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車椅子に乗ったミュージシャン!自転車を改造した手作り車椅子でファンキーな曲紡ぐ

第63回カンヌ国際映画祭

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全員車イスの楽団スタッフ・バンド・ビリリ
全員車イスの楽団スタッフ・バンド・ビリリ

 アフリカ・コンゴ発、車椅子に乗ったストリート・ミュージシャンバンドを追ったドキュメンタリー『ベンダ・ビリリ!~もう一つのキンシャサの奇跡~』が第63回カンヌ国際映画祭監督週間部門でオープニング上映された。カンヌでの晴れ舞台のためにタキシードで現地入りしたメンバーは青空の下でミニライブを敢行し、オシャレなリゾート地で雑草パワーを爆発させていた。

第63回カンヌ国際映画祭 コンンペ作見どころ・ストーリー

 同バンドは2003年、コンゴの有名歌手パパ・ウェンバのサポートメンバーを務めていたリーダーでヴォーカルのリッキーらによって結成された。彼らはポリオ(急性灰白髄炎)に侵された影響で幼少時代から車椅子生活を送っており、その不自由さからどうしても仕事の待ち合わせ時間に遅れがち。ならば自分たちだけでバンドを組んでみたら? という逆転の発想から「スタッフ・バンド・ビリリ」が誕生したという。ちなみに「バンド・ビリリ」とは「外見をはぎ取れ」を意味し、つまりは「内面(精神)を見よ」ということを訴えている。

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 コンゴでは身障者に対する公的支援は一切ないため、彼らは自転車を改造した手作り車椅子を愛用。そして“キング・オブ・ソウル”ことジェームズ・ブラウンらに影響を受けたというファンキーな楽曲の数々を、木箱で作ったドラムセットでリズムを取りながらパワフルに、実にイキイキと奏でる。そんな彼らの音楽に魅了されたのが、別のプロジェクトでコンゴに滞在していたフランスの映像作家フローラン・ドラテュライとルノー・バレ両監督だ。「音楽だけでなく彼らの人間性に惹(ひ)かれた」というドラテュライ監督たちは約5年間に渡って彼らを取材。映画は、新たなメンバーに加わったストリートチルドレン出身で、空き缶に弦1本を通したオリジナル楽器「サトンゲ」を操るロジェの成長を中心に構成されている。

 その間、同じくストリートチルドレンだったランディの失踪という悲劇もあれば、両監督らの尽力で2009年に発売したアルバム「屈強のコンゴ魂」が全世界で話題を呼んだことで欧州ツアーを成功させるなどバンドを取り巻く環境はめまぐるしく変わった。カンヌで映画を観たリッキーは、思わず涙を流してしまったという。「5年間の出来事が走馬燈のように思い起こされてね……。あの映画には、われわれのうそ偽りのない真実の姿が描かれていて、非常に満足しているよ」とリッキー。ロジェも今では写真業を営み、結婚もしてちょうど1週間前に子どもも誕生したばかりだという。ロジェは「この5年間で子どもから大人へと成長したこともあるけど、路上生活から学校に通わせてもらったこと、そして家庭を持って精神的に成長したと思う。家族のためにも責任を持ってお金を稼がなきゃ」とはにかんだ。

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 ほか、音楽で手にしたお金でストリート・ミュージシャンを支援するNGO団体を設立すれば、ジュナナのようにポリオの新薬開発のために自らがテスト・モデルとなって貢献しているメンバーもいる。

 そんな彼らの初の日本ツアーが、映画公開に合わせて今秋に決定した。9月25日の宮城・仙南芸術文化センターえずこホールを皮切りに10月17日の東京・三鷹公会堂まで全国12公演が予定されている。メンバーは日本についての知識は全くのゼロだそうだが、一夫多妻制ですでに4人の妻がいるリッキーは「日本にかわいい子がたくさんいるといいな。その時は、5人目の妻を日本人にしよう(笑)」と高らかに宣言。ロジェも「サトンゲをたくさん持って行って、日本で商売しようかな(笑)」といろんな意味で来日を楽しみにしているようだった。(取材・文:中山晴美)

日本公開は9月、東京シアター・イメージフォーラムにて

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