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神さまの名のもとで殺し合い…カンヌ映画祭でグランプリほかフランスで社会現象を巻き起こした『神々と男たち』

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映画『神々と男たち』より
映画『神々と男たち』より - (C) 2010 ARMADA FILMS - WHY NOT PRODUCTIONS - FRANCE 3 CINEMA

 エジプトの大規模デモが日本でも大きく報じられる中、フランスでは15年前に起きた「フランス人修道士誘拐・殺害テロ事件」を基にした映画『神々と男たち』が社会現象になるほど話題を集めている。その理由は何なのか?

 日本人にとってもテロ事件は他人事ではなく身近なニュースとなりつつあるが、イスラム文化排斥の動きとアルカイダ系テロ組織による報復宣言などで揺れるサルコジ政権下のフランスはより深刻な状況だ。そんな中、武装イスラム集団によって1996年にアルジェリアで起きたフランス人修道士7人の誘拐と殺害事件を基に映画化された本作は、昨年のカンヌ国際映画祭でグランプリを受賞。またフランスのアカデミー賞と呼ばれるセザール賞では、作品賞をはじめ監督賞・主演男優賞など主要部門を含む10部門11ノミネートの実績を残し、フランスで公開後4週連続1位に輝き304万人を動員するなど、社会現象を巻き起こした。

 本作について「日本発の世界標準マガジン」として発行されている雑誌「クーリエ・ジャポン」(講談社)の古谷ゆう子さんは、「映画が公開されると、『ル・モンド・マガジン』や『フィガロ・マガジン』といったフランス有力誌が、実話がベースとなった本作をこぞって『心揺さぶる修道士たち』などとして特集を組み、“○○と男たち”という言葉はまるで流行語大賞を受賞したかのように多方面で引用された」と証言する。一種のブームを巻き起こした背景については「作品の根底に流れる普遍的なテーマが観客の心を捉えて離さなかったのだと思う」と古谷さんは解説した。

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 また、劇中にも描かれているのだが、実際に誘拐された修道士は自身がいつか誘拐されることを覚悟し、キリスト教を超え「信じること」という普遍的なテーマに触れる一通の手紙を残しており、この手紙が観客の心を揺さぶる要因の一つとして考えられる。手紙を読んだという「アラブの格言」著者の曽野綾子さんは、「犯罪によって殺された人の家族は、判決が軽くても『生きる限り彼(彼女)を許しません』という。しかしクリスチャン神父(誘拐・殺害されたフランス人修道士)は、殺害者を最期の『友』と呼んだ。そして天国で会おう、と言った。この非人間的なほどの意志なしに国際紛争は決して解決しないだろう」と週刊ポスト(小学館)の連載で言及している。

 実在の事件を基に「信念の強さ」や「人間の尊厳」を映し出す本作は、宗派や国籍に関係なく観客の胸を打つ作品。日本では、2月24日から28日まで開催される「ゆうばり国際ファンタスティック映画祭2011」に招待作品としてもラインアップされている。

映画『神々と男たち』は3月5日よりシネスイッチ銀座ほか全国順次公開

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