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主演俳優の来日中止は日本への亡命を危惧したから?ロシア人監督が描いた裸のキューバ

第21回東京国際映画祭

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しゃべり過ぎは身の危険? ミハイル・コズィリョフ・ネステロフ監督
しゃべり過ぎは身の危険? ミハイル・コズィリョフ・ネステロフ監督

 24日、渋谷Bunkamuraシアターコクーンにて、第21回東京国際映画祭コンペティション部門に参加しているロシア映画『オーシャン』のインターナショナル・プレミアが開催され、監督のミハイル・コズィリョフ・ネステロフが上映後に観客との質疑応答を行なった。

 本作が監督第1作目となるミハイル監督はロシア人だが、『オーシャン』は、キューバを舞台にした青春映画。なぜキューバを舞台にしたのかという質問に「わが国ロシアでは、野蛮な資本主義が横行し、そのために温かい人間関係は崩壊してしまいました。キューバは貧困、政治的規制など、複雑な問題を抱えていますが、ロシアが失った人間関係がまだ保たれています。ただわたし自身は、キューバ人にはもっといい暮らしをする権利があるとも思いますが……。う~ん、これ以上深い話をすると、入国を拒否されるかもしれないので、もう口をつぐみますね(笑)」と語り、依然規制の多いキューバのお国事情をうかがわせた。

 実際、ミハイル監督がキューバの街でスカウトしたという演劇学校の生徒で、ラテン系イケメンの主演俳優ホルヘ・ルイス・カストロは、直前に出国を禁じられ、来日が果たせなかった。「キューバの入国管理局は、彼が日本にとどまって、帰ってこないのではないかと思ったのかもしれません。日本には日本の素晴らしい俳優がいるでしょうから、彼が日本でやることはないはずなのに(笑)。共産主義の名残なのでしょうね」とその理由を推測。撮影が行なわれた村でも、監督が知るだけですでに40人の村人が亡命をしているのだという。「ただこの映画は、政治や主義主張のためではなく、愛、自由、幸福といった人生でかけがえのないもののために作った作品です」と映画の精神を説明した。

 また、この映画には演技のプロではない素人も多数出演。主人公にボクシングを教えるコーチは「1976年にはチャンピオンにもなった本物のボクサー」だという。「彼は、自身の妻役の女性と本当に恋に落ちてしまいました。だから二人が幸せそうに歌っているシーンは、演技でもなんでもない。本当に素です(笑)」とほほ笑ましい撮影エピソードも披露した。
 
 『オーシャン』は、貧しさから恋に破れた漁師の青年がハバナへと旅立ち、ボクシングのチャンピオンを目指す青春映画。

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