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『音量を上げろタコ!なに歌ってんのか全然わかんねぇんだよ!!』阿部サダヲ 単独インタビュー

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『音量を上げろタコ!なに歌ってんのか全然わかんねぇんだよ!!』阿部サダヲ 単独インタビュー

想像をはるかに超えたぶっ飛んだ世界!

取材・文:森田真帆 写真:敷地沙織

ドラマ「時効警察」や映画『俺俺』などの三木聡が監督を務めたロック・コメディー映画『音量を上げろタコ!なに歌ってんのか全然わかんねぇんだよ!!』。本作で、声帯ドーピングによって驚異の歌声をもつカリスマロックスターの主人公シンを熱演しているのは『舞妓 Haaaan!!!』の阿部サダヲ。マリリン・マンソンを参考に役作りしたという阿部が白熱のライブシーン、そしてシンと出会うことで人生が大きく変わっていく声が小さいストリートミュージシャン役を務めた吉岡里帆との初共演を語った。

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超豪華なバンドメンバーとのギグに大興奮!

阿部サダヲ

Q:それにしてもスゴい世界観でした! 脚本から、ここまでの作品になることを想像されていましたか?

ここまではなかなか想像がつかなかったですね。三木監督とのお仕事は初めてだったので、どうなるか全くわからなかったんですが、次々に出てくるキャラクターの人たちを見てとにかくスゴいなって思っていました。ぶっ飛んでるキャラクターがいっぱ出てくるし、エキストラの人まで面白い人ばっかりでした(笑)。

Q:阿部さんの演じたシンのバンドが、すごくかっこよかったのですが、参考にした人はいましたか?

メイクさんが楽屋に貼っていた写真にマリリン・マンソンがいて(笑)。ああ、そういうことなんだと思って自分でも意識するようにはしていました。シンのバンドの人たちが全員すごい人じゃないですか、KenKenさんとかPABLOさんとか! ライブシーンでみんなの動きを見てびっくりしましたね。すんごいカッコよかった。

Q:グループ魂で音楽活動をされていますが、また感覚的に違うのでしょうか?

グループ魂はメンバーがメンバーだし、また全然違います(笑)。今回は、あのものすごいバンドメンバーだったので、気持ちよかったし楽しかった! あのライブシーンが最終日だったから、これで終わるっていうのもあったし、かなり打ち上がった感じがしましたね。あのときは別にケガしてもいいと思ったから(笑)。だんだんノッてきちゃって本当に楽しかった!

Q:ライブシーン、阿部さんも本当に楽しそうでした。

別人になれる喜びがあるから、楽しいし、何でもできるんですよね。なかなかあんな格好して、カラコン入れたりなんて自分ではできないので。それが楽しくてテンション上がるんですよね。ライブシーンもそうだけど、お客さんが盛り上がってくれたのでやりやすかったですね。

テンション低めのツッコミが楽しい!

阿部サダヲ

Q:三木映画の常連である、ふせえりさんと、松尾スズキさんとの掛け合いも面白かったです。

ふせさんと松尾さんが扮装して出てきて二人が喋ってるのを見ると「わ~三木さんの映画だ」って興奮しました(笑)。二人の中に自分が入るときは「この芝居で合ってるのかな?」とすごく不安になりました。

Q:二人とのシーンではどのくらいアドリブが入っているんですか?

実はアドリブはないんですよね。突拍子のないセリフとかも、全部脚本通りなんです。リアクションとかもすごく細かく演出していただけるので。三人のシーンも三木監督の演出に合わせていく感じでした。

Q:阿部さんがツッコミっていうのも何だか珍しいですよね。

ツッコミにもいろんなタイプがあるんですよね。テンションが高いツッコミもあるけど、そうじゃない温度のツッコミもあったりして。テンションの高くない感じのツッコミをやってみたかったから楽しかったです。

吉岡里帆がゴロゴロ転がり続ける驚愕の現場

阿部サダヲ

Q:吉岡里帆さんとの共演は初めてですが印象はいかがでしたか?

吉岡さんを僕が引っ張ったということではなかったですね。吉岡さん、すっごくちゃんとされているから。ずーっとコツコツやってきた方だから、何でも応えられる人なんです。監督から何を求められても断らない。「これできませ~ん」とかが無い(笑)。そこは本当にかっこいいし、男らしいですね。

Q:吉岡さんの女優魂を垣間見たシーンはありましたか?

三木さんは(演技内容を)実際に体で見せてくれる監督さんなんです。吉岡さんがギターをぶん投げて転がるシーンがあるんですけど、三木監督がいつもかぶっているキャップが取れるくらいゴロゴロ転がっていて。すごいなあと思っていたら、全くそのまま吉岡さんがゴロゴロ転がってて(笑)。めちゃくちゃかっこよかったですね。

Q:撮影の合間に吉岡さんとはどんな話をされていたんですか?

他愛もない話ばかりしていましたね。三木組はエキストラの人もけっこうぶっ飛んでる人がたくさんいたので「誰が面白い」とか「あの人が気になる!」ってなったらその人に話を聞いてみようみたいな(笑)。

Q:楽しそうですね!

寒かったからキャストもエキストラもスタッフも暖を取るのは一緒の場所だったんです。スタジオでの撮影だと楽屋に帰っちゃったりするかもしれないけど、そうじゃなくてロケだったから、そこにしか居場所がなくて。エキストラさんの変な話を聞いてました(笑)。

撮影初日に溺れて死にかける!

阿部サダヲ

Q:聞けば聞くほど楽しそうな撮影です!

楽しかったですよ! 撮影の初日にもう死にそうになったんで(笑)。細かくは言えないですけど僕がぶっ倒れて水をビシャーって浴びる撮影で、そのビッシャーがすごく長くて! メイクが取れるまで浴びるわけです。何トンだったかなあ。初日の夜中なのにいきなりびしょびしょ。本当に死にかけましたからね。しかも「そのまま口を開けて思いっきり痙攣(けいれん)してください」って言われて。口を開けていると水が全部入ってくるでしょ? さすがに「俺もうこのまま死ぬ!」って思って。カットがかかる前に立ち上がってしまったのは初めてかもしれない。その地獄が初日だったから、後の撮影がずっと楽しかったのかもしれないですね。

Q:三木監督は死にそうな阿部さんを見てカットをかけないんですか?

いや、全くかからなかったですね。でも撮影初日だったし、三木監督はこういう監督なんだと思いました(笑)。「面白くてカットかけるの忘れちゃいました」って言われて。面白かったのなら嬉しいので問題ないです!

Q:映画全体に流れている独特なトーンが絶妙でした。

あのトーンの面白さっていうのは僕も大好きで。オーディション会場のシーンがすごく好きなんですけど、めちゃくちゃぬるい温度なんですよ。あの感じいいですね。ほんっとにおかしくて、実は吉岡さんなんて普通に笑っちゃってるんですよ。楽しかったなあ。

Q:完成した作品を観て、意外な出来上がりになっていたシーンはありましたか?

田中哲司さんと千葉雄大くんが裸で絡んでいるシーンは、なぜこうなったのかわからなさすぎて笑いました。映画のラストも意外でした(笑)。気づいたら「あれ? すごいスカッとしてるな」みたいな。このラストは誰も予想できないんじゃないですか?


阿部サダヲ

監督の個性が炸裂する三木聡作品に猛然と飛び込んでいった阿部サダヲは、本作冒頭のライブからすさまじいパワーを爆発させた。そのテンションの上がりっぷりは、落ち着いた雰囲気で受け答えするインタビューから想像もできない。だがステージに立ったとき、ライトを浴びた瞬間に輝き出せる阿部の魅力が本作では存分に発揮されている。観客はきっと、劇場を出てもなお、阿部が演じるシンのライブを観たいと願うことだろう。紅白出場を果たしたグループ魂に続き、今年はシンガー、シンとして出場してもらいたいものだ。

映画『音量を上げろタコ!なに歌ってんのか全然わかんねぇんだよ!!』は全国公開中

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