見どころ:初婚が失敗に終わるというジンクスを抱える一家の女性が、本命の恋人との結婚前にバツイチになろうとする姿を描くラブコメディー。『最強のふたり』の製作陣が製作と脚本などに名を連ね、『ハートブレイカー』のパスカル・ショメイユが監督を務める。とんでもない婚活を通して本当の幸せを見いだしていくヒロインに、国際派女優ダイアン・クルーガー。ダメ男のはずがいつしかヒロインの心をつかんでいくジャン=イヴを、『ミックマック』などのダニー・ブーンが好演する。
あらすじ:理想の恋人ピエール(ロベール・プラニョル)と同居中のイザベル(ダイアン・クルーガー)はそろそろ結婚を考え始めていたが、家に代々伝わる「最初の結婚は必ず失敗する」というジンクスから踏み切れずにいた。彼との結婚前に一度結婚して即離婚しようと考えたイザベルの前に、お調子者の非モテ男ジャン=イヴ(ダニー・ブーン)が現れる。とんでもない婚活計画を胸に秘め、ジャン=イヴに近づくイザベルだったが……。
どうしたってマトモな神経では理解不能なシチュエイション。でもそれを自分勝手な思いこみのままに貫徹し、常識や倫理を超えた異様のハッピーエンドまで超特急で突っ走る女性上位コメディがスクリューボールだが、どうもこの作品、明らかにその線を狙って見事に失敗している。持ち前の美貌とは裏腹に『イングロリアス・バスターズ』や最近では『不機嫌なママにメルシィ!』等、妙な役柄で光るD.クルーガーだけど、この手のコメディのミューズ、キャサリン・ヘプバーンを求めるのは酷としたとて、より一層パワフルなスピードとソフィスティケイションを求めたいところ。アフリカのシーンでの時代錯誤的描写もいささか不快で笑えない。
美人すぎて冷たいイメージがあったダイアン・クルーガーが意外なコメディ・センスを披露し、予想以上に軽快な仕上がりだ。幸せな再婚のために飛行機で隣に座ったお人好し男性ジャン=イヴを美貌とお色気でたらしこみ、結婚に持ち込み、そして離婚目的で夫が嫌がることに精を出すまでが物語の大半。目的達成のためには手段を選ばないイザベラは鬼キャラ! でも彼女の「幸せ求めて一直線」熱意が伝わってくるし、演じるダイアンの表情や仕草がチャーミングだから、残酷で思いやりのない行動も許せるから不思議。ハッピーのためなら時には鬼にもなる女の覚悟たるや恐るべし。いや、見倣わなくては? 幸せになるには努力すべし、と胸に刻んだぜ。
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