水の作法と、すべてに型があるというか。

私も最初はまったく知りませんでした。礼儀作法をイチから学んだ感覚です。福岡県にある宮地嶽神社で撮影をしたのですが、毎朝、撮影現場に行ったらまず参拝していました。すると本当にシャキっとした気分になって「よしやろう!」という気持ちになるんです。

Q:しわすの父親である宮司をリリー・フランキーさんが演じていますね。

ものすごくなじんでましたよね。あの自分を消して無になれる感じはなんなんでしょうか。なんにでも染まれてしまうというか(笑)。しわすのお父さんは……ストレス発散にはいいかもしれないです。「うわ~っ!」と感情をぶつけてもなにも返ってこない。私も小さい頃は、お父さんに「うわ~っ!」と言って、お父さんに「うわ~っ!」と怒られていました。それでまた、「うわ~っ!」と言い返してましたけど(笑)。女の子は15から16歳くらいにそういう時期があるんですよ。自分にもあんなときがあったな~と思い出しながら演じていました。

Q:飯島直子さん演じる母親との関係をどう感じましたか?

しわすにとってそれがいちばんのコンプレックスというか、お母さんとのことが原因ですべてが敵に見えて反抗しているのかなと。地球なんて破滅してしまえ! というくらいの反抗心ですよね。「世の中、バカな親ばっかし」というセリフがありますが、あれはたぶん、しわすの唯一のホンネが出たシーンなのかなと。

Q:しわすが世話役となる少年の身勝手な母親、美和を演じたMEGUMIさんとの乱闘シーンはいかがでしたか?

カットがかかった瞬間に爆笑です(笑)。事前に簡単な動きだけ確認して「じゃあ本番始めます!」って。長回しで、全然カットがかからないからやり続けるしかなくて。「ばばあ!」「ガキ!」とか言ってカットがかかったあとに二人でゲラゲラ笑いました。

Q:美和はシングルマザーですよね。女手一つで息子を育てているわけで、手を出すのはマズいですが、男に走ってしまう気持ちもわかる部分があるなと。

美和もしわすの母親も同じ考え方なんですよね。一人の女としての人生もある、だから子どもは後回しなときがあるのは仕方がないと。間違ってはいないのかもしれませんが、産んだからにはちゃんと面倒をみなさいよ! というのがしわすの考えです。それが出来ないなら産むな! と。そこは私も同じかも。産んだらちゃんと育ててほしいですよね、当たり前ですけど。

Q:しわすは結婚願望もないようですが、ご自身は?

ないですね~。地元の友達はもう結婚していて子どもが生まれたと言われると、そういう年齢なのか……と思ったりしますけど。結婚願望ってまず20代前半、22~23歳の頃最初にくるんですよ。そのあと2~3年するととりあえず落ち着いて、また30歳手前くらいに大きい波がくるのかなと。でも今はまだ仕事が第一、あと飼ってるワンちゃんがかわいくて(笑)!

Q:しわすは「お母さんになりたかった」と言いますが、ご自身が小さい頃になりたかったものは?

身内に多かったので看護師になりたかったり、バスケをやっていたのでプロのバスケ選手になりたかったり、小さい頃はなりたいものがいろいろありました。バスケはかなり本気だったのですが、小6のとき、今の事務所にスカウトされて。「つまらなかったら辞めればいい」くらいの気持ちで始めたのですが、気づいたら10年が経っていました。事務所に入って11年経ちます。長いですよね。

女優の仕事が芯であることはブレたくない

広瀬アリス

Q:今のお仕事は楽しいですか?

楽しいです。お芝居することそのものが好きなのと、現場が好きなのと、いろいろな経験が出来ることと。女優としてもそうですが人としても、スキルが上がっていく気がするんです。例えばお仕事でモンゴルへ行き、食料の貯蔵の仕方を習う。そうしたことは、このお仕事をしていなかったら経験出来なかったかもしれません。自力でも出来るのかもしれませんが、自分の性格を考えるとしなかっただろうなと。

Q:女優以外のお仕事も楽しいですか?

楽しんでやってます、すっごく。ありがたいことに今はいろいろやらせていただいて、本当にいい環境だなって。小さい頃はバラエティー番組ばかりを観て育ったので余計にそう思います。面白いものを観るのが好きですし、もともとしゃべるのも大好きで。もちろんお芝居からスタートしたので、そこが芯であることはブレたくないなと思っています。

Q:完成した映画を観た感想は?

同世代の方にぜひ観ていただきたいです。しわすと同じような状況だったり、似たようなことで悩んでいる方の背中を思いっきりバ~ン! と押すわけではありませんけど(笑)、「大丈夫だよ」と背中をトントンと叩いてあげられる作品になったのかなと。しわす自身、無茶苦茶なことをやっていたのに最後には優等生になるというお話ではなく、人としてのスタートラインにようやく立つ、そんなストーリーになっているので、将来どうしよう? などと悩んでいる方にきっと共感していただけるのではないかと思うんです。


『巫女っちゃけん。』の広瀬アリスはまさにやりたい放題。誰でも気が引き締まるであろう巫女の衣裳を着て「だり~」みたいな姿勢でカップラーメンをすする、ガニ股猫背でバタバタと走る……「そんなことをしたらお母さんに怒られるよ!」みたいなことを全部やってみせる。そんなしわすを楽しげに演じていた広瀬。この日は愛犬をヒザに乗せてのインタビューだった。「かわい~」と愛犬を愛でる姿は、劇中でケタ外れにやんちゃな演技を見せていた彼女とはまるで別人。まだまだ多くの顔を持つ人なのだろう。

映画『巫女っちゃけん。』は2月3日より全国公開

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