『カツベン!』成田凌 単独インタビュー

  • mixiチェック
  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • ツイート
  • シェア
『カツベン!』成田凌 単独インタビュー

ただまっすぐに、ただ頑張ればいい

取材・文:成田おり枝 写真:上野裕二

MEN'S NON-NOモデルとしてデビューし、2019年は『愛がなんだ』『人間失格 太宰治と3人の女たち』といった話題作への出演が相次ぐなど、成田凌の快進撃が止まらない。5年ぶりにメガホンを取った周防正行監督の最新作『カツベン!』で、満を持して映画初主演を果たす。活動弁士を夢見る青年の奮闘ぶりを、まっすぐな情熱とともに表現した成田が、「絶対に受かりたかった」というオーディション裏話を振り返り、躍進の原動力について語った。

[PR]

「このオーディションに受かったら、なにかが変わる」という予感

成田凌

Q:100人を超えるオーディションから、俊太郎役に抜てきとなりました。オーディションにはどのような意気込みで臨まれましたか。

このオーディションに受かったら、なにかが変わるのではないかと思っていました。それ以前に「周防監督と仕事をしたい」という気持ちも強かったので、この機会を絶対に逃したくない。オーディションに向かう最中は「俺しかいない」と心の中で信じて、「作品のためだったらなんでもします!」という気持ちを伝えました。

Q:オーディションの手応えはいかがでしたか?

自分のなかでは、手応えはあったと思います(笑)! オーディションでは、自分を見せることも大切ですが、僕はいつも「一緒に仕事をする方たちと会話をしにいく」という気持ちで話をするようにしています。一緒に仕事をしたいかどうかを判断される場なのかなと思っています。

Q:周防組で、主演として豪華な共演者の方たちの真ん中に立つことになりました。緊張やプレッシャーを感じることはありましたでしょうか。

最初は緊張していましたね。「主演として自分になにができるんだろう」と奥田瑛二さんや井浦新さんなど先輩方に相談しました。みなさん「監督をはじめ、周囲を信頼することが大事だ」と言ってくださった。そして共演者の方、すごい方ばかりですから! 一人ひとりに会っていくうちに「みなさんがいれば大丈夫だ」と思いましたし、「周防監督が撮るんだから絶対に大丈夫だ」と力が湧いてきました。僕はとにかく、活弁を頑張ればいい。このメンバーだからこそ、信頼して、安心して現場に臨めました。

主人公・俊太郎は「憧れの存在」

成田凌

Q:数々の壁が立ちはだかるなか、活動弁士という夢を叶えようとする俊太郎。がむしゃらな姿が魅力的な、とてもすてきな主人公です。

本当にすてきな役です。今回、僕は役づくりとしてはあまり深く考えていないんです(笑)。ただまっすぐに、ただ頑張ればいいんだということだけ。そうすれば周りのみなさんがバランスを取ってくださる。俊太郎はまっすぐすぎて安定感がないけれど、そこがまた彼の魅力なのかなと感じます。

Q:そういったまっすぐさに共感する点はありますか?

まっしぐらに突き進むタイプに見られたい……という感情はありますが、ちょっと頭を使って考えてしまう自分がいて(笑)。頭ではなく、もっと心や直感で動きたいけれど、なかなか難しい。だからこそ、俊太郎には憧れます。「どんなことがあってもやりたい」というものがあって、そのなかで自分らしさを見つけていこうとする姿はめちゃくちゃかっこいい。ものすごくうらやましいですね。本当にすてきな役だなあと、改めて実感しました。

Q:周防監督は、成田さんについて「俊太郎にピッタリだった」とおっしゃっています。周防監督とご一緒した感想を教えてください。

こんなに現場を楽しんでいる方はいないです。そういう姿を見ると僕たちも気分が上がるし、現場はいい空気がずっと流れているんです。俳優のことをものすごく信頼してくれますし、俳優がいかにやりやすく、そしてどうしたらもっと面白くなるかを常に考えてくださる。完成した作品を観ると、監督の持っているユーモアや明るさがあふれていて、なにより品格のある映画に仕上がっているんですよね。監督、宣伝活動もものすごくされているんですよ。「僕も頑張らなければ!」と刺激を受けます。

Q:監督の魅力が、周防作品の魅力そのもののようですね。監督からかけられて印象的だった言葉はありますか。

撮影が終わってから、スタッフさんから「周防監督が『成田くんでよかった』と言っていたよ」という話を聞いて。なんだか、監督が裏でそういうことを言ってくださっているのは、ものすごくうれしかったですね。撮影中はただただ夢中でしたが、そのときにやっと安心しました。自分にとっても次に向かう力になりました。

半年間、活弁を特訓!「不安と戦った」

成田凌

Q:活弁シーンも大きな見どころとなります。

活弁は、合計で半年間の特訓をしました。常に漠然とした不安と戦っていなければいけなかったので、それはかなりキツかったです。できないし、どうしたらいいかもわからないという不安。「とりあえずやってみよう」と言われても、なにをどうしたらいいかわからないような状態からのスタートでした。ひたすらやるしかないということで、とにかく特訓です。昔の話し方を学ぶために、活弁だけでなく、講談や落語も観に行きましたし、移動中もずっと聞いていました。

Q:役者としても勉強になったことはありますか?

活動弁士は、自分ひとりですべてのバランスを整えて、配役して、演出してと、作品においてすべてを担う人。僕は役者として、いつも一つの役を演じるわけですが、活弁を学んでからは「全体のバランスを見たときには、こういう表現になるんだ」と作品づくりについて考えるようになりました。視野を広げてくれた作品です。

大躍進中の成田凌、走るための原動力は?

成田凌

Q:個性あふれる共演者のみなさんと過ごした時間も、特別なものとなったのではないでしょうか。

本当にそうです。特に僕は永瀬正敏さんに憧れていた人間だったので、永瀬さんと共演できてものすごくうれしかったです。しかも俊太郎は永瀬さん演じる山岡に憧れているという役でしたので、その思いや関係性を表現するのは簡単でした(笑)。僕の気持ちそのものですから。ずっと永瀬さんにくっついて歩いて、座る席もずっと隣をキープして質問攻めにして。もちろんほかのみなさんもすばらしい方ばかりで、たくさん話をさせていただきました。勉強になることばかりでしたし、本当にすてきな時間を過ごさせていただきました。

Q:話題作に数々出演し、映画俳優として大躍進されています。成田さんにとって原動力となるのは、どんなことでしょうか。

先輩に会って話をするととても楽しいですね。例えば、小栗旬さんと話すと、特に芝居の話をしているわけでもないんですが、すごく勉強になって楽しいですし、井浦新さんと会ってもそう。映画への愛情を感じるんですよね。そういった先輩方と話すたびに、僕も作品をつくって終わりではなく、みなさんのもとに届けるまできちんとやらないといけないなと感じています。観てくださる方と顔を合わせて「ありがとうございます」と言いたいです。

Q:俊太郎のように「うまく前に進めない」といったご経験はありますか。

まだ役者を始めて5年ほどなので、まだまだこれからです。同世代の役者のなかでも、5年しかやっていない人なんてあまりいないですからね。第一線の人は、みんなもっと昔から活躍していますから。もっと頑張らないと。

Q:改めて、映画初主演はどのようなご経験になりましたか?

今回、初めて映画で主演をやらせていただきましたが、主演らしいことはなにひとつできていなかった気がします。これからはもっと自分ができることを探して、人のためになにができるのかを考えたいです。本作は、自分の転機になる気がしていて。なにかがきっと変わるという気分がある。これからの自分の背中を押してくれる作品になりました。


成田凌

「本当にすばらしい時間を過ごさせていただいた」と何度も噛み締めるように語った成田。役によってあらゆる色気をかもし出して観客を魅了してしまう彼は、“映画俳優”という肩書が似合う役者へと成長している。そんな成田が日本映画の始まりを描いた作品で初主演を果たしたことも、なんとも特別なことのように感じた。

映画『カツベン!』は12月13日より全国公開

最新インタビュー

インタビュー一覧 »

[PR]