会社でのいじめ!そしてクビ!それはラジオ体操を拒否したから!28年間会社の門前で歌い続ける田中さん

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即興ライブを行った田中さん - Photo:Harumi Nakayama

 会社の不当解雇に対して28年間抗議活動を続けている田中哲朗さんを、豪州人監督が迫ったドキュメンタリー映画『田中さんはラジオ体操をしない』が山形国際ドキュメンタリー映画祭2009で上映され、渦中の田中さんも登場した。

 田中さんの人生は激動だ。1969年に沖電気工業に入社するも、会社が行った自由時間におけるラジオ体操の服従に反発。結果、補助的な仕事に回され、査定ではマイナス評価。組合活動で会社の労務政策を批判したところ転勤命令を出され、これを拒否したところ1981年に解雇された。まさにこのタイトル通りの事件が、田中さんの人生を大きく変えたのだ。

 以後、同社八王子工場門前で毎朝30分、企業ファシズムを批判する歌を歌い続け、毎月29日は一日中座り込みを実行。株主総会には毎回出席し、田中さんを支援したことから社内でいじめに遭っていた友人を救うため、社長に直談判したこともあるという。現在はギター教室で生計を立てているが、その広告を同社門前の電柱に出しているという徹底ぶり。

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 この田中さんの闘争に対して2005年、権力闘争や人権擁護に尽力した弁護士にちなんで設立された「第17回多田謡子反権力人権基金」が授与されている。

 もはや28年間も元会社に対して怒りのマグマを持続させ、己の信念を貫き通すとはアッパレだが、この田中さん闘争人生に興味を抱いたのは、豪州人のマリー・デロフスキー監督。デロフスキー監督はインターネットで田中さんの公式HPを見つけ、2006年に闘争25周年を迎えたこともあり、ドキュメンタリーの製作を申し出たという。

 デロフスキー監督は企画について「豪州の企業でも、日本と似たような社会がありました。それ以上に田中さんを追うことで、自分の意思に正直に生きようという、普遍的なメッセージがあると思ったんです」と語る。

 ただ映画は企業闘争よりも、ユーモラスな田中さんのキャラクターの方がクローズアップされており、劇中、ギター教室に通う不登校歴2年の小学生にケンカのノウハウを伝授するシーンや、株主総会の前夜、仲間たちと会社側の人間に抑え付けられた時の闘い方を練習するシーンなど、何度も笑いが起こっていた。田中さんは、そこがちょっと不満のようで「そのシーンの撮影は若干時間の無駄じゃないかと。まぁ、面白いからいいんですけど。ただ僕が本当に訴えたいこととズレているんですよね」とあけすけに異議を唱えると、デロフスキー監督は「田中さんは豪州人の私たちを受け入れてくれた。なので活動の部分だけでなく、ハートのある人物であることも含めて描きたかったんです」と説明。撮影を通して家族ぐるみの友人になったという両者の、丁々発止のやり取りがさらに会場の笑いを誘っていた。

 そして最後に田中さんは「この映画を観ると、会社に対して闘うのがいかに楽しいかと思うかもしれません。それは事実ですけど、おすすめは出来ません。そして私にエキサイティングな人生を与えてくれた沖電気に感謝します」と痛烈な一撃を一発。また上映後は、「田中さんの生歌を聴きたい」という観客の要望に応えて、急きょ街頭ライブを開催し、25年間の苦節を感じさせる渋い歌声を披露した。(取材・文:中山治美)

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