見どころ:安倍夜郎のコミックを基にした人気ドラマを映画化し、日本のみならずアジア各国でヒットした第1作の続編。深夜だけ営業する路地裏の小さな食堂「めしや」を舞台に、店主とワケありな客たちが織り成す人間模様を描く。メガホンを取るのは、ドラマ版、劇場版前作も手掛けた松岡錠司。主人公のマスター役の小林薫をはじめオリジナルキャストが続投し、前作の多部未華子、余貴美子も常連客役で登場するほか、新たに佐藤浩市、池松壮亮らが出演する。
あらすじ:繁華街の路地裏にたたずみ、マスター(小林薫)の作る料理と居心地の良さに惹(ひ)かれて毎晩客が集まってくる食堂「めしや」。ある日、常連たちが次々と喪服姿で現れ故人について話をしていると、さらに範子が喪服姿で店にやってくる。ストレス発散のため喪服を着る趣味がある範子だったが、実際に葬式をすることになり、そこで出会った男に心を奪われ……。
「めしや」店内の雰囲気同様、エピソードを見逃そうが、いつでも温かく迎えてくれる。台湾、韓国の人々の心もつかみまくる人情喜劇は、すでに『男はつらいよ』の域に達しているかもしれない。前作は松岡錠司監督、5年ぶりの新作だっただけに、若干の気負いも感じられたが、佐藤浩市の『64‐ロクヨン‐』とのギャップや挙動不審になるマスターの姿など、今回は笑いの要素もマシマシ。いい感じで、手慣れた感全開だか、多部未華子演じる、みちるの“その後”をしっかり描いてくれるなど、“常連”への配慮も忘れない。あまりマスターが本筋に絡まないことも気にならないし、ネタが続くかぎり、「劇場版」も続けてほしいものだ。
原作モノとはいえ、2009年のTVシリーズから期待を裏切らない品質を保ち続けるのは、そう簡単なものではない。
それはひとえに作品を大切に思うスタッフの心意気に他ならないが、現状に甘んじない野心も見逃せない。
今回も、ほっこり良い話に見せかけて、老舗の後継者問題やオレオレ詐欺など世相を斬る。
それもマスターの人柄同様、声高に言うでもない大人な主張が粋。
そこが老若男女、いや、国籍を超えて人々を魅了するゆえんでもあるのだろう。
平行して前作でマスターに救われたみちる(多部未華子)の成長も描かれており、ファンの心をくすぐる。
それは同時に、シリーズの新たな広がりと可能性をも示しているように思うのだ。
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