『ウタモノガタリ-CINEMA FIGHTERS project-』岩田剛典 単独インタビュー

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『ウタモノガタリ-CINEMA FIGHTERS project-』岩田剛典 単独インタビュー

母に恩返しをしたい気持ちは強い

取材・文:坂田正樹 写真:上野裕二

LDH JAPAN 所属アーティスト6組の新曲の世界観を表現した短編プロジェクト第2弾『ウタモノガタリ-CINEMA FIGHTERS project-』。本作で、EXILE/三代目 J Soul Brothers の岩田剛典が、『舟を編む』『映画 夜空はいつでも最高密度の青色だ』などの石井裕也監督による『ファンキー』に主演。2041年、東京の片隅で踊る謎のダンス集団の兄貴分を演じた岩田が、刺激的な撮影現場、さらには、映画のテーマでもある母への思いについて語った。

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1日だけファンキーになれない主人公

岩田剛典

Q:岩田さんが主演された『ファンキー』は、エッジが効いていて面白かったです。岩田さんは本作をどう感じましたか?

タイトルからは想像もつかないストーリーが展開していくんですが、この短い時間の中で、よく“あの”結末まで持っていけたなと。改めて石井監督の手腕、鬼才ぶりに驚かされました。ご本人も「インパクト勝負!」っておっしゃっていましたし(笑)。

Q:鬼才とおっしゃいましたが、初の石井組はどんな印象でしたか?

今回は短編ですが、すごくセンスを大事にするというか、枠組や形式にとらわれない方だなという印象です。僕が演じた純司の兄貴という役に関しても、とにかく母親に対する愛だけを胸に秘めるようにしていただけなので、撮影現場で芝居の演出を受けたという感覚はほとんどなかったです。ただ、この映画の全てに共通しているのが、タイトルにもなっている「ファンキー」なので、石井監督からは、「その動きってファンキーなの?」とか、「そのポーズ、ファンキーかなぁ」とか、ほとんどノリで成立しているような現場でしたね(笑)。

Q:「ファンキー」というワードに対して、石井監督との間に微妙な感覚のズレなどはありませんでしたか。

「ファンキー」って、すごく抽象的な表現なので多分、おのおのの中で多少は違うイメージを持っているんでしょうが、僕は母親の命日を迎え、塞ぎ込んでいるので「ファンキーになれない」というふうに捉えていました。ファンキーを忘れてしまった兄貴。見た目や子分たちの慌てぶりから、「いつもはファンキーなんだな」とにおわせながら、この日だけファンキーじゃないというイメージです。

ゴールが見えず何が正解かもわからない撮影現場

岩田剛典

Q:悲しみに暮れているのにどこかズレているというか、今まで観たことのない岩田さんの「笑える」演技も新鮮でした。

そういうのって、自分ではわからないんですよね。ゴールが全く見えないし、何が正解かもわからず演じていたんですが、とりあえず石井監督が笑っているから、「信じてやり切ってみよう」という感じでした。そこに音が入って、編集でどうなっていくのか見当もつかなかったですが、面白いと思っていただけたのならうれしいです。

Q:子分役の前田航基さんが、あるシーンで、やたら岩田さんの頬にキスをしてくるところでは、ツッコミもせず全て受け入れていましたが、あれはアドリブですか?

いえ、台本に書かれていました。石井監督に「(あの行為は)どういう意味なんですか?」って聞いたら、「何となく、面白いかなぁと思って」という答えが返って来たので、特に深い意味はないようです(笑)。ただ、現場は意外と冷静で、「ここでチューして面白いのか?」みたいな空気だったので不安でした。ある種、クレイジーな世界を描いているので、面白がって観ていただけたらいいんですが、真顔で冷静に観られたらちょっと恥ずかしいなぁ、みたいな(笑)。

Q:特にお気に入りのシーンは?

やはり、水中のシーンでしょうか。ネタバレになるのであまり詳しくは言えませんが、 この映画って、社会の風刺も入っていると思うんですよね。地位や肩書、名誉など、大人になるといろいろなものがくっ付いてきますが、それを象徴するのが着飾った洋服だと思うんです。そういう不純物をどんどん脱ぎ捨てて、純粋に母と子として「向き合う」という気持ちがよく表れていると思います。生まれたての赤ちゃんのような表情で、水中ダンスをするシーンはすごく気に入っています。

いくつになっても母には心配をかけている

岩田剛典

Q:この映画に出演したことによって、お母様に対して何か思ったことはありましたか?

この年になっても、ずっと心配をかけているなっていう思いはありますね。この世界って特に不確かなものですから、「ちゃんと睡眠はとっているのか」とか、「ちゃんと栄養をとっているのか」とか、シンプルにそういうことが気になるようです。メールや電話などでは連絡は取り合っていますが、実家が地方なので、なかなか接する機会がなく、もし恩返しをするとしたら、何かモノをプレゼントしたりするのではなく、一緒に過ごす「時間」を作ることだと思っています。

Q:最初はこの世界に入ることを反対されたとか?

反対というか、そもそも親の許可を取らずに、自分の気持ちに正直に生きてきたところはあります。わがままな部分を親に許容してもらってこの世界に入った、という経緯があるので、余計に「いつか恩返ししなくては」という気持ちは強いです。最初は心配させているだけだったんですが、仕事が安定してくるにつれて応援してくれるようにはなりました。でもまぁ、人生は1度きりなので(笑)。

Q:もし、1度だけ会うチャンスがあるとしたら、誰に会いたいですか?

「もう1度」ではないんですが、僕が生まれたとき、すでに亡くなっていた父方の祖父に会ってみたいですね。母方の祖父母、父方の祖母には会っているのですが。父親や親戚から「僕によく似ている」と言われるので、どんな人柄なのか知りたいな、という思いはあります。

日常生活での「ファンキー」な瞬間

岩田剛典

Q:今回「ショートショート フィルムフェスティバル & アジア2018」で、石井監督の作品に出演する機会を得ましたし、河瀬直美監督とは昨年のセレモニーで初対面し、『Vision』出演にもつながりましたね。

そうですね。お二人とも自分を持っていて、迷いのない監督なので、すごく刺激をいただきますし、自分の経験値としても大きいものがありましたね。例えば、配給がどうとか、座組がどうとか、興収がどうとかっていう物差しで評価される現実がある中で、しがらみなく「いいものを作ろう」という気持ちだけで突き進んでいるところはすごいなと純粋に思いました。

Q:石井組常連俳優も刺激になったのでは? 今回は、池松壮亮さんも参加されていました。

撮影が終わってから飲みに行きましたが、映画の話をするわけでもなく、ずっと石井監督をイジッてました(笑)。撮影でご一緒したのは1~2日だったんですが、自分の芝居を役割も含めてシーンメイクする役者。年齢は僕より若いですが、いろんな作品でいろいろな監督とお仕事してきているので、年下とは思えない深みがある。個人的には誰とも被らない独特の声が好きです。また共演したいですね。

Q:まさにファンキーな出会いだったんですね(笑)。最後に岩田さんが自分の中でファンキーだなと感じる瞬間を。

やっぱりライブでしょうか。観客の熱狂の渦の中で自分のパフォーマンスを全力で届ける瞬間は「ファンキー」だなと思いますね。私生活では「寝ぐせ」かな。毎朝、目が覚めて鏡を見ると、ものすごいファンキーな髪型になってるので(笑)。


岩田剛典

ライブと寝ぐせを除けば、普段の岩田は「ファンキー」とは程遠い。優しい語り口と淀みない受け答えは、絵に描いたような好青年で、周りを穏やかな気持ちにしてくれる。そんな岩田が、「普段はファンキーなのに、母の命日だけはファンキーお休み」という複雑な佇まいを見事に表現できたのは、石井監督の世界観にピタリとハマッた証しだろう。

(C) 2018 CINEMA FIGHTERS

『ウタモノガタリ-CINEMA FIGHTERS project-』は6月22日より全国公開

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