『映画 えんとつ町のプペル』窪田正孝 単独インタビュー

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『映画 えんとつ町のプペル』窪田正孝 単独インタビュー

不安を吹き飛ばす勇気をもらった

取材・文:坂田正樹 写真:日吉永遠

キングコング西野亮廣のベストセラー絵本を、『海獣の子供』のSTUDIO4℃がアニメーション制作を手掛けて映画化した『映画 えんとつ町のプペル』。煙に覆われたえんとつ町を舞台に、俳優の窪田正孝が声を担当したゴミから生まれたゴミ人間プペルが、星を信じる少年ルビッチ(芦田愛菜)とともに、空に輝く星を見つける大冒険に出る。コロナ禍で、先々の不安にさいなまれていた時にオファーを受け、「大きな勇気をもらった」という窪田。その、心をわしづかみにした本作の魅力を、制作の舞台裏を交えながら語り尽くす。

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コロナ禍の今と物語がリンクした

窪田正孝

Q:まず、西野さんの原作絵本をご覧になった感想を教えてください。

西野さんとは、ほぼ「初めまして」という感じだったのですが、素晴らしい才能を持ってらっしゃる方だなと思いました。本当に細かいところまで描かれていて、絵の技術に関してはすごいとしか言いようがないのですが、それに加えて躍動感もあり、ハロウィーンがモチーフになっているので、ちょっぴり怖さもあるんですよね。

Q:西野さん自身の実体験をもとにした物語も奥深いものがありましたね。

「夢を持てば笑われる、煙に覆われている世界」という舞台設定が、今の世の中を表しているようで、すごく印象的でした。アニメーション自体はコロナ禍になる前から作られていたものですが、僕が声のお話をいただいた時は、まさにコロナ禍の真っ只中。今、地球上が、まさにウイルスという目に見えないものに覆われているので、すごくリンクしているなと勝手に感じてしまったんです。約2か月のステイホーム期間中、「エール」(NHK・連続テレビ小説)の撮影も中断し、完全に現場から離れてしまっていたので、俳優という仕事、友人や仕事仲間を含めた人間関係に対して、かなり不安にさいなまれていたんですが、本作の絵本を読ませていただいた時にすごく勇気をもらったというか、明るい気持ちになれたので、「ぜひ!」ということでお引き受けさせていただきました。

プペルは人々が捨てた夢の集積

窪田正孝

Q:ゴミ人間のプペルとは、どんなキャラクターなのでしょう?

収録前に西野さんからお話をお聞きし、すごく共感したんですが、プペルは、人々が何かしらの理由で捨ててきたいろんな「夢」の集積なんですね。子どものころに抱いた淡い夢もそうですし、大人になって抱いた現実的な夢もそう。その夢が集まって誕生した純真無垢なゴミ人間って、周りの人間からすると、「自分がとっくに捨てた夢をまだ持っている」という思いから、すごく煙たくも見えるし、逆にまぶしくも見えたりする。だから、嫉妬も含めて「なんだアイツ」という嫌悪感が生まれるわけです。

Q:そういう複雑な思いが込められたプペルをどう演じようと思いましたか?

西野さんといろいろお話をする中で、自分の中では、何物にも染まっていない、生まれたての子どものようなイメージが浮かびました。でも、人間じゃなくてゴミ人間だし、いったいどんな声を当てればいいのか、相当悩みましたね。最初はどうしても、うまくやろう、完璧にやろうと、気合いが空回りしていたんですが、よくよく考えたら、うまさが必要ならプロの声優さんでいいはず。そこをわざわざ僕にとしたのは、僕でなければならないほかの理由があるはずだと思ったので、とにかく、自分がこうだと思った声をそのままぶつけてみようと。そこから少しずつ、正解に向かって答え合わせになっていった感じですね。

役者のリアルをアニメにも生かしたかった

窪田正孝

Q:プペルのベースとなる声はすんなり決まりましたか?

原型となる声を作るために、結構、長い時間をかけてリハーサルをやらせていただきました。「ちょっとおじいちゃんっぽいです」と言われたり、逆に「ちょっとそれだと子どもっぽいかもしれませんね」と言われたり(笑)。でも、僕自身も迷っていたせいか、とにかくいろんな意見がほしかったので、「どんどん言ってください!」と自らリクエストしたほど。それで、いろんなご指摘を受けている中で、ある時、廣田(裕介)監督と西野さんのイメージとリンクして、「これかな?」というラインが見つかって。そこをスタートにどんどんカタチにしていった感じです。

Q:ベースができあがったあと、窪田さんなりに何か工夫したところはありますか?

役者の場合、映っていないところでもずっと芝居をしているので、今回もそれを実践してみようと思い、口元が映っていない時に、わざと声を入れてみたりしていました。実写もアニメも、画に映っていないから休みってわけではないし、相手との掛け合いの中で物語は続いていますからね。例えば、ルビッチがずっと映っている場面でも、ルビッチの目線の先には必ずプペルがいて、そのプペルがどう動くかで変わってくるんじゃないかなって思うわけですよ。そうすると、「ちょっと声を出してみようかな」ってなるんです。

Q:なるほど。でも、窪田さんらしさがすごく出ていてよかったですよ。

ありがとうございます! 役者をやってきて、ずっとリアルなものを求めて作ってきたので、そのリアルさをゴミ人間というキャラクターにも乗せられたらな、というイメージだったんですが、全く自信はなかったので、そう言っていただけると素直にうれしいです。

芦田愛菜ちゃんのすごさを体感

窪田正孝

Q:『モンスターストライク THE MOVIE ソラノカナタ』に続き2度目のアニメ声優挑戦、何か感じたこと、学んだことはありますか?

僕ら役者は、体や感情を使ってワンシーンごとに映像を1から作っていくわけですが、声優の場合、それとは全く違う不思議な感覚なんです。物語を含め映像がすでにできあがっていて、僕はそこに声を乗せていくだけなので、自分が今までやってきた役者の仕事を100とすると、声優は残りの半分という気がしたのですが、驚くのは、その声入れの作業に全神経を傾けて、役者と同じ100%の熱量を声に注がなければ絶対にいいものが生まれないということ。だから声優さんってすごい職業だなって改めて思いましたね。

Q:そういった意味では、相棒のルビッチを演じた芦田さんは、声優としてもキャリアは十分。刺激になりましたか?

いやぁ……(深いため息をつきながら)愛菜ちゃんはすごいですね。アニメの声優だけでなく、吹き替えやナレーションなど、声のお仕事もたくさんされていますよね。『海獣の子供』を観た時も、壮大な物語が繰り広げられる中で、主人公の女の子・琉花を声で見事に表現していて驚きました。作品に溶け込む技術がすごいんですよね。ルビッチの時も同じことを感じましたが、もはや焦りを通り越して、プペル同様、僕自身も愛菜ちゃんに引っ張っていってもらった感じでしたね(笑)。


窪田正孝

コロナ禍に見舞われた2020年、ステイホーム時は、先の見えない俳優業に不安を感じていた窪田だが、本作と出会い、再び明日につながる活力を取り戻した。そして、2か月半の撮影中断を乗り越えて、朝ドラ「エール」を見事に完走。ドラマ、アニメと続いた中で、「久々に実写映画をやりたい!」と窪田は目を輝かせる。こんな状況下だからこそ、エンタメの力を信じて戦おうと意気込む彼の姿勢に、心からエールを送りたい。

(C) 西野亮廣/「映画えんとつ町のプペル」製作委員会

映画『映画 えんとつ町のプペル』は12月25日より全国公開

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