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『決算!忠臣蔵』岡村隆史 単独インタビュー

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『決算!忠臣蔵』岡村隆史 単独インタビュー

仕事はとにかく真面目に、一生懸命に

取材・文:柴田メグミ 写真:高野広美

忠臣蔵の四十七士の中心人物・大石内蔵助が残した決算書を基に、討ち入り計画の実像を記した「『忠臣蔵』の決算書」を、『忍びの国』『殿、利息でござる!』の中村義洋監督が映画化。“討ち入り予算”をテーマとした異色のエンターテインメント『決算!忠臣蔵』で、内蔵助を支える貧しいそろばん侍・矢頭長助役に息を吹き込んだのは、時代劇初挑戦の岡村隆史だ。お笑いの第一線で活躍し続ける彼が、役柄にも通じる自身のお金や仕事との向き合い方について、真摯(しんし)に明かした。

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映画のオファーは「やる」と即答

岡村隆史

Q:予算という、ユニークな視点から「忠臣蔵」を見つめた作品ですが、どんな点に惹かれて参加を決められたのでしょう?

映画のお仕事の話って、なかなか来るものじゃないので。映画と言われたら基本、すぐ「やります!」とお答えします。しかも、誰もが知っているあの忠臣蔵ですから。「えっ、忠臣蔵? やります!」と。どんな役かも聞かずに(笑)。もう、速攻でした。

Q:小学4年生でやめてしまったという、嫌いなそろばんの特訓が待っているとも知らず?

そうなんです。あとから、やらないかんことを知って。「勘定方って、何!?」と。お金を勘定すると言われて、「そろばんに通ってたから大丈夫」と答えたんですけど、数字も昔の数字ですし、そろばんも昔のタイプで珠が上に2つ、下に5つあるから「あれっ? 俺がやってたのとちゃう」となりました。一時期、仕事が終わったら松竹に通って、一対一で先生につきながら、塾みたいに勉強したんです。指の入れ方や弾き方、カッコよく見える作法とかも教えてもらいました。現場でも、「次、手元が映ります」と言われたら、スタンバイの間に先生とずっとそろばんの練習をして。細かく観ていただかないと、わからないかもしれないですけど、計算はちゃんとしてます。

役づくりで1キロ減量

岡村隆史

Q:映画の発表時に、減量されるともおっしゃっていましたが?

お金を節約する人ですから、監督とお会いしたときに「ちょっと体を絞ったほうがいいですか?」と聞いたら、監督が「そうですね。じゃあ僕も絞りますよ」と。それではお互いに絞りますかぁと言うて、お正月に入ったんですよ。ただお正月ってやっぱり、餅を食うじゃないですか。で、結局1kgちょい、くらいですね、減ったのは(照)。それで監督とまたお会いしたときに「すいません、お正月なんで」と言ったら、監督も「僕もなんですよ」と。1kgで、同点ということになりました(笑)。

Q:ほかに何か準備されたことはありますか?

僕のなかで見せ場となるシーンがあったので、「太陽にほえろ!」の名シーンを自分なりにサラッと観ました。「なんで?」と思われるかもしれないですけど、映画を観てもろたら納得していただけると思うんです。

生きたお金の使い方

岡村隆史

Q:節約のために自らを律する姿が立派な長助ですが、何を意識して演じられましたか?

確かに討ち入りするにも金がかかるんだな、と思って。お金を工面していくために、立場は違うけれど自分なりに、内蔵助にも言うべきことはちゃんと言う役として、あかんことはあかんとも言うし、アホとも言うし、金の使い方を知らんとも言えるところはステキやなって思ってました。内蔵助はキレやすい。でも長助はキレやすいのじゃなく、余計な金を使われると感情がクワッと高ぶる感じで「わかってへん!」となる。その感じが好きで、丁寧にやりたいなと思っていました。

Q:岡村さんご自身は、先々を見越して倹約&貯金するタイプ? それとも「墓場には持っていかれない」と考えるタイプでしょうか?

僕は趣味で時計を集めるとか高級車に乗るとか、ブランドもんが好きということはないもんですから。先輩方から「貯めてばかりいないで、生きたお金を使いなさいよ」と言われるんです。30代半ばくらいから、いろんなもんを見てみたいと思うようになって、海外旅行をするようになりましたね。海外へ行くと、考え方が変わったりもするので。ほかには、春ならゴルフ、夏はダイビング。秋は釣りもゴルフもできる。冬はなんもないなと思って、スノボやと。お笑いの仕事をしているので、なかには「滑るもんはやらないほうがいい」という先輩もいるんですけど、ええかと。これで春夏秋冬が全部、趣味で埋まる。仕事以外のことに生きたお金を使おうと思い始めましたね。持ってるだけでは、しゃあないと。

Q:お金を生かして使うという点では、長助と共通しそうですね。

生きた使い方をするためにお金をちゃんと持っとこう、というのは昔からです。この世界に入る前も、50万円貯めてから吉本に入りましたから。そういう意味ではちょっと似てるかもわからないですね。

いきり立ったらあかん

岡村隆史

Q:内蔵助役の堤真一さんとの掛け合いも見どころの一つですが、堤さんとはどのように距離を縮めていかれたのでしょう?

堤さんとは以前、『土竜の唄 潜入捜査官 REIJI』という映画でご一緒させていただいてまして。プライベートのお話もざっくばらんにしてくださって、関西の人ですし、「こんなに面白い人だったんだ」と。そのとき芝居の絡みもあったんで、今回は二人のシーンにもスッと入っていけました。現場は寒かったので、火にあたりながらお芝居とは全然、関係のない話をして。男だらけの現場でしたから、NGな話題もないというか。何をしゃべってもOK的な雰囲気で、すぐにキュッと濃い空気感になれました。ご飯を食べに行っても「あそこの芝居がさ」なんていうのは一切なく、ただ楽しい。現場がすごく楽しかったですね。

Q:俳優のお仕事をする際に、バラエティーなどとは違う切り替えのスイッチみたいなものはありますか?

いや、僕はほんまにそのままで。切り替えというのもできないですし、役者でもないので。ただ、(共演の)皆さんにご迷惑をかけないようにっていう。「矢頭長助はこういう役やから、こんなキャラクターやと思う」というふうにはあまり作り込まずに真っ白でいって、監督さんや周りの人に色をつけていってもらうスタンスです。「いきり立ったらあかん」と。いきり立ったらええことないです、絶対に。何かちょっと「ここ、こんなんしたろ」と思うとセリフが出てこなかったりすることが、昔からあるので。

Q:ほかにも何か、仕事への向き合い方として大切にしていることはありますか?

これは恥ずかしいんですけど、とにかく仕事は、真面目に一生懸命に。昔からそうやったので。台本も、もちろんパーンと飛ぶことはあるんですけど、もう完璧に入ったというとこまで、自分のなかではやるんですよね。でも現場へ行くと緊張で飛んじゃうんですけど。自分のなかでは「ここまでやりましたよ」というまでちゃんと台本と向き合って、練習はやってるつもりでいます。もちろんバラエティーも緊張はするんですけど、特に畑の違う現場では、変な緊張をしてしまうので。そのぶん、準備はしていこうと思っているんですよね。それでも飛ぶんです、ビックリすることに。あんだけやったのに、昨日はあれだけ完璧やったのにって。だからよっぽど緊張してんやろなぁと。でも今回は周りがすごい方々なので、すごく引っ張ってもらったなっていう思いはありますね。「堤さんが、俺のこの気持ちを引き出してくれてる」みたいな。そういうとこが結構ありましたね。周りに助けられました。


岡村隆史

番組収録の多忙な合間を縫う、分刻みのスケジュールのなか、終始にこやかに、ときに身振り手振りを交えながら、一問ずつ丁寧に答えていく岡村。「真面目に一生懸命に」という、彼の仕事に対する姿勢を目の当たりにするとともに、清貧な侍・矢頭長助の姿を重ねずにいられない時間となった。ほぼ仏頂面の長助が見せる笑顔のシーンは、岡村にとってのみならず、今作の大きな見せ場。もっともっと彼の姿をスクリーンで観たいと心から思わされる、印象深いシーンとなっている。

映画『決算!忠臣蔵』は11月22日より全国公開

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