『劇場版「美少女戦士セーラームーン Eternal」《後編》』渡辺直美 単独インタビュー

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『劇場版「美少女戦士セーラームーン Eternal」《後編》』渡辺直美 単独インタビュー

収録開始15分で声がつぶれた

取材・文:浅見祥子 写真:高野広美

「月にかわっておしおきよ!」1991年、少女漫画誌「なかよし」で連載が開始され、コミックス累計発行部数は全世界で3,000万部突破、テレビアニメも社会現象を巻き起こした「美少女戦士セーラームーン」。その約25年ぶりの劇場版となる、『劇場版「美少女戦士セーラームーン Eternal」』で、渡辺直美がセーラームーンたちの前に立ちはだかる敵・ジルコニアの声優を務めた。お笑い芸人としてだけではなく、声優や女優、モデルとして活躍し、表現者として注目を浴びる渡辺が、収録の裏側をいまの心境とあわせて語った。

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声だけの演技はいつも怖い

渡辺直美

Q:子供のころから「美少女戦士セーラームーン」が大好きだったそうですね。

アニメ全般が好きでしたが、なかでも「美少女戦士セーラームーン」を断トツで好きになった理由は、めちゃくちゃ可愛い絵とストーリー性。大人になって改めて観ると、子供ながらにこれを理解していたのかと驚きますが、女の子が強くて、自ら戦うところに惹かれていた気がします。しかも、おりゃ~! という感じではなく、可愛くて愛がある。そのうえ悪役はしっかりと恐い。そこが素敵です。

Q:今回のジルコニアも恐ろしい敵ですが、誰だかわからないほど作り込んだ声でしたね。

アフレコを始めて15分で声がつぶれました。どうしよう、このあと……という感じでしたが、それがジルコニアのダークで、悪魔のようなキャラクターに活きたかもしれません。あの声は話し合いで作ったのではなく、「ちょっとやってみてください」という感じの始まりでした。オーディションくらいドキドキしながら、「思いっきりやった方がいいかな」とやってみたら、「それでいきましょう!」と言っていただけました。自分でもその場で声を確認し、「めちゃくちゃジルコニアやれているじゃん」と手応えはありました。

Q:以前は「顔芸が出来ない声優の仕事は苦手」とおっしゃっていました。

声だけの演技はいつも怖いんです。初めて声優に挑戦した際、監督にとても怒られて、泣きながら帰った思い出があります。あまりに出来なくて、舞台あいさつでも「足を引っ張ってすみません!」と超ネガティブな発言ばかり……。その場にいた声優さん全員に「そんなことないですよ」とフォローしていただくほどでした。それから声のお仕事にはかなりのプレッシャーを感じてしまうんです。

リアルとファンタジーのせめぎ合いが魅力

渡辺直美

Q:プレッシャーがありながらも、ジルコニア役には手応えが?

正直、セーラー戦士をかなり追いつめているなと自信があります(笑)。おばあちゃん役は初めてで、それを声だけで表現するのはドキドキでした。でもやってみたらノってきて、あれ? いまジルってるんじゃない? みたいな(笑)。それでいて、演技ってこういうことなのかも! と初めて思ったんですよね。そこから自信がついて、その後にいただいた声のお仕事では、プロみたいな顔つきでやっていました。「(イヤホンを手で押さえる身振り)ちょっと音調整しますね~」とか言って、かなりイキった感じで(笑)。

Q:アフレコの録音は、前編と後編で1年ほど間が空いたそうですね。

前編の収録で少し自信がついたのに、後編ではすべて忘れてしまっていました。「お前たち……」とセリフを言ってみたら、50歳くらいの人の声になってしまい、ジルコニアの毒々しいおばあちゃんの感じが消えてしまっていました。「なんか声が違いますね」「どんなんでしたっけ?」と修正するのはちょっと大変でした。

Q:大人になって改めて「美少女戦士セーラームーン」の世界に触れた感想は?

リアルとファンタジーのバランスがいいんですよね。そのせめぎ合い、セーラー戦士や敵の心理、それぞれの目的を描く人間模様、そうしたことをアニメで感じることはなかなかない気がします。子供のころはあの服を着たい! 変身シーンが可愛い! と夢中になっていましたが、大人になって観ると、ファンタジーと一言で片づけられないドラマを帯びているなと感じました。

Q:劇場版の後編をどのように楽しんでもらいたいですか?

まずは劇場で、パワーアップした映像美を感じてほしいです。前編を観た方から、「エンドロールで直美ちゃんと知ってびっくり!」という声もいただいたので、ぜひ私のジルコニアを楽しんでいただければと思います。

NYで多様性の受け止め方と発信の仕方を学ぶ

渡辺直美

Q:今回の声優をはじめ、幅広いジャンルで活躍されていますが、振り返って仕事上の転機はいつと捉えていますか?

7年ほど前のニューヨーク留学は大きかったです。それまでは海外に長期滞在したことはありませんでした。世間知らずだった私がニューヨークへ行き、日本以外でこんなにたくさんの人が生きているというのも不思議でした。20代半ばでいろいろ学びたい、吸収したいという思いも強かったんです。それで一昨年はニューヨークと日本を行ったり来たりして、海外のショービジネスに携わる人たちとの交流が増えました。

Q:そうした交流を通して学んだことは?

多様性というものの受け止め方と発信の仕方です。多様性の中でどうコメディを作るかは、実は難しかったりします。昔のように、笑えたらなんでもオッケーという人は少なくなっていますから。そこで多様性を逆にもっと表に出す、個人を前面に出すことを学んだかもしれません。

Q:するとまず何が得意で何が好きか、自分を知ることが必要に?

それは大事です。20代や30代前半ってどうしても自分の短所を認められなくて、「出来ないのはあの人のせいだ!」などと思ってしまいます。私もそうでした。ニューヨークは、各分野で一番になりたい人が「行ってきます!」と故郷を後にして出ていくところ。そのパワーは大変なものがあります。そういう本気の人たちが参加するショービジネスの決勝戦が行われているような場所。だからこそ、負けないように気を張っていて、少しも気が抜けません。

初対面で「繊細だね」と言われる確率100%

渡辺直美

Q:幅広く活躍される中で、気持ちをどう切り替えていますか?

渡辺直美を俯瞰して見ます。バラエティ、プロデュース業、女優、声優、それぞれに取り組む自分を遠くから見て、「コメディ色強過ぎ?」と思ったり、「どうしたらみんなが楽しんでくれるかな」と考えたりします。ただ、文章を書くことは諦めています。日本語の語彙力が足りな過ぎて!

Q:得意・不得意の見極めも潔いですね?

人生見極めたもん勝ちなのかなと思います。出来ないのに、出来る! と言う人っていますよね。「出来る出来る。やっておくよ」と言っておいて、「ごめん、出来なかった」と失敗する。そうではなく、出来ないことは最初にハッキリ伝えたほうが相手のためにもいいと思うようになりました。

Q:出来ないことがあっても落ちこまず、前へ突き進むようにも見えます。

(首を振って)そんなことないんですよ。これがまたね……結構、繊細で。初対面の方には「繊細だよね」と言われる確率が100%。私を知る人に、「ストイックだけどとても繊細」などと言われるのがすごく恥ずかしい。だからこそ細かいところに気づけていいのかも、とポジティブにも捉えています。

Q:これまで海外ではどんなお仕事を? 今後、やりたいことはなんですか?

私の中ではまだ、ニューヨークでの仕事はスタートしてないので、いつか向こうに両足を踏み入れてやらないとダメだなと考えています。でもいまは海外に行きたいというより、エンタメとしての自分の表現をいろいろと模索したい。それでいつか英語で漫談やコントをやるのが夢です。あと動画の編集や撮影もやっていきたいし、プロデュース業のために会社を立ち上げたいし、株とかもやってみたい(笑)。プライベートでは現実を見て、エンターテインメントでは夢を見たい。そんな風に思っています。


渡辺直美

適度に笑いをちりばめつつ、どんな質問にも気さくに答える渡辺直美。「実は繊細」という事実に驚かされたが、こちらの発言の一部から質問の意図を瞬時にくみ取り、的確な答えを用意するサービス精神を感じ、「確かに繊細」と納得。それでいて表現者として新たな道を力強く切り開く姿は傍目にも爽快で、そのギャップに、彼女の挑戦を応援したくなる気持ちが湧いた。

(C) 武内直子・PNP/劇場版「美少女戦士セーラームーンEternal」製作委員会

映画『劇場版「美少女戦士セーラームーン Eternal」《後編》』は2月11日より全国公開

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