カズオ・イシグロ原作「わたしを離さないで」映画化!マーク・ロマネク監督が明かすわび・さびの概念とは?

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主演女優キャリー・マリガンと監督のマーク・ロマネク - Photo:Nobuhiro Hosoki

 2005年に作家カズオ・イシグロが発表し、ブッカー賞の最終候補にまで残った作品の映画化『わたしを離さないで』(英題『Never Let Me Go』)について、監督のマーク・ロマネクと主演女優キャリー・マリガンが語ってくれた。

 物語は、田園地帯にひっそりとたたずむ寄宿学校ヘールシャムで共に育ったキャシー(キャリー・マリガン)、トミー(アンドリュー・ガーフィールド)、ルース(キーラ・ナイトレイ)の3人が固いきずなで結ばれつつも数奇な運命に翻弄(ほんろう)されていくという、残酷ではかないラブストーリー。

 この映画には日本のわび・さびの概念が取り入れられているとマーク監督は明かす。「まずこの映画で重要なのは、限られた時間の中でどう生きるかだった。原作では、SFの要素が含まれているが、それに対して新しさやきれいなイメージがないと感じたんだ。そんなときに、原作者のカズオ・イシグロが作家よりも1950~1960年代の日本映画に影響を受けたと語っていた記事を読んだんだ。そこで、その時代の日本作品をかき集めて観たときに気付いたのが、このわび・さびの概念なんだ。古いものや壊れたものが、新しいものやきれいなものよりも、むしろ美意識が感じられることがわかり、その概念を意識して取り入れることになった」と説明してくれた。マークは特に成瀬巳喜男監督作品をよく観たらしい。

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 キャリーが演じたキャシーという役については、「彼女は実用的な考えの持ち主で、繊細な女性なの。彼女は2人の仲間と育ち、彼ら以外に家族と呼べるような近い人物はいないし、彼ら以外に友人を作ったりもしていないの。彼女は幸福でないけれど、仲間2人と離れて1人でいるよりは、むしろそのまま3人でいる状態をあえて選択しているの。あまり周りの空気を乱したくないタイプね。だから、演技ではしゃべらなかったり、静止しているような状態が多かったから、わたしにとっては逆に大変だったわ」と役づくりに苦労したことを明かした。

 キャリーはオーディションのときに脚本のせりふではなく、ナレーションの部分を読んでマーク監督を驚かせたらしいが、すでに映画『17歳の肖像』を観ていたマーク監督は、オーディションをする前からキャリーの出演は決めていたそうだ。

 映画にはクローンや臓器移植などが描かれているが、それについての詳細は描かれていない。しかし、マーク監督は「どう生きて、恋愛をするかが主体にあったために、頭で考えずに心で感じてくれれば、決して観客がこの映画から離れることはないと思う」と本作がラブストーリーがテーマであることを主張した。

 この映画を観た原作者カズオ・イシグロは、自分が執筆したキャラクターの内面で、新たな部分をこの作品で気付かされたと語っており、映画の完成度に満足しているらしい。マーク監督は、前作の映画『ストーカー』から8年の年月が経ったが、次回作は間を空けないで撮りたいと語っていた。(取材・文:細木信宏 Nobuhiro Hosoki)

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