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北朝鮮にコメディアンが滞在し、ドキュメンタリー映画に!薄気味悪さ残る『ザ・レッド・チャペル』

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北朝鮮滞在中は酒の量が増えた-ブルッガー監督
北朝鮮滞在中は酒の量が増えた-ブルッガー監督 - Photo:Yukari Yamaguchi

 現地時間3月19日夜、ロンドンで開催中のヒューマン・ライト・ワッチ映画祭で、サンダンス映画祭ワールドシネマ審査員賞(ドキュメンタリー部門)を受賞した映画『ザ・レッド・チャペル』(原題)のロンドンプレミアが開催され、マッズ・ブルッガー監督が質疑応答した。

 本作は、幼いころにデンマーク人の養子となった2人の朝鮮人コメディアン、ジェイコブとサイモンが文化交流の名目で北朝鮮入りし、舞台に立つまでの様子を追うことで、北朝鮮を撮ることに成功したドキュメンタリー。ジェイコブは少し麻痺があるらしく、言葉がやや不明瞭で、移動にも車椅子を使っている。障害を持って生まれた子どもは殺されるといううわさもある北朝鮮、ブルッガー監督は、ジェイコブを含むデンマークからの一行が北朝鮮のプロパガンダの絶好の材料とされることを予測する。ねらいは的中、一行は熱烈歓迎を受けるが、コントは手を加えられ、朝鮮民族統一を掲げて終わるものにされる。大事にもてなされる一方、行動が細かくチェックされ、場合によっては修正を加えられることは滞在中を通して続く。

 素のままのジェイコブに調子のいいサイモンのコンビと、生真面目な北朝鮮の人々のやりとりが笑わせるが、薄気味悪さも残る。国家的行事に招かれる一行だが、ブルッガー監督と車椅子に乗ったジェイコブはパレードの列に押し出され、行進させられる。行進する2人は、北朝鮮のテレビで放映までされる。「薄氷を履む思いだった」と北朝鮮での経験を例えるブルッガー監督は、ストレスもあったのか、滞在中、酒量が増えたそう。「パレードのときも、ちょっと酔っ払ってた。元気よく行進してるように見えたら、そのせいだよ」と笑いつつ、デンマーク語でブツクサ文句を言いながらパレードするジェイコブに、ヒヤヒヤさせられたことも明かした。

 北朝鮮の個々人については「彼らはハリー・ポッターも、マリリン・モンローも、ジャスティン・ティンバーレイクも知らない。我々よりもっとリアルな人たちかもしれない。でも北朝鮮自体は殺人機械だ」というのが、ブルッガー監督の北朝鮮に対する見方だ。北朝鮮側がつけた通訳の女性は、会った時からジェイコブを「息子みたい、いえ、息子以上よ」と大歓迎し、熱心に面倒をみる。ブルッガー監督は「最初はちょっと気持ち悪かったけど、ほんとうに母親みたいだった。ひょっとしたら、障害のある子どもでもいたのかとも思ったけど……ミステリーだ」と、長く身近にいてさえ、本心をつかめずにいたらしいのが、一番怖いところ?(取材・文:山口ゆかり / Yukari Yamaguchi)

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